なぜかニッカウヰスキー公式サイトの商品紹介で紹介されていないブラックニッカ スペシャル。
個人的にはブラックニッカシリーズの中で一番おいしいと感じるウイスキーです!
ヒゲのおじさんがデカデカと印刷された印象的なラベルのウイスキー「ブラックニッカ スペシャル」。
よく見てみると、右手にウイスキーが入ったグラス、左手に大麦の穂を持った青い瞳のヒゲのおじさん。実はこの絵のモデルは英国で「キング・オブ・ブレンダーズ」と呼ばれたW.P.ローリー氏で、“世界一の鼻利き”と称された人物といわれています。
日本のウイスキーの父そしてニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏の哲学の一つである「ブレンドの大切さ」を象徴するキャラクターとしてつくられました。
- 穀物の甘味とフルーティーさ、かすかにスモーキー。
- リーズナブルでバランスのとれた味わい。
- ブラックニッカシリーズの中で一番おいしい!?(個人的意見)
ブラックニッカ スペシャルの基本情報とストーリー
基本情報
銘柄 | ブラックニッカ スペシャル |
原産国 | 日本 |
分類 | ブレンデッド |
キーモルト | 余市蒸溜所モルト、宮城峡蒸溜所モルト |
アルコール度数 | 42% |
所有者 | ニッカウヰスキー |
取扱い | アサヒビール |
参考価格 | 1,300~1,600円 |
ストーリー
初代「ブラックニッカ」は1956年に発売されました。「日本で本物のウイスキーをつくりたい」という情熱を持ち続けた竹鶴政孝氏が、理想とする本格的なスコッチタイプのブレンデッドウイスキーとしてつくりあげたものです。
当時の日本では酒税法により、ウイスキーは級別課税制度という制度が導入されていました。簡単に言うと市販のウイスキーに級数を付け、級数に応じた税金を徴収するというものです。
この級別課税制度は1943年から導入され、級数はアルコール度数と本格ウイスキー(3年以上貯蔵のモルトウイスキー)混和率によって分けられていました。そしてたびたびアルコール度数と本格ウイスキー混和率は見直されています。
初代ブラックニッカの発売当時の級別区分は下表のとおりです。
級数 | アルコール度数 | 本格ウイスキー混和率 |
---|---|---|
特級 | 43度以上 | 30%以上 |
1級 | 40度以上 | 5%以上 |
2級 | 特級、1級に該当しないもの | 特級、1級に該当しないもの |
初代ブラックニッカは「特級」でしたので、モルト原酒が30%以上使われていたことになります。
2級の「特級、1級に該当しないもの」って、本格ウイスキー混和率が5%未満であれば2級ウイスキーを名乗ることができるということですね…
混和率0.1%や0%のウイスキーもどきも流通していたようです。
その後ニッカでは1963年に西宮工場に竹鶴政孝氏念願のカフェ式連続式蒸溜機を設置し、数年で安定した品質のグレーンウイスキーが製造可能になりました。この頃の級別区分は下表のとおりです。
級数 | アルコール度数 | 本格ウイスキー混和率 |
---|---|---|
特級 | 43度以上 | 20%以上 |
1級 | 40度以上 | 10%以上 |
2級 | 特級、1級に該当しないもの | 特級、1級に該当しないもの |
本格ウイスキー混和率の数値がかなり変わりましたね
初代発売から9年後の1965年に、新たに導入したカフェ式連続式蒸溜機によるカフェグレーンをブレンドした新「ブラックニッカ」が一級ウイスキーとして発売されました。この際、一級の上限までモルト原酒をブレンドしています。
当時の一級は本格ウイスキー混和率が10%以上、20%未満なのでその上限とすると19%ほどでしょうか。初代ブラックニッカと比べると混和率が10%以上低くなってしまいましたが「よいウイスキーをよりリーズナブルに」という信念のもと、当時一級ウイスキーとしては破格の1,000円という価格で販売し大人気となりました。新ブラックニッカの発売時の宣伝文句は「特級をも凌ぐ1級」でした。事実、特級の時よりも一級になった新ブラックニッカの方が味はむしろよくなったと評判でした。
あえて特級ではなく一級にしたのはニッカウヰスキーのブラックニッカ戦略なのでしょう。その後もニッカウヰスキーは「おいしいウイスキーを、より多くの人に」という竹鶴氏の信念のもと、ブラックニッカのクリアブレンド(現在は「クリア」)、リッチブレンド、ディープブレンドといった派生品を生み出していきました。
新ブラックニッカは約20年間販売されてその後リニューアルして余市蒸溜所モルト、宮城峡蒸溜所モルト、宮城峡カフェグレーンをメインとしたブレンドになりました。実質的なブラックニッカ三代目が現在のブラックニッカ スペシャルになります。
余談ですが、宮城峡蒸溜所の建設を決める際、建設候補地を探していた竹鶴氏が蔵王連峰を経て流れてくる清らかな新川(にっかわ)の伏流水でブラックニッカの水割りをつくり、そのあまりのおいしさに蒸溜所建設を即決したそうです。
ブラックニッカ スペシャルのテイスティングレビュー・評価
ブラックニッカ スペシャルの特性レーダーチャート
ブラックニッカ スペシャルの特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
穀物の優しい甘さを強く感じます。そしてリンゴとほのかにまだ熟していないメロンの香りも感じます。口に含むとアルコールのピリッとした刺激のあとの余韻にチョコレートの風味が残ります。スモーキーさは探ってみると感じる程度です。
キーモルトは余市蒸溜所モルトと宮城峡蒸溜所モルトですが、味わいの中核はカフェグレーンではないかと思える印象です。
各蒸溜所のモルトの風味は弱めですが、それが良くないかというと全くそのようなことはありません。グレーンの優しい味わいをメインに、余市モルトと宮城峡モルトの個性を控えめにブレンドすることで、クセが少なく飲みやすいおいしさを追求したのではないかと勝手に想像しています。
クセは少ないですが、香りや味わいはしっかりしています。
価格の割に素直においしいと感じることができるブレンデッドウイスキーです♪
ブラックニッカ スペシャルの飲み方別 オススメ度(5段階)
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 3 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
数滴の加水で、バランスは崩れずにアルコール刺激が弱まり、とても飲みやすくなります。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
甘味は少し抑えられ、スモーキーさが引き立ちます。フルーティーさも感じますがチョコレート感が強まり、まろやかな味わいでとても飲みやすいです。ほとんどアルコール刺激はありません。
ハイボール オススメ度:
リンゴのような爽やかな甘い風味と、オン・ザ・ロックスよりは控えめなスモーキーさが絶妙で、グビグビ飲めてしまう危険なハイボールになります♪
スモーキーさは探せば感じる程度ですので、スモーキータイプが苦手な方でもおいしく飲めるはずです。
ホットウイスキー オススメ度:
そこまで熟していないメロンの風味と穀物の甘い味わいが強まります。アルコール刺激はありません。甘ったるさもなく、気分も安らぐオススメの飲み方です。
今回はウイスキー:お湯=1:3でつくりました。
ティーチャーズ ハイランドクリームとの比較
僕の常備ウイスキーであり、ブラックニッカ スペシャルと価格が近くバランス型のスモーキーブレンデッド「ティーチャーズ ハイランドクリーム」と比較してみました。
ブラックニッカ スペシャルとティーチャーズハイランドクリームの特性比較
ブラックニッカ スペシャルとティーチャーズハイランドクリームの特徴比較
僕の常備ウイスキーであるティーチャーズハイランドクリームと飲み比べしてみました♪結論としては、どちらもコスパ良くておいしい素晴らしいウイスキーです!
価格も近く、入手しやすさも同程度のティーチャーズハイランドクリームとの比較です。
ブラックニッカ スペシャルはティーチャーズに比べて全体的に甘味が強く、アルコール感についてはほんの少しブラックニッカ スペシャルのほうが弱く感じました。スモーキーさやスパイシーさはティーチャーズのほうが強かったです。
両者ともにコスパと味わいのバランスが優れたおいしいブレンデッドウイスキーです。ご興味があればティーチャーズ ハイランドクリームのレビューもご覧ください。
ティーチャーズのほうがリーズナブルですが、ブラックニッカ スペシャルもこの味わいで1,000円台という非常にお財布にやさしく嬉しい価格です。
ティーチャーズを好んで飲んでいた友人にブラックニッカスペシャルをすすめたところ、その友人はブラックニッカスペシャルのファンになりました!
感想・まとめ:低価格ながらバランス良しの実力派
ニッカウヰスキーのこだわりが込められた「ブラックニッカ スペシャル」を紹介しました。
リーズナブルな割に香り・味わいが程よくあり、気軽にウイスキーのおいしさを楽しめる一本です。クセがあまりないので水割りやハイボールは食中酒としていろいろな料理とも相性がよさそうです。
僕はその日の気分によってブラックニッカ スペシャルかティーチャーズ ハイランドクリームのハイボールを普段飲みしています♪
- 1000円代前半でバランス型ブレンデッドをお探しの方
- スモーキーさが控えめで、穀物の優しい甘さをお求めの方
- クセが少なく飲みやすいウイスキーをお探しの方
日本で半世紀以上愛されてきたブラックニッカ(スペシャル)をまだ飲んだことのない方は是非お試しください!