世界No.1の販売数量を誇るアイリッシュウイスキーブランド「ジェムソン」。そのスムースな飲み口は、世界中のウイスキー愛好家から初心者まで、幅広い層に親しまれています。そんなジェムソンから、伝統的製法によってつくられる「ジェムソン シングルポットスチル」が登場しました。
この記事では、「ジェムソン シングルポットスチル」がどのようなウイスキーなのか、その歴史的背景から、詳しい味わい、おすすめの飲み方まで徹底的にレビューしていきます。

ジェムソン シングルポットスチルは、Eコマース限定商品です。Amazonでは大型セール時にリーズナブルに購入できることが多いですよ。
- チョコレート、ハチミツ、スパイスの風味が強い、甘口のウイスキー
- アイリッシュ特有のなめらかさと、濃厚で複雑な味わい
- 余韻が長く、どんな飲み方でもバランス崩れず楽しめる


記事の後半では、ジェムソンシリーズの「ジェムソン スタンダード」との比較もしています。ぜひ最後までご覧ください。
ジェムソン シングルポットスチルの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ジェムソン シングルポットスチル |
原産国 | アイルランド |
蒸留所 | 新ミドルトン蒸留所 |
分類 | シングルポットスチル |
仕込み水 | ダンゴニー川 |
主な熟成樽 | バーボン樽、シェリー樽、アイリッシュオークのバージン樽、ヨーロピアンオークのバージン樽、アメリカンオークのバージン樽 |
アルコール度数 | 46% |
所有者 | アイリッシュ・ディスティラーズ社 |
取扱い | ペルノ・リカール・ジャパン |
参考価格 | 4,000~5,000円 |
概要
伝統的なシングルポットスチルウイスキー
「ジェムソン シングルポットスチル」の最大の特徴は、その名の通り「シングルポットスチルウイスキー」というアイルランド伝統の製法で造られたウイスキーであることです。
1850年代、アイルランドでは高額な麦芽税が導入されたことで、多くの蒸留所はコスト削減のために大麦麦芽(モルト)の使用料を減らし、代わりに未発芽の大麦や他の穀物を多く使うようになりました。この経緯によって誕生したのが「ポットスチルウイスキー」です。この製法は、いまやアイリッシュウイスキーの伝統製法になり、大麦麦芽と未発芽穀物(大麦、オート麦等)を原料として使用し、銅製の単式蒸留器(ポットスチル)で3回蒸留を行うことを特徴とします。未発芽大麦を使うことで、麦芽由来の甘さに加え、オイリーでクリーミーな口当たりと、独特のスパイシーな風味が生まれます。これが、シングルポットスチルウイスキーならではの、リッチで複雑な味わいの秘訣なのです。



でんぷんの糖化は麦芽の酵素によって行われます。未発芽穀物の糖化には時間がかかります。その間に独特のオイリーさや油様のフレーバーが生まれます。
シングルポットスチルウイスキーとシングルモルトの違いは?
ウイスキー好きなら「シングルモルト」という言葉はよく耳にするでしょう。では、「シングルポットスチル」とは何が違うのでしょうか。
シングルポットスチルウイスキー | シングルモルトウイスキー | |
---|---|---|
主な産地 | アイルランド | スコットランドをはじめ世界各地 |
原料 | 大麦麦芽 + 未発芽大麦 など | 大麦麦芽のみ |
特徴 | クリーミー、オイリー、スパイシー | 多彩な個性(ピート香、華やかなど) |
最も大きな違いは原料です。大麦麦芽100%で造られるシングルモルトに対し、シングルポットスチルは未発芽の大麦などを加えるのが最大の特徴。この原料の違いが、味わいの根本的な違いを生み出しています。スコッチのシングルモルトに慣れ親しんだ方がこのウイスキーを口にすれば、その独特の風味に新たな発見があるはずです。
5種の樽が織りなす複雑なフレーバー
伝統製法を復活させるだけでなく、熟成にもジェムソンの革新的な挑戦がみられます。「ジェムソン シングルポットスチル」は、以下の5種類もの異なる樽で熟成させた原酒をヴァッティング(混合)しています。
- バーボン樽
- シェリー樽
- アイリッシュオークのバージン樽
- ヨーロピアンオークのバージン樽
- アメリカンオークのバージン樽
バーボン樽由来のバニラのような甘さ、シェリー樽由来のドライフルーツのニュアンス。そこに、3種類の個性豊かなバージンオーク樽がもたらす、スパイシーさが加わります。この複雑な樽の組み合わせが、伝統的なポットスチルの味わいに、現代的で洗練された深みを与えています。
ジェムソン シングルポットスチルのテイスティングレビュー・評価
ジェムソン シングルポットスチルの特性レーダーチャート


ジェムソン シングルポットスチルの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)


香り
開栓直後は、糖蜜の香りを強く感じました。時間が経つと、糖蜜はより華やかなハチミツの香りに変化。穀物の優しく甘い香りや、チョコレート、清涼感のあるスパイスやハーブのような香りもあり、複層的です。
味わいと余韻


味わいは、チョコレートとハチミツ、花の華やかさ、バニラ、スパイシーさを強く感じます。香りからは清涼なハーブ感を感じていましたが、味わってみるとクローブやナツメグのような甘い風味を有するスパイスを強く感じました。他にも、ドライフルーツや木を加熱したときに感じるような甘いニュアンスも(スモーキーまではいかない)。
チョコレートの風味に関しては、前半はミルクチョコレートなのですが、後半にいくに従ってダークチョコレートになっていきます。アイリッシュウイスキーのジェムソンといえば、ライト&スムースで飲みやすい印象を持っていましたが、「ジェムソン シングルポットスチル」は深く複雑で濃厚な味わいで、かなり飲み応えがあります。
アルコール刺激はあるものの、アルコール度数46度であることを考えると、度数の割には刺激は少なめでまろやかと言えるでしょう。
余韻は長く、僕の感覚で70秒程度。口に含んですぐにバニラ、チョコレート、穀物、ハチミツのコクのある甘さが感じられ、ワンテンポおいてからオレンジ、クローブやナツメグのスパイスがやってきます。ハチミツとスパイスは中盤で消えていき、穀物とオレンジは後半で消え、最後までバニラとチョコレートを楽しめました。
ジェムソン シングルポットスチルの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
![]() ![]() ストレート | 5 |
![]() ![]() 加水 | 5 |
![]() ![]() オン・ザ・ロックス | 5 |
![]() ![]() ハイボール | 5 |
![]() ![]() ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:


数滴の加水でアルコール刺激が弱まり、甘味が強まります。バニラやハチミツの甘い風味も強くなったように感じました。ストレートはアルコール度数46%のため、ウイスキーを飲み慣れていない人には強く感じるはず。そんな方には加水がオススメです。
オン・ザ・ロックス オススメ度:


苦味がやや増し、ハチミツとビターチョコ、スパイスの風味が心地良いオン・ザ・ロックスです。バニラウエハースも感じられ、氷が溶けて薄まっていってもバランス崩れず、ゆっくりと楽しめます。
ハイボール オススメ度:


ジェムソン シングルポットスチルのフルーティーさ、華やかさがもっとも楽しめるでしょう。オレンジ以外にもメロンのようなフルーティーさが現れ、ハチミツの風味との相性もバッチリです。
ホットウイスキー オススメ度:


ウイスキー:お湯=1:2の濃いめでのレビューです。
穀物とハチミツ、オレンジピールが強く、程よいビターさがあります。スパイス感とナッツのようなオイリーさも。濃厚で味わい深いホットウイスキーです。
ジェムソン シングルポットスチルとジェムソン スタンダードとの比較


アイリッシュウイスキー王道の「ジェムソン スタンダードボトル」と飲み比べしました。
ジェムソン シングルポットスチルとジェムソン スタンダードとの特性比較


ジェムソン シングルポットスチルとジェムソン スタンダードの特徴比較
これら2銘柄の比較表を用意しました。
ジェムソン シングルポットスチル | ジェムソン スタンダード | |
---|---|---|
特性 | 濃厚で複雑、なめらか、飲みごたえあり | スムースでなめらかな口当たり |
特徴 | 〇チョコレート、ハチミツ、穀物、スパイス(クローブ、ナツメグ)が強め 〇スモーキーではないが、木を加熱した際の甘い風味もある 〇フルボディ寄りのミディアムボディ | 〇フルーティーさとドライで甘いスパイシーさ 〇オイリーで少し香ばしい 〇ライトボディ |
ジェムソン シングルポットスチルは、ジェムソン スタンダードと同様にアイリッシュウイスキー特有の3回蒸留によるスムースでなめらかな飲み口です。スタンダードはブレンデッドウイスキーですが、スコッチブレンデッドとは異なる、「ポットスチルウイスキー+グレーンウイスキー」のアイリッシュブレンデッド。
スタンダードはライトでフルーティー、スパイシーさもあるタイプで、シングルポットスチルはチョコレートやハチミツ、穀物、スパイス感を濃厚に感じ取ることができ、木樽のニュアンスも感じられる味わいです。



スコッチのシングルモルトとはまた異なる「個性」が感じられるのが、シングルポットスチルです。このスパイシーな感じはクセになるかもしれません。
感想・まとめ:濃厚&複雑な味わいは、どんな飲み方でも楽しめる
No.1アイリッシュウイスキーメーカーのジェムソンから「ジェムソン シングルポットスチル」を紹介しました。アルコール度数46%と高い濃度にもかかわらず、なめらかな口当たりです。5種類の樽による複雑な風味はストレートで真価を味わえますが、どの飲み方でもバランスが崩れずそれぞれでおいしく楽しめるでしょう。
飲み込んだ後も、口内は心地良い温かみで満たされ、濃厚な甘さとスパイシーさをじんわり長く楽しめます。
- スパイシーで複雑な味わいのウイスキーをお探しの方
- ウイスキーの歴史や製法に興味があり、伝統的なスタイルを体験したい方
- 普段はジェムソン スタンダードを飲んでいて、いつもと違う濃厚な味わいを試したい方



個人的に、リピート確定のボトルです。スモーキーは苦手だけどスパイシーなウイスキーを飲んでみたいという方にもオススメします。



