キリンのウイスキー「ロバートブラウン」をご存知ですか?TVCMでもおなじみのキリンが発売しているブレンデッドウイスキー「陸」はコンビニやスーパー、ドラッグストアでもよく見かけますが、同じくキリンのブレンデッドウイスキー・ロバートブラウンは陸ほど見かけることはないでしょう。実はロバートブラウンは1974年から販売されている、歴史の長いウイスキー。約2,000円と買いやすい価格設定で、50年もの間ファンを魅了し続けています。
あまり有名ではないかもしれませんが、キリンが手掛ける第一号ブレンデッドウイスキーがロバートブラウンなんです。
- キリンが初めて製造したウイスキー
- バニラ、チョコレート、華やかな風味、スモーキーさはほぼない
- ストレートでは単調な味わいだけど、他の飲み方で味わい豊かになる
記事の後半では、同じくキリンのブレンデッドウイスキー「陸」とのテイスティング比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
ロバートブラウンの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ロバートブラウン |
原産国 | 日本 |
蒸留所 | 富士御殿場蒸留所 |
分類 | ブレンデッド |
仕込み水 | 富士の伏流水 |
アルコール度数 | 43% |
所有者 | キリンディスティラリー |
取扱い | キリンホールディングス |
参考価格 | 約1,700~2,100円 |
ストーリー
キリン富士御殿場蒸溜所の国産第一号ウイスキー
キリンは、1971年にアメリカのシーグラムグループの洋酒を国内販売開始し、洋酒事業に参入しました。1972年にはシーグラムグループと合弁で「キリン・シーグラム」を設立し、ウイスキー事業に参入、富士御殿場蒸溜所の建設を開始しました。
日本人の嗜好にあう、世界に通用する高品質のウイスキーをつくるという方針のもと、スコットランドの技術を取り入れ、競合会社のウイスキーとも比較しながらつくりあげたのが「ロバートブラウン」あだったのです。開発当時はスコットランドの原酒をもとに試作されたそうですが、現在のロバートブラウンは富士御殿場蒸溜所でつくられたモルト・グレーン原酒と海外産原酒をブレンドしています。
どっしりとしたボトルの形状は、京都の古寺の釣鐘がモチーフになっています。首部分もあわせた形状を考えるとハンドベルにも見えますね。
ロバートブラウンの開発にあたって、競合会社のウイスキーと比較しながら味づくりしたということで、サントリー(当時寿屋)とニッカウヰスキー(当時大日本果汁)から発売されたウイスキーを年表にまとめてみました。サントリーやニッカウヰスキーに比べると、キリンのウイスキー事業はある程度の見極めを終えてからの参入だったのかもしれません。
1970年にはすでに人気を博していたサントリー オールド(1980年には1,240万ケース出荷)や、大阪万博の前年に発売し「国産品と呼ばずに国際品と呼んでください」というキャッチコピーを掲げていたサントリー スペシャル、竹鶴政孝の魂が込められたスーパーニッカはどれもどっしりとしたボトルデザインであり、現在でも多くのファンがいるウイスキー。日本人の嗜好にあう、世界に通用する品質を目指していたロバートブラウンは、こららのウイスキーを視野に入れての開発だったと推察します。
ロバートブラウンのテイスティングレビュー・評価
ロバートブラウンの特性レーダーチャート
ロバートブラウンの特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り
開栓直後は、それほど香りは強くなく、穀物、夏の田んぼで香るようなまだ緑色の稲が感じ取れました。開栓後、何度か飲み進めていくうちにバニラとチョコレートの香りを強く感じるように。
味わいと余韻
開栓直後はバニラ、カラメル、チョコレートとわずかにハネージュメロンのフルーティーさがありました。口に含んだ瞬間から余韻最後まで苦味も感じ取れましたが、開栓後、何度か飲み進めていくうちに、花のような華やかさが強く現れるようになり、バニラとチョコレートをより強く感じやすくなりました。これらの甘い風味が強くなった分、開栓直後に感じていた苦味が弱まり、飲みやすくなりました。アルコール刺激はやや強め。
開栓直後、ストレートのオススメ度は星2だったんですが、時間経ってからの華やかさによって星3に変更しました。
余韻は中程度で、僕の感覚で35秒ほど。口に含んだ瞬間から、カラメルやバニラ、華やかさが感じ取れ、数秒後にチョコレートを感じやすくなります。華やかさは10秒程度で消えていき、その後バニラやチョコレートも消えてカラメルの風味とビターさが残ります。
ロバートブラウンの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 3 |
加水 | 3 |
オン・ザ・ロックス | 4 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 4 |
加水 オススメ度:
アルコール刺激が弱まり、飲みやすくなります。苦味、渋味、酸味が弱まって、完熟フルーツのようなコクのある甘さが味わえます。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
苦味と完熟フルーティーが強まる。完熟フルーツの中身としては、アプリコット、パイナップルを感じました。時間が経っても味わいが崩れず、苦味は徐々に落ち着いていき、飲みやすくなっていきます。
ハイボール オススメ度:
他のどの飲み方よりも圧倒的に華やかさがあります。後に残らない程よい甘味と余韻に目立つ甘い花のニュアンスは、口に入れた瞬間から、飲み込んだあとに鼻から抜ける風味まで楽しめるでしょう。
ハイボールのために常備したいと思えるほど。
ホットウイスキー オススメ度:
第一印象はバニラ、後から穀物、余韻にバニラウエハースを感じるホットウイスキーです。アルコール刺激が口内をさすので、お湯の割合を上げると飲みやすくなります。
ロバートブラウンと陸との比較
同じくキリンのブレンデッドウイスキー 陸と飲み比べしました。色合いはロバートブラウンの方が少し濃いようです。
ロバートブラウンと陸との特性比較
ロバートブラウンと陸との特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
ロバートブラウン | 陸 | |
---|---|---|
特性 | “開く”と複雑さと奥行きがでてくる | クリーンな味わいであり、力強さもある |
特徴 | 〇バニラ、カラメル強め 〇完熟フルーツ感が少しあり、華やか 〇ライトよりのミディアムボディ | 〇きれいで華やか 〇甘味と苦味が強めでバランス良い 〇ミディアムボディ |
両ウイスキーともにキリンの目指す「クリーン&エステリー」な酒質です。比較すると陸の方が強くその傾向がでているようです。どのウイスキーでも“開く”と香りや味わいが複雑で深く感じられるのですが、ロバートブラウンは開いた時の変化が大きいように感じました。一気に華やかさがアップしています。
ロバートブラウンを飲んでみて、もし味わいが単調だなと感じたら、空気に触れさせてしばらく置いてみてください。
個人的には、ロバートブラウンはハイボールで化けて華やかさが楽しめるタイプ、陸はどの飲み方でも楽しめる万能タイプだと感じました。ロバートブラウンと陸のハイボール比較ですと、ロバートブラウンの方が華やかさを強く楽しめるでしょう。
感想・まとめ:風味が“開く”と化けるブレンデッドウイスキー
キリンの第一号ウイスキー「ロバートブラウン」を紹介しました。アルコール刺激はあるものの、空気に触れて時間が経つとウイスキーが開き、華やかさやフルーティーさが感じ取れるようになり複雑さがアップします。開栓した後はあえて時間をおいてみてください。おいしさがアップするはずです。
個人的に一番オススメなのはハイボール。ロバートブラウンの華やかさとフルーティーさが存分に味わえます。
- 華やかなハイボールを楽しみたい方
- 香り・味わいが“開く”変化がわかりやすいリーズナブルウイスキーをお探しの方
- キリンのウイスキー 陸がお好きで、別の銘柄も試してみたい方