日本でもよく見かけるスコッチブレンデッドウイスキー「ティーチャーズ」のキーモルトとして中核となる味わいを持つ「アードモア」。アードモアはスコットランドハイランド地方のシングルモルトウイスキーとしては異色の存在です。その理由はハイランドモルトには珍しいスモーキータイプだから。
アードモアの代表銘柄「アードモア レガシー」を紹介します。金色のワシが描かれたラベルがかっこいいですね。このワシはアードモア蒸留所の守り神なんです。
- 焚火のような穏やかなスモーキーさと華やかさのバランスがグッド!
- バニラやはちみつ感からくる甘味。
- 余韻は長く、徐々にスモーキーさが強まる。
記事の後半では、ザ・グレンリベット12年やティーチャーズ ハイランドクリームとの比較もしています。ぜひ最後まで記事を読んでいってください!
アードモア レガシーの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | アードモア レガシー |
原産国 | スコットランド(ハイランド) |
蒸留所 | アードモア蒸留所 |
分類 | シングルモルト |
仕込み水 | ノッカンディーヒルの15の泉 |
アルコール度数 | 40% |
主な熟成樽 | バーボン樽、シェリー樽 |
所有者 | ビーム・サントリー社(ウィリアム・ティーチャー&サンズ社) |
取扱い | サントリーホールディングス |
参考価格 | 3,000~3,600円 |
ストーリー
アードモア レガシーを製造しているアードモア蒸留所はスコットランド東ハイランドのケネスモントという地で1898年に創業しました。ウィリアムティーチャー&サンズ社が自社ブレンデッドウイスキー「ティーチャーズ」の原酒確保のためにつくった蒸留所です。
アードモアはゲール語で、“アード”=丘・岬、“モア”=大きいで「大きな丘」の意味。アードは内陸だと「丘」を、海岸だと「岬」を表します。
かつてはほぼすべての原酒がブレンデッド用でありシングルモルト市場にはほとんど流通していませんでしたが、所有者がビームサントリー社になってからはアードモア レガシーがシングルモルトウイスキーとして販売されるようになりました。
アードモア蒸留所では昔からピーテッドモルトとノンピーテッドモルトの2つの原酒が造られてきました。アードモア レガシーではピーテッドモルト80%とノンピーテッドモルト20%の割合でブレンドされています。使用されるピート(泥炭)はすべて蒸留所から直線距離で約60km離れたセントファーガス産で、スモーキーウイスキーとして有名なアイラ島のピートとは異なり潮の影響を受けていないためヨウ素や潮っぽさがありません。
アードモアのスモーキーな風味はハイランドモルトとしては珍しい特徴ですが、地元のピートを使用することでハイランドの気候風土要素が表現されたシングルモルトであり、ブレンデッドウイスキーのティーチャーズにもアードモアの風味がしっかりと活きています。
アードモア レガシーのテイスティングレビュー・評価
アードモア レガシーの特性レーダーチャート
アードモア レガシーの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香りからは、シリアルの穀物感のある香ばしさ、バニラ、シナモンのスパイス感があり、そこまで力強いスモーキーさはありません。
口に含んでみるとバニラやはちみつの甘さ、熟したリンゴ、花の華やかさが最初に感じられ、そのあとしっかりとした焚火のようなスモーキーとちょっとした土っぽさ。スモーキーは最初は弱めですが中味にかけて徐々に強まり、長めの余韻に心地よいスモーキー感が残ります。クリーミーさもあるのでなめらかな舌触りでストレートでも飲みやすいです。
飲み飽きない味わいで、徐々に強まる焚火スモーキーがクセになります。
アードモア レガシーの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 5 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 4 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
甘味はそれほど変わらず、スパイシーさとアルコール刺激が抑えられることでまろやかな飲み口に。
飲みやすくなりますが思った以上に薄まる印象です。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
甘味とアルコール刺激は抑えられ、ビターになります。だからといってバランスが崩れることはありません。
じんわりとスモーキーさを感じることができ、まったりゆっくりとウイスキーを楽しみたい時にオススメです。
ハイボール オススメ度:
華やかさとスモーキーさを存分に楽しめるハイボールです。炭酸のシュワシュワにのってリンゴの爽やかさと華やかな花の香り、スモーキーさが気持ちよく口内に流れ込んできます。
飲んだ後に鼻から抜けていく風味もたまりません。
ホットウイスキー オススメ度:
甘味が強まり、華やかさはそのままにスモーキーさが少し抑えられます。クセのある個性はやや落ち着きますがそれでも風味豊かで飲みやすいです。
アードモア レガシーとザ・グレンリベット 12年との比較
当ブログのウイスキー評価基準にしているザ・グレンリベット12年と比較しました。まずは色合いからですが、アードモア レガシーの方がうすく黄色がかった琥珀色です。
アードモア レガシーとザ・グレンリベット12年との特性比較
アードモア レガシーとザ・グレンリベット12年との特徴比較
アードモア レガシーとティーチャーズ ハイランドクリームとの比較
アードモアがキーモルトとして使われているティーチャーズ ハイランドクリームとの比較をしました。色合いはアードモア レガシーの方がうすく、ティーチャーズ ハイランドクリームは赤みを帯びた琥珀色に見えます。
アードモア レガシーとティーチャーズ ハイランドクリームとの特性比較
アードモア レガシーとティーチャーズ ハイランドクリームとの特徴比較
アードモア レガシーとティーチャーズ ハイランドクリームとのハイボール比較
ティーチャーズといえばやはりハイボール、ということでアードモア レガシーとティーチャーズ ハイランドクリームのハイボール比較をしました。ハイボールにした状態でも色合いはアードモア レガシーの方がうすいことがわかります。
気になる味わいですが、ティーチャーズハイボールは苦味や雑味が多少ある一方で、アードモアハイボールは雑味が少なくきれいな味わいとティーチャーズよりも強いスモーキーさ、華やかさがあります。
普段の宅飲みではティーチャーズハイランドクリームのハイボールでも十分おいしく楽しめますが、いつもよりちょっと頑張った日などごほうびの1杯にアードモア レガシーのハイボールというのもいいですよ!
アードモアレガシー、ザ・グレンリベット12年、ティーチャーズハイランドクリームの比較表
これら3銘柄に絞った比較表を用意しました。
アードモア レガシー | ザ・グレンリベット12年 | ティーチャーズ ハイランドクリーム | |
---|---|---|---|
特性 | 個性は強いけれど穏やかでバランス良い | クセは少ないけれどすべてが平均点以上の優等生 | まとまりがある中で個性もしっかり感じられる |
特徴 | ・バニラやはちみつ、熟したリンゴの甘味と華やかさ ・余韻は長く、徐々にスモーキー感が強まる | ・強めのバニラ、はちみつ、オレンジ ・ライト寄りのミドルボディ | ・青リンゴとスモーキーさ ・余韻は短く、後味にアルコール辛さ |
アードモアレガシーとザ・グレンリベット12年とのシングルモルト比較ではアードモアレガシーの方がスモーキーな点で個性が強く、ザ・グレンリベット12年の方がバニラ、はちみつの甘味が強かったです。
アードモアレガシーとティーチャーズハイランドクリームとの比較では、ティーチャーズのスモーキー感はアードモアであることがよくわかる味わいでした。爽やかさであればティーチャーズですが、味わいの奥深さや余韻の長さではシングルモルトのアードモアがやはり勝っています。
感想・まとめ:ティーチャーズ好きなら絶対飲むべきシングルモルト
ティーチャーズのキーモルトであるアードモアの主力シングルモルト「アードモア レガシー」を紹介しました。アードモア レガシーの焚火のようなスモーキーさは他のスモーキー系スコッチウイスキーの中ではクセは少なめで飲みやすいでしょう。スモーキーなだけではなく、バニラやはちみつ、リンゴの甘く華やかな風味もあるのでバランスの取れた味わいが楽しめます。
価格も3,000円台前半で購入できるので、スモーキー系シングルモルト初心者の方でも挑戦しやすいボトルです。ティーチャーズハイランドクリームが約1,000円として3倍の価格差を考えると、しっかりアードモアの個性を感じ取れるティーチャーズのコスパは凄まじいといえます。しかしそれでもティーチャーズでは味わえない奥深さや余韻がアードモア レガシーにはありますので、気になる方はぜひ飲んでみて下さい。
- スモーキーシングルモルト入門に最適
- ティーチャーズがお好きな方