レビュー|ボウモア 12年|スモーキーでエレガント、気品のある複雑さ

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ウイスキー好きの皆さんは、アイラモルトといえばスモーキーな香り・味わいが特徴として真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。「ボウモア」は“アイラモルトの女王”と称される、スコッチのシングルモルトウイスキーです。なかでもボウモア 12年はボウモアシリーズを代表する一本。アイラモルトの入門にもオススメされるウイスキーです。

らま

ボウモア 12年は、アイラモルトの中では比較的飲みやすいとされています。アイラモルト初心者の方もチャレンジしやすいはず。

ボウモア 12年はこんなウイスキー

  • スモーキーとフルーティー、華やかさが高レベルでバランスよく存在
  • はちみつ、レモン、ダークチョコレートの味わいもある
  • アイラモルトの中では飲みやすいスモーキーさ

記事の後半では、同じアイラモルトの「ラフロイグ 10年」、当ブログでの基準シングルモルト「ザ・グレンリベット 12年」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。

目次

ボウモア 12年の基本情報・ストーリー

基本情報

銘柄ボウモア 12年
 原産国スコットランド(アイラ島)
 蒸留所ボウモア蒸留所
 分類シングルモルト
 仕込み水ラーガン川
 アルコール度数40%
 主な熟成樽バーボン樽、シェリー樽
 所有者サントリーグローバルスピリッツ
 取扱いサントリーホールディングス
 参考価格約5,000~6,000円

ストーリー

ボウモア蒸留所のあるアイラ島は、スコットランドの西岸に連なる島々:ヘブリディーズ諸島の最南端にある島です。島の4分の1が厚いピート(泥炭)層に覆われ、良質な水に恵まれています。ピートとは植物などが堆積して泥化し、炭になったもの。ピートはスコッチウイスキー製造工程のひとつ、大麦麦芽を乾燥させるための燃料として使われます。ピートを燃やした煙で麦芽を燻すことで、麦芽に独特の香味が付与されるのです。アイラ島のピートは海藻類や貝殻などの海産物を多く含むため、スコットランド本土のピートに比べて潮の香りやヨード香が強いのが特徴です。

アイラ島最古の蒸留所

ボウモアとはゲール語で“大きな岩礁”という意味。ボウモア蒸留所はアイラ島の中心地ボウモア町の海辺に建っています。アイラ島では現在9つの蒸留所がありますが、ボウモア蒸留所は1779年に創業したアイラ島最古の蒸留所です。

らま

ボウモア蒸留所は、スコッチ全蒸留所の中でも2番目の古さという歴史ある蒸留所なんです。

伝統的なフロアモルティング

フロアモルティング

スコットランドのモルト蒸溜所の多くは、使用する麦芽のすべてを製麦会社に製造委託しています。対して、ボウモア蒸留所では今でも伝統的なフロアモルティングが行なわれていて、全使用料の30%を自社製造し、残り70%を製麦業者(シンプソンズ社:イングランド)に委託しています。フロアモルティングとは、水に浸した大麦をコンクリートの床に広げて発芽が均一になるように撹拌を繰り返す作業のこと。ボウモアで使われるピートは島の中央部の高台で採掘していて、アイラ島にある製麦業者ポートエレンやラフロイグ蒸留所で使われるピートとは異なります。

今回の記事後半でボウモア 12年と比較する、強烈なスモーキーさと正露丸の風味とも表現されるヨード香のラフロイグでもフロアモルティングが行なわれていて、自社製麦芽の比率は15%、残り85%はポートエレン製です。ラフロイグでは、海に近い湿地の海藻や苔をたっぷり含んだピートが使われます。

らま

ボウモアもラフロイグも日本のサントリーが所有するアイラモルト蒸留所ですが、使われる麦芽からまったく異なるのでその味わいも異なり、飲み比べてみると面白いですよ。

海のシングルモルト

ボウモアの熟成庫は3棟ありますが、ボウモア創業時からある第1熟成庫(No.1 Vaults)は海に面して海抜0メートルの位置に建てられていて、満潮時には海面下1メートルに沈むことも。アイラモルトの特徴は総じて、スモーキーで潮の香り、と言われます。そんな中でもボウモアは仕込み水や自家製モルト、ピート、熟成庫、熟成樽に至るまで「海」が影響していることもあり『海のシングルモルト』として知られています。

また、アイラモルトの中では比較的飲みやすいスモーキーさのため、アイラの入門編とも呼ばれ、スモーキーさを含めたエレガントな味わいによって『アイラモルトの女王』とも称されてきました。

ボウモア蒸留所を代表するボトルが「ボウモア 12年」です。バーボン樽とシェリー樽でそれぞれ12年以上熟成させたモルトウイスキーがブレンドされています。

ボウモア 12年のテイスティングレビュー・評価

ボウモア 12年の特性レーダーチャート

ボウモア 12年の特性レーダーチャート
【香り】調和:6,豊か:5,個性的:6,
【味わい】調和:6,まろやか:6,豊か:5,濃い:5,個性的:6

ボウモア 12年の特徴

コメント(ストレートでの評価 オススメ度:

ボウモア 12年:ストレート

香り

アイラモルト特有のスモーキーさとヨード香(イソジンうがい薬のようなにおい)の中に、レモン爽やかなフルーティーさ、華やかさを感じます。スモーキーウイスキーに慣れていない人には少し強めのスモーキーさですが、不思議とすべての要素がお互いを邪魔せず一体化している印象。アルコール刺激は香りからは感じられません。

味わいと余韻

口に含むと、香りで感じたスモーキーヨード香華やかさレモンピール(皮)以外にも、コクのあるはちみつダークチョコレートが感じられます。スモーキーさは強めで、アイラの入門編とは言われますが、スモーキーウイスキーを飲み慣れていない人には十分クセが強いボトルでしょう。しかしスモーキー好きにとっては、スモーキーとフルーティーと華やかさが高レベルで調和され完成された味わい。アルコール刺激は少なめなので、ぜひストレートで楽しんでいただきたいボトルです。

余韻はとても長く、僕の感覚で60秒ほど。口に含んだ瞬間から、スモーキー、ヨード香、花、はちみつ、レモンピールを感じることができ、レモンピールが薄れてきたころにダークチョコレートがあらわれます。その後、花とはちみつも消えていき、最後までスモーキーとヨード香、ダークチョコレートが残ります。鼻から抜ける、強いけれど上品なスモーキーさがとても心地良いです。

らま

この上品な複雑さとスモーキーさを、いつまでも味わっていたい気持ちになります。

ボウモア 12年の飲み方別 オススメ度

飲み方オススメ度
ストレート
ストレート
5
加水
加水
3
オン・ザ・ロックス
オン・ザ・ロックス
4
ハイボール
ハイボール
5
ホットウイスキー
ホットウイスキー
4

加水 オススメ度:

ボウモア 12年:加水

数滴の加水で、まろやかになりますが全体的に味わいがぼやけてしまった印象。甘味が少し人工的なものになり、華やかさとスモーキーさが弱まりました。ボウモア 12年にとって、華やかさとスモーキーさが重要と考えているのでマイナス2点しました。

オン・ザ・ロックス オススメ度:

ボウモア 12年:オン・ザ・ロックス

少し甘味は弱まり、ビターさが少し強まります。ストレートではレモンピールを感じていましたが、オン・ザ・ロックスではオレンジピールに変化。ダークチョコレートの風味との相性も良いです。甘味よりも苦味が残りやすいですが、じんわりとしたスモーキーヨード香の余韻を長く楽しめます

ハイボール オススメ度:

ボウモア 12年:ハイボール

ストレートほど奥深い味わいではありませんが、余韻は短いながらもスモーキーヨード香華やかさのバランスが素晴らしいハイボールです。苦味をともなう爽やかな柑橘感とほんのりチョコレートが飲み飽きしない味わいに。

ホットウイスキー オススメ度:

ボウモア 12年:ホットウイスキー

柑橘のフルーティーさとスモーキーを楽しめるホットウイスキーです。時間が経つと柑橘と甘味は抜けていき、スモーキーと苦味が残ります。ゆっくり飲んでいるとバランスが崩れてしまうので、時間はかけずにおいしいうちにお楽しみください。

ボウモア 12年とラフロイグ 10年、ザ・グレンリベット 12年との比較

ボウモア 12年とラフロイグ 10年、ザ・グレンリベット 12年との比較

ボウモアと同じアイラモルトである「ラフロイグ 10年」と当ブログの基準シングルモルト「ザ・グレンリベット 12年」と飲み比べしました。

色合いはシェリー樽原酒の影響か、ボウモア 12年がもっとも濃い黄金色をしています。

ボウモア 12年とラフロイグ 10年、ザ・グレンリベット 12年との特性比較

ボウモア 12年とラフロイグ 10年、ザ・グレンリベット 12年との特性比較

ボウモア 12年とラフロイグ 10年、ザ・グレンリベット 12年との特徴比較

これら3銘柄に絞った比較表を用意しました。

ボウモア 12年ラフロイグ 10年ザ・グレンリベット 12年
特性スモーキーながらも上品さがある。香り・味わいは豊かでバランスも良い。強烈な個性で、香りが豊か(探ってみるとスモーキーの裏に色々な風味)香り・味わいともに豊かでまろやかにまとまっている
特徴〇スモーキー、ヨード香、潮の風味は強いが、ラフロイグ 10年よりは弱い
〇柑橘フルーティー、はちみつ、華やかな花の風味
〇クリーミーさもあるミディアムボディ
〇スモーキー、ヨード香、潮が強い
〇バニラ、弱めのリンゴ、カラメルの甘い風味
〇味わっている時はオイリーでミディアムボディだが、後味はドライでライト
〇ピート由来のスモーキーさはほとんどない
〇穀物やバニラやはちみつ等の甘さが強く、華やかさがある
〇クリーミーでコクがあるミディアムボディ

アイラモルト同士、ボウモア 12年とラフロイグ 10年は近い味わいと思われるかもしれません。実際に飲んでみると、華やかさや、はちみつクリーミーミディアムボディという共通点で、ボウモア 12年はラフロイグ 10年よりもザ・グレンリベット 12年に近い味わいに感じました。もちろんボウモア 12年はスモーキー、ヨード香、潮の風味が強いという点は全く異なります。ボウモア 12年からスモーキー、ヨード香、潮の要素を抜き去ると、ザ・グレンリベット 12年の味わいにかなり近づくのではないかと感じました。

ボウモア 12年とラフロイグ 10年との比較では、ラフロイグ 10年の圧倒的なスモーキーさ、薬臭さを改めて実感。それに比べてボウモア 12年はスモーキーでありながらも優しい味わいに感じられます。ラフロイグ 10年はバニラは強いですが、フルーティーさや華やかさは弱め。比較すると、ボウモア 12年のフルーティーさと華やかさがとても強いことがわかります。スモーキーウイスキー好きでも、ボウモアは好きだけど、ラフロイグは苦手という方もいることでしょう。

感想・まとめ:アイラの入門としてオススメできるエレガントなシングルモルト

スコッチウイスキー、アイラ島のシングルモルトとして有名なボウモアを代表するボトル「ボウモア 12年」を紹介しました。アイラモルト特有のスモーキーさ、ヨード香、潮の風味がありながら、しっかりとしたフルーティーさと華やかさも味わえる、上品で完成度の高いシングルモルトウイスキーです。

クセの強いアイラモルトの中でも優しい味わいと長い余韻が楽しめます。これからアイラモルトに挑戦してみたいウイスキー初心者の方にも、既にアイラモルト好きなウイスキー中級者以上の方にもオススメできるウイスキーです。

こんな方にオススメ
  • アイラモルトの中で飲みやすい銘柄をお探しの方
  • スモーキー、ヨード香、フルーティー、華やかさがバランスよく調和したウイスキーをお探しの方
  • スモーキーなウイスキーは好きだけど、強烈なものはちょっと…という方
オススメできない方
  • スモーキーでヨード香が強いウイスキーが苦手な方
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