濃い琥珀色の液体と金色のラベルが印象的なウイスキーをコンビニで見たことがある方は多いのではないでしょうか?今回紹介する「I.W.ハーパー ゴールドメダル」は全国のコンビニはもちろん、スーパーやドラッグストアなどに多く流通しているバーボンウイスキー(アメリカンウイスキー)なんです。
金ピカのラベルをよく見ると上部に5種類のメダルが描かれています。これはI.W.ハーパーが優れたバーボンウイスキーであることの証。詳しくは後ほど説明します。
- バーボン特有の接着剤のにおいが抑えめで優しい甘さ。
- ストレートでも飲みやすく、どんな飲み方も味わい崩れず楽しめる。
- ライト寄りのミディアムボディでバーボン初心者にもオススメ。
I.W.ハーパー ゴールドメダルの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | I.W.ハーパー ゴールドメダル |
原産国 | アメリカ |
分類 | バーボンウイスキー |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ディアジオ社 |
取扱い | ディアジオ・ジャパン |
参考価格 | 2,000~2,600円 |
ストーリー
I.W.ハーパーの創業者はアイザック・ウォルフ・バーンハイムというアメリカに移民したユダヤ系ドイツ人です。『I.W.ハーパー』という名前は創業者アイザックのイニシャルである「I.W.」と彼の親友フランク・ハーパーの名前を冠し名付けられました。
アイザック・ウォルフ・バーンハイムは弟とともに1872年にバーンハイム蒸留所を立ち上げました。当時品質の悪いバーボンが多かったなか、品質にこだわり1877年に完成したバーボン「I.W.ハーパー」は1885年ニューオリンズの万国博覧会で金賞を受賞、その後も各地の様々な博覧会で合計5つの金賞を受賞しました。これが「ゴールドメダル」という名前の由来です。
1950年代には広告塔として「籐のステッキを持ったシルクハットの紳士」が登場し、”I.W.ハーパーは都会的で洗練されたイメージ”であることを確立しました。今でもボトルのラベル下部には丁寧にお辞儀しているシルクハットの紳士が描かれています。
I.W.ハーパー ゴールドメダルは6年熟成原酒をメインにブレンドされていて、原料のトウモロコシ比率は86%以上です。バーボンウイスキーの原料規定として「トウモロコシを51%以上使用」する必要がありますが、これを余裕で越える比率。アメリカンウイスキーにはコーンウイスキーという種類がありこちらの原料規定は「トウモロコシを80%以上使用」とあるので、I.W.ハーパーはコーンウイスキーなのかと思われるかもしれませんが、熟成規定の「内側を焦がしたオークの新樽に樽詰め」が該当するのでやはりバーボンウイスキーなんです。
種類 | 原料規定 | 熟成規定 |
バーボンウイスキー | トウモロコシを51%以上使用 | 内側を焦がしたオークの新樽にアルコール度数62.5%以下で樽詰めし、熟成させたもの。 |
コーンウイスキー | トウモロコシを80%以上使用 | 古樽か、内側を焦がしていないオークの新樽にアルコール度数62.5%以下で樽詰めし、熟成させたもの。 |
原料にトウモロコシが多いと酒質は甘くまろやかになります。これはI.W.ハーパーと他のバーボンを飲み比べると実感できるはずです。
バーンハイム蒸留所は1999年に同じくバーボン製造者であるヘブンヒル社に買収され、ヘブンヒル蒸留所の一部になりましたが、I.W.ハーパーはディアジオ社が所有し現在バーンハイム蒸留所では製造されていません。ヘブンヒル蒸留所の公式サイトにもI.W.ハーパーは紹介されていませんでした。
I.W.ハーパー ゴールドメダルのテイスティングレビュー・評価
I.W.ハーパー ゴールドメダルの特性レーダーチャート
I.W.ハーパー ゴールドメダルの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り
まず甘く華やかなエステリーさが感じ取れます。(エステリーとは、甘く華やかで熟したフルーティーさも合わさった風味。強すぎると接着剤のようなにおいに感じることも。)そしてバニラとカラメルのコクのある甘い香りもしっかりと感じます。
味わいと余韻
口に含んでみると甘味と同時に苦味やわずかに渋味が感じ取れます。苦味は感じますがイヤな苦味ではありません。ほろ苦カラメルのような苦味でバーボン特有の甘味と相性バッチリです。香りと同様にバニラやカラメルのコクのある甘さがあり、弱めですが梨(和梨と洋梨をあわせような)のフルーティーさがあります。甘さと爽やかさを伴うスパイシーさ(シナモンに近いニッキのような風味)と甘味が合わさって八つ橋のような味わいも。ライト寄りのミディアムボディで余韻も楽しめます。
余韻は長めで、僕の感覚で50秒ほど。口に含んだ瞬間から、バニラ、梨・洋梨、カラメル、木樽、少し遅れて八つ橋の風味があらわれます。木樽や八つ橋の風味は早めに消えていきますが、バニラ、梨・洋梨、カラメルの風味は最後の方まで細く長く続きます。
2,000円台前半で、バランスよく程よい飲みごたえのI.W.ハーパー ゴールドメダル。バーボン初心者の方にもオススメの一本です。
I.W.ハーパー ゴールドメダルの飲み方別 オススメ度(5段階)
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 4 |
加水 オススメ度:
苦味・渋味・酸味が弱まり、甘味が増えました。軽めの華やかなエステリーとフルーティーな風味で飲みやすくなります。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
甘味とバニラが弱まり、エステリーが少し弱まります。一方でフルーティーさが強まり、程よいビターさと余韻に感じられる華やかさ・トウモロコシ由来の優しい甘さがとても飲みやすいです。
ハイボール オススメ度:
甘味・酸味・苦味・渋味が絶妙なバランスのハイボールになります。後味に残るほのかなバニラと清涼なハーブ感がとても心地よいです。
I.W.ハーパー:ソーダ=1:4でつくったハイボールは通称「ハーパーソーダ」と呼ばれ親しまれていて、公式でも推奨されている飲み方です。
ホットウイスキー オススメ度:
エステリーさと甘味がもっとも強く感じられる飲み方です。エステリーさとともにフルーティーさもあるのでとても飲みやすいホットウイスキーです。ストレートで感じていた木樽感は、ホットウイスキーにすると草木感のような味わいに。
I.W.ハーパー ゴールドメダルとI.W.ハーパー ゴールドメダル(旧)、ジムビーム ホワイトとの比較
バーボンウイスキーで世界一の売上を誇るジムビームのスタンダードボトル「ジムビーム ホワイト」との比較をしました。アルコール度数は同じ40%です。色合いはI.W.ハーパー ゴールドメダルの方が濃いゴールドです。
I.W.ハーパー ゴールドメダルの新旧ボトル比較もしています。それぞれ開栓したばかりのボトルで比較しました。写真左側が新ボトル、右側が旧ボトルです。ボトル形状もラベルも変更になり、並べて比較すると新ボトルはゴールドというよりブロンズ色のラベルですね。液体の色は同じです。
I.W.ハーパー ゴールドメダルとI.W.ハーパー ゴールドメダル(旧)、ジムビーム ホワイトの特性比較レーダーチャート
I.W.ハーパー ゴールドメダルとI.W.ハーパー ゴールドメダル(旧)、ジムビーム ホワイトの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
I.W.ハーパー ゴールドメダル | I.W.ハーパー ゴールドメダル(旧) | ジムビーム ホワイト | |
---|---|---|---|
特性 | まろやか+クセ少なめで飲みやすい | まろやか+クセ少なめで飲みやすい | 特出した個性はないが飲みやすい |
特徴 | ○甘味・苦味・渋味の絶妙バランス ○弱めの接着剤のにおい ○ライト寄りのミディアムボディ ◯ニッキ(八つ橋みたい)の風味 | ○甘味・苦味・渋味の絶妙バランス ○弱めの接着剤のにおい ○ライト寄りのミディアムボディ | ○バニラの風味は強くはないがしっかり感じられる ○接着剤のにおいは弱い ○ライトボディ |
まず最初にI.W.ハーパー ゴールドメダルの新旧ボトル比較についてですが、香り・味わいに大きな差はありませんでした。あえて挙げるなら、新ボトルの方がカラメル風味や苦味が抑えられ、わずかにクリーミー、ニッキ風味のスパイシーさがあること。旧ボトルがお好きな方は新ボトルもほとんど違和感ないはずです。
I.W.ハーパー ゴールドメダルとジムビーム ホワイトの比較では、ジムビーム ホワイトは個性があまりないバーボンですが、I.W.ハーパー ゴールドメダルはバーボン特有の風味をしっかり感じながらもまろやかで飲みやすいです。どちらもバーボン初心者に適したボトルで、ハイボールでスッキリ飲みたい方にはジムビームを、ストレートもオン・ザ・ロックスもハイボールもバーボンの味わいを楽しみたい方はI.W.ハーパー ゴールドメダルをオススメします。
感想・まとめ:飲み慣れたらもっとバーボンが好きになる!
リーズナブルでありながらしっかりとしたバーボンの特徴とまろやかな飲み口の「I.W.ハーパー ゴールドメダル」を紹介しました。エステリーさが苦手だけどバーボンにこれから挑戦したい方にはまずはジムビーム ホワイトやフォアローゼズをオススメしますが、これら2本では物足りなくなった方には次の一本にオススメです。
当ブログでは、優しい甘さで飲みやすくミディアムボディのI.W.ハーパー ゴールドメダルをバーボンウイスキーの基準としてテイスティングしています。
- 2,000円台で飲みやすいバーボンをお探しの方。
- ジムビームやフォアローゼズではバーボン感がちょっと物足りない方。
- ハイボールをはじめ、色々な飲み方でもおいしく楽しめるバーボンをお探しの方。