ある程度大きなスーパーや酒屋さんでは見かけることが多い、四角いボトルに緑のラベルのアイリッシュウイスキー「タラモアデュー」。実はアイリッシュウイスキーではジェムソンに次いでNo.2の売上を誇ります。
日本ではそれほど知名度が高くないように感じますが、リーズナブルでいて飲みやすくもっと注目されていいんじゃないかと思います。
- 穀物感によるコクが心地良い。
- フルーティーでオイリー。
- なめらかでスムーズな飲み口のアイリッシュブレンデッドウイスキー。
タラモアデューの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | タラモアデュー |
原産国 | アイルランド |
蒸留所 | タラモア蒸留所 |
分類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ウィリアム・グラント&サンズ社 |
取扱い | サントリーホールディングス |
参考価格 | 約1,900~2,600円 |
ストーリー
タラモア蒸留所の創業は1829年のこと。アイルランドの首都ダブリンから西方約80kmにあるタラモアに地元の名士マイケル・マロイによって創業されました。のちにタラモア蒸留所を引き継いだダニエル・E・ウィリアムスがつくりあげたブランドがタラモアデューです。デュー(Dew)は“露”という意味であり、同時にダニエルの名前(Daniel E. Williams)のイニシャルでもあります。
人気を博したタラモアデューでしたが世界情勢の影響もありタラモア蒸留所は1954年に閉鎖され、その後アイリッシュウイスキー売上No.1のジェムソンをつくるミドルトン蒸留所などでつくられ続けていました。2010年にはスコッチウイスキー「グレンフィディック」を有するウィリアム・グラント&サンズ社がブランド権を手に入れ、2014年に新たにタラモア蒸留所が誕生しました。
旧タラモア蒸留所の閉鎖からちょうど60年後に新タラモア蒸留所が復活したことになりますね。
新タラモア蒸留所ではモルトウイスキー、ポットスチルウイスキー、グレーンウイスキーの3タイプがつくられています。モルトウイスキーとポットスチルウイスキー用にそれぞれ3基ずつの蒸留器をもち3回蒸留が行われ、グレーンウイスキーは連続式蒸留機で蒸留されています。
各原酒の特徴は以下の通り。
種類 | 特徴 |
---|---|
シングルポットスチルウイスキー | モルト、未発芽大麦、オート麦、小麦、ライ麦を原料とし、アイリッシュ独特のオイリーさがあり、豊かで複雑な風味となめらかで穏やかな酒質が特徴。 |
モルトウイスキー | モルトを原料とし、クリーミーさの中に個性的で豊富な風味がある。 |
グレーンウイスキー | とうもろこし、未発芽大麦、モルトなどが原料で、クセが少なく、マイルドな口当たり。 |
生産規模はミドルトン蒸留所に次ぐ2番目に大きな蒸留所です。
タラモアデューのテイスティングレビュー・評価
タラモアデューの特性レーダーチャート
タラモアデューの特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
グラスに鼻を近づけると穀物系の優しく甘い香りがとても心地良いです。アルコール感はほとんど感じられずなめらかで飲みやすそうな印象。
口に含んでみると香りで感じていたほどの甘味はないもののフルーティーな風味も感じられ、鼻から抜けていく穀物(モルト?)の風味が印象的です。オイリーさとなめらかさもあり、アルコール刺激はそれほど気にならないレベルのためとても飲みやすいです。
余韻は20秒ほどで、香りや味わいの変化はあまりありません。少しだけ後半の方で苦味が残りましたが、気にならない程度の苦味です。
モルトと思われる穀物風味が豊かでアイリッシュブレンデッドウイスキーとしては個性がありますね。
ジェムソン スタンダードの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 5 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 3 |
ホットウイスキー | 4 |
加水 オススメ度:
数滴の加水でストレートの香りや味わいは変わらずにまろやかさがアップ。ストレートでも飲みやすかったですが、加水でさらに飲みやすくなります。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
チョコレートの要素があらわれます。少しビターでフルーティー、酸味も少し強まりますがバランスがいいです。タラモアデューの個性がもっとも楽しめるのではないかと感じました。
ハイボール オススメ度:
爽快な飲み口ですが個性が感じられなくなりました。穀物感もなくなります。食中酒にはいいかもしれませんが、ハイボールにするのはもったいない気がします。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2くらいで、麦チョコの風味があらわれました。甘味も引き立ちます。
ジェムソン スタンダードとの比較
アイリッシュウイスキーの売上No.1ブランド「ジェムソン」のスタンダードボトルと比較しました。タラモアデューの色はかなり薄めなことがわかります。
タラモアデューとジェムソン スタンダードの特性比較
タラモアデューとジェムソン スタンダードの特徴比較
それぞれの違いにしぼって表に書き出してみました。
タラモアデュー | ジェムソン スタンダード | |
---|---|---|
特性 | ・香りが豊かで調和が取れている ・ライトボディだがジェムソンよりボディ感あり | ・スムーズでなめらかな口当たり ・ライトボディ |
特徴 | ・穀物感が豊か ・余韻での香りや味わいにはほとんど変化がない | ・フルーティーさとドライな甘さのスパイシーさ ・オイリーで少し香ばしい ・余韻の中ほどでメロンを少し感じる |
タラモアデューもジェムソン スタンダードもなめらかな飲み口という点は同じ。タラモアデューは穀物感が強くややボディ感があり、ジェムソン スタンダードは軽く華やかなフルーティーさがあります。
タラモアデューの方が穀物感が強く、個性を感じるアイリッシュブレンデッドウイスキーでした。
感想・まとめ:ちょっとした個性が楽しめるアイリッシュブレンデッドウイスキー
なぜか知名度は低いけれど実はアイリッシュウイスキー売上No.2の「タラモアデュー」を紹介しました。アルコール刺激は少なくなめらかな口当たりなのでストレートでも飲みやすいですが、オン・ザ・ロックスにすることでタラモアデューの個性が引き立ちさらにおいしく飲めました。
店舗によっては税込みで2,000以内で購入することも可能なのでコスパのいいウイスキーです。
ジェムソンやブッシュミルズのスタンダードボトルに飲み慣れている方でも、少し個性の異なるタラモアデューは価格帯も近くオススメできます。
- 2,000円台でなめらかで飲みやすいウイスキーをお探しの方
- 個性はそれほど強くないけれど穀物感が楽しめるウイスキーをお探しの方
- オン・ザ・ロックスがおいしいアイリッシュウイスキーをお探しの方