青いラベルに白文字で「MIST」と大きく書かれたボトルが印象的なカナディアンウイスキーの『カナディアンミスト』。
カナディアンウイスキーといえば白いラベルのカナディアンクラブか青いラベルのカナディアンミストが頭に浮かぶ方は多いのではないでしょうか。
- ストレートでは黒糖の味わいが楽しめる。
- ほろ苦さと優しい甘さのホットウイスキーがオススメ。
- 価格の割に味わい深く、隠れた良コスパウイスキー。
記事の後半では日本で最も有名なカナディアンウイスキーである「カナディアンクラブ」のスタンダードボトルとの比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
カナディアンミストの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | カナディアンミスト |
原産国 | カナダ |
分類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | サゼラック社 |
取扱い | アサヒビール |
参考価格 | 1,600円 |
ストーリー
カナディアンミストはカナダのオンタリオ州コリングウッドにある1967年創業のカナディアンミスト蒸留所でつくられています。
カナディアンウイスキーは、ライ麦などを原料としたフレーバリングウイスキーとトウモロコシを主原料としたベースウイスキーがあり、ほとんどの製品が両者をブレンドしたカナディアンブレンデッドウイスキーです。カナディアンミストもカナディアンブレンデッドウイスキーに分類されます。
原料に「香料、苦味料」が入っている
カナディアンミストの裏面ラベルを見てみると、原材料名に「香料、苦味料」の文字があります。カナディアンウイスキーの法定義には“瓶詰度数は40%以上で、カラメルまたは「フレーバリング」を含むことは可能”とありますが、この「フレーバリング」はカナディアン以外のスピリッツ、ワインのことを指すものです。
日本の食品表示にあわせて、フレーバリングのスピリッツもしくはワインを「香料」、苦味やコクをもたらす役割もあるカラメルを「苦味料」と表記しているのかもしれません。
カナディアンミストは2020年にサゼラック社に買収されましたが、それ以前はアメリカのブラウンフォーマン社が所有していました。その頃は原酒をブラウンフォーマン蒸留所に運び、アーリータイムズ(バーボンウイスキー)を加えてブレンド、ボトリングしていました。(現在でもアーリータイムズがブレンドされているのかは未確認ですが、わかり次第記事を更新する予定)
原料穀物のこだわり
原料の穀物である大麦麦芽はアルバータ州、ライ麦はオンタリオ州、とうもろこしは蒸留所から100マイル(約160km)以内で栽培されたものが使われ、地元産にこだわっていることがわかります。
穀物以外のこだわりとして、3回蒸留が挙げられます。これによってまろやかですっきりした味わいになっています。
カナディアンミストのテイスティングレビュー・評価
カナディアンミストの特性レーダーチャート
カナディアンミストの特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
グラスに鼻を近づけると、砂糖を加熱してカラメルになりはじめた時のような甘いカラメルの香りがし、フルーティーさも感じ取れます。
口に含んでみると、黒糖のような甘い風味にうっすらとトロピカルフルーツの風味があり、甘味のあとにアルコールが喉奥を少しピリピリと刺激します。後味にはほのかに苦味がありますが心地よい苦味でバランスが取れている印象。スモーキーさはないけれど香りでも感じていた”砂糖を焦がしはじめた”ような風味があります。
黒糖の風味はストレートで強く感じ取れました。他の飲み方だとほぼ消失してしまったので、アルコール刺激が気にならない方はストレートもオススメです。
カナディアンミストの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 3 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 4 |
ハイボール | 3 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
数滴の加水で一気にアルコール刺激はなくなりまろやかになります。同時に黒糖風味も弱まりますが、わずかにベリーの酸味を伴うフルーティーさがでました。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
苦味が引き立ちますがイヤな苦味ではありません。フルーティーさが少し強まり黒糖感はかなり弱まります。
氷の溶けがすすむと徐々にまろやかになり、まったりとした甘味を感じるようになります。個人的には溶けがすすんでから飲む方が好みでした。
ハイボール オススメ度:
なぜか旨味のような味が加わりバランスがくずれました。この味が後味にも残り違和感。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2がおいしく感じました。
苦味が落ち着き、わずかなほろ苦さになります。黒糖感はほとんどなくなりますが、甘味は優しくなりわずかにトロピカルフルーツを感じるように。
カナディアンミストの黒糖以外の風味が底上げされた印象です。
カナディアンクラブ(ノンエイジ)との比較
カナディアンウイスキーの中でトップクラスの販売量を誇る「カナディアンクラブ」のスタンダードボトルと比較しました。カナディアンミストのほうが薄い色合いです。
カナディアンミストとカナディアンクラブの特性比較
カナディアンミストとカナディアンクラブの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表も用意しました。
カナディアンミスト | カナディアンクラブ | |
---|---|---|
特性 | 香り・味わいともにカナディアンクラブよりも複雑で濃い | 雑味がなく単調 |
特徴 | ・黒糖と控えめなフルーティーさ ・ライトボディ | ・薄くバニラ・メロン・柑橘を感じる ・クセのないライトボディ |
2銘柄ともライトボディですが、カナディアンミストのほうがややボディ感があり味わいが豊かで濃いです。それぞれ感じとれる特徴は違い、カナディアンミストは甘い風味を持ちつつ飲みやすい酒質、一方のカナディアンクラブはクセが少なくよりライトでカクテルベースに幅広く使えるような酒質です。
感想・まとめ:クセが少ないながらも味わいを求める方にはオススメ
コンビニやスーパーでは見かけることがないと思いますが、酒屋さんに行くと結構見かけると思われる「カナディアンミスト」を紹介しました。名前に”カナディアン”がついているのでカナディアンウイスキーであることはわかっていてもどんな香りや味わいなのか気になっていた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
飲んでみると「価格の割によくできていておいしい」と思えるカナディアンブレンデッドウイスキーでした。普段スコッチのシングルモルトウイスキーやバーボンウイスキーなど個性が強いウイスキーを飲まれている方には物足りないでしょうが、ウイスキー初心者の方などにはオススメできる飲みやすさです。
- 1,000円台で普段の宅飲み用ウイスキーをお探しの方
- オン・ザ・ロックスやホットウイスキーがおいしいカナディアンウイスキーをお探しの方
- 個性はあまりないけれど、味わいがあってバランスよい良コスパウイスキーをお探しの方