スコッチブレンデッドウイスキーの販売量(2023年データ)で世界第3位の『シーバスリーガル』。他の主要なスコッチウイスキーメーカーでは、年数表記のない1,000円台の銘柄を用意している中、シーバスリーガルでもっともリーズナブルな銘柄が約3,000円の「シーバスリーガル 12年」です。

12年以上の年数表記銘柄しか販売していないところに、シーバスリーガルのこだわりが感じられます。
この記事では、シーバスリーガル 12年の歴史、製法、味わい、おすすめの飲み方などを徹底的に解説します。
- 味わいのバランスが絶妙なブレンデッドスコッチウイスキー。
- リンゴやレーズンの熟したフルーティーさ、カスタードクリームのコクのある甘い風味。
- スコッチブレンデッドウイスキーの中ではボディしっかりめ。


記事の後半では、同じスコッチブレンデッドウイスキーの年数表記12年ものである「ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年」、「グランツ トリプルウッド 12年」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
シーバスリーガル 12年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | シーバスリーガル 12年 |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | ストラスアイラ |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | シーバスブラザーズ社 |
取扱い | ペルノ・リカール・ジャパン |
参考価格 | 3,500~4,000円 |
概要
19世紀から続く、ブレンデッドスコッチの傑作
シーバスリーガルの歴史は、1801年にスコットランドのアバディーンで創業した食料品店に始まります。創業当時の経営者が、事業の発展に伴い共同経営者としてジェームズ・シーバスが加わりました。ジェームズ・シーバスは、食料品以外にも、当時需要が伸びていたウイスキーの扱いを増やし、徐々に評判を得て世界中から注文が殺到、1843年にはヴィクトリア女王からロイヤルワラント(女王御用達の称号)を授けられるほどに。
創業者が亡くなった後、ジェームズは弟のジョンを共同経営者として招き、1858年にシーバスブラザーズ社が誕生しました。1860年代には、事業形態を酒類・食料品の販売からウイスキーの製造販売に移行。ジェームズが亡くなった後は長年ジェームズの助手を務めたアレキサンダー・スミスがウイスキーづくりを継ぎ、マスターブレンダーのチャールズ・ハワードとともに1891年に完成させたのが「シーバスリーガル」です。
1909年、シーバスリーガルはアメリカとカナダで販売されることになり、その際に世界初の高級ウイスキーとなる「25年物」をリリース。シーバスリーガルは上流社会の定番となりました。しかし、アメリカで1920年に発令された禁酒法によって、この重要な市場から一時的に撤退を余儀なくされました 。禁酒法があけた後、1938年にシーバスリーガルは12年物をリリースし復活をとげ、より幅広い消費者層にアピールすることで、世界中で愛されるブレンデッドスコッチウイスキーの代表格となったのです。
世界第3位のスコッチ販売量
シーバスリーガルは、スコッチウイスキー販売量として世界第3位の座をかけて、グランツ(ウィリアム・グラント&サンズ社)と競い合っています。The Spirits Buisiness.comのThe Brand Champion 2024レポートによると、2021年ではグランツが世界第3位で、2022年と2023年はシーバスリーガルが第3位でした。
2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|
グランツ | 420万ケース | 420万ケース | 440万ケース |
シーバスリーガル | 410万ケース | 560万ケース | 460万ケース |
シーバスリーガルの最重要モルト:ストラスアイラ
シーバスリーガル12年の特徴は、その卓越したブレンディング技術にあります。ストラスアイラ蒸留所の高品質なモルトウイスキーを核とし、様々な蒸留所のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドすることで、複雑で豊かな味わいを生み出しています。最低12年以上熟成された原酒のみを使用し、スムースでバランスの取れた味わいを実現しています。


ストラスアイラ蒸留所は、スペイサイド最古の蒸留所で創業1786年です。もとはミルタウン(ミルトン)と呼ばれていましたが、1951年にシーバスブラザーズ社に買収された際にストラスアイラと改名。ゲール語の意味は、「アイラ川の広い谷」です。蒸留所の近くにはフォン・ブイエンという泉があり、ストラスアイラの仕込み水にはこの泉の水が一部使われています。フォン・ブイエンはスコットランドに伝わる水棲の妖精ケルピーに守られているとされ、これがストラスアイラの隠し味になっているとか。
ストラスアイラでつくられた原酒はほぼ全てがシーバスリーガル用として出荷されています。



ストラスアイラのシングルモルトに出会える機会はほとんどないでしょうが、シーバスリーガルを通してその味わいを楽しむことができます。
シーバスリーガル 12年のテイスティングレビュー・評価
シーバスリーガル 12年の特性レーダーチャート


シーバスリーガル 12年の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)


香り
チョコレートとリンゴ、弱めですがメロン、レーズン、バニラも感じられ、総じて甘い風味が強いです。わずかに草のニュアンスも。
味わいと余韻


味わいでもっとも目立つのは、りんご、はちみつ、チョコレートです。香りで感じていたよりもレーズンが強く、バニラというよりもカスタードクリームの風味、メロンのような華やかな感じがはちみつの風味に変わり、草のニュアンスはスモーキーさを伴ったものだとわかりました。アルコールの刺激は少なくまろやかで、他のスコッチブレンデッド12年物と比べてもストレートでの飲みやすさはバツグンです。スペイサイド地方特有のフルーティーで華やかな味わいがあり、これがストラスアイラモルト由来の味わいなのかと想像しながら楽しめます。



スコッチブレンデッドウイスキーの主要銘柄の中では、ボディのある味わいで、フルーティー特化でもなく、スモーキーでもない絶妙なバランスに感じられました。
余韻は中程度で、僕の感覚で50秒程度。口に含んですぐにリンゴ、はちみつ、レーズンが感じられます。数秒経ってからカスタードクリームやチョコレートも感じるようになり、レーズンとチョコレートは早めに消えていきます。リンゴとはちみつ、カスタードクリームは最後まで感じられました。
シーバスリーガル 12年の飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
![]() ![]() ストレート | 5 |
![]() ![]() 加水 | 5 |
![]() ![]() オン・ザ・ロックス | 5 |
![]() ![]() ハイボール | 5 |
![]() ![]() ホットウイスキー | 4 |
加水 オススメ度:


数滴の加水で、レーズンの風味が増し、飲み込んだ後に鼻から抜けるはちみつ、華やかさも増します。
ストレートでは風味が少ないなと思う時は数滴加水をオススメします。
オン・ザ・ロックス オススメ度:


レーズンの風味をもっとも強く感じたのがオン・ザ・ロックスでした。ビターチョコも感じられ、コクのある甘さが楽しめます。氷の溶けが進むと、メロンのような風味があらわれます。風味は徐々に軽くなっていきますが、バランスは崩れないため長く楽しめます。
ハイボール オススメ度:


非常になめらかでまろやかなハイボールです。リンゴとメロンとブドウをたして3で割ったようなフルーティーさ、はちみつの風味がたまりません。
ホットウイスキー オススメ度:


ウイスキー:お湯=1:3くらいでつくると、カスタードクリームとレーズンを強く感じ飲みやすいです。やや苦味が気になるところ。これより濃いめにつくると後味に強い苦味が残り、バランスが崩れてしまいました。
シーバスリーガル 12年とジョニーウォーカー 12年、グランツトリプルウッド 12年との比較


同じくスコッチブレンデッドウイスキーの12年物である、「ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年」、「グランツ トリプルウッド 12年」と飲み比べしました。
シーバスリーガル 12年とジョニーウォーカー 12年、グランツトリプルウッド 12年との特性比較


シーバスリーガル 12年とジョニーウォーカー 12年、グランツトリプルウッド 12年との特徴比較
これら3銘柄に絞った比較表を用意しました。
シーバスリーガル 12年 | ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年 | グランツ トリプルウッド 12年 | |
---|---|---|---|
特性 | まろやかでコクがある | クセがありながらバランスがとれている | 味わいの輪郭がはっきりしている |
特徴 | 〇リンゴ、はちみつ、レーズン、カスタードクリームの甘さ 〇スモーキーさはややある 〇ライト寄りのミディアムボディ | ◯穀物、リンゴの甘さ ◯甘くフローラルの後にスモーキー 〇ミディアム寄りのライトボディ | 〇はちみつ、バニラ、甘栗、レーズンの甘さ 〇スモーキーさはほとんどない 〇ミディアム寄りのライトボディ |
シーバスリーガル 12年は3銘柄中でボディがもっともしっかりとしていてまろやかです。フルーティーさで比べると、グランツ 12年>ジョニーウォーカー 12年>シーバスリーガル 12年。スモーキーさで比べると、ジョニーウォーカー 12年>シーバスリーガル 12年>グランツ 12年。はちみつやバニラのコクのある風味で比べると、シーバスリーガル 12年>ジョニーウォーカー 12年>グランツ 12年といった順に感じられました。
ジョニーウォーカー 12年で感じられるリンゴは爽やかな味わいですが、シーバスリーガルのリンゴ感は熟した甘くジューシーなリンゴのイメージ。グランツ 12年ははちみつやバニラ、甘栗、レーズンといった要素の味わい輪郭がはっきりしていてわかりやすさがありますが、シーバスリーガル 12年はまろやかで味わい輪郭がぼんやりしている印象です。ジョニーウォーカー 12年はその中間といったところ。



味わいの輪郭の違いがあろうと、3銘柄ともに完成度の高いスコッチブレンデッドです。個人の好みにもよりますが、僕はどれも好きですね。
感想・まとめ:初心者から愛好家まで満足できる完成度
スコッチで世界販売量第3位のシーバスリーガルから、「シーバスリーガル 12年」を紹介しました。スコッチブレンデッドウイスキーの中ではしっかりめのボディながらまろやかさ・なめらかさがありストレートでも飲みやすい味わいです。どの飲み方でも、シーバスリーガル 12年の特徴を損なうことなく、しっかり味わうことができるでしょう。
味わいについては完成度が高いので、これからウイスキーを飲んでみたいという初心者の方から普段ウイスキーを飲んでいる方まで幅広くオススメできるウイスキーです。



ネット販売よりも、店頭価格の方が安いことが多いボトルです。税込みで3,000円未満で買えることもありますよ。
- バランスがとれていて飲みごたえのある12年熟成ブレンデッドウイスキーをお探しの方
- これからウイスキーに挑戦したい初心者の方
- 様々な飲み方でおいしく楽しめるウイスキーをお探しの方









