スコッチウイスキーの王道として世界中で愛されるシーバスリーガル。その中でも、日本のウイスキーファンのために特別にブレンドされた「シーバスリーガル ミズナラ 12年」は、発売以来、多くの人々を魅了し続けています。スコットランドの伝統と日本の感性が融合したこのウイスキーは、一体どのような魅力を持っているのでしょうか。

シーバスリーガル ミズナラ 12年は、ウイスキー初心者にもよくオススメされるボトルですね。
この記事では、シーバスリーガル ミズナラ 12年の製法、味わい、オススメの飲み方などを徹底的に解説します。
- 香木の風味が魅力のスコッチブレンデッドウイスキー。
- 熟したリンゴやはちみつ、カスタードクリームのコクのある甘い風味。
- ボディしっかりめで、まろやかな味わい。


記事の後半では、シーバスリーガル定番の「シーバスリーガル 12年」、ミズナラ樽による後熟という点で同様の製法の「デュワーズ ジャパニーズスムース 8年」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
シーバスリーガル 12年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | シーバスリーガル ミズナラ 12年 |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | ストラスアイラ |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | シーバスブラザーズ社 |
取扱い | ペルノ・リカール・ジャパン |
参考価格 | 4,000~4,500円 |
概要
スコットランドと日本を結ぶ架け橋となったボトル
1801年にスコットランドのアバディーンで創業した食料品店がルーツであるシーバスリーガル。長い歴史を持つシーバスリーガルが、卓越したブレンド技術によりつくり上げた「シーバスリーガル 12年」を基盤として「シーバスリーガル ミズナラ 12年」は完成しました。
シーバスリーガル ミズナラ 12年は、シーバスリーガルの滑らかさと調和の取れた味わいに、日本のミズナラ樽フィニッシュ由来の個性的かつ繊細な複雑さが調和されています。それは、スコットランドと日本のウイスキー文化が融合した、両国文化の架け橋のようなボトルといえます。
日本からのインスピレーションにより誕生したミズナラ 12年
「シーバスリーガル ミズナラ 12年」の誕生のきっかけは、マスターブレンダー:コリン・スコット氏が日本のウイスキー造りに感銘を受け、深い敬意を抱いたことです 。スコット氏は、シーバスリーガルに代々受け継がれるブレンド技術と、自身の世界的な経験を融合させ、常に新しい表現を模索してきました。そして、日本のウイスキー造りから得たインスピレーションが、「ミズナラ樽」を使用するというアイデアに繋がったのです 。
2013年に日本限定発売されたこのウイスキーは 、日本のシーバスファンのために特別につくられました。これは「スコットランドから日本への贈り物」としての意味合いが込められています 。その製法は、12年以上熟成されたモルト原酒とグレーン原酒を、日本人の味覚を考慮してスコット氏が厳選しブレンド。その後、ブレンドされたウイスキーの一部をミズナラ樽でカスクフィニッシュ(後熟)させるという、手間のかかる工程を経て完成します 。
ミズナラ樽での熟成による効果


ミズナラ(Quercus crispula)は、日本固有のオークであり、「ジャパニーズオーク」とも呼ばれます 。良質な樽材を得るには樹齢の高い木が必要とされ 、一般的なアメリカンオークやヨーロピアンオークに比べて希少で高価です。
ミズナラ樽がウイスキーに与える最大の特徴は、その独特な香りにあります。白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)といった香木を思わせる、オリエンタルでエキゾチックな芳香は、バニラやキャラメル香が特徴のアメリカンオークや、ドライフルーツやスパイス香をもたらすシェリー樽とは一線を画します 。
しかし、ミズナラ樽の利用には困難も伴います。材質的に水分を通しやすく原酒が漏れやすい、加工が難しい、そして木の香りが強すぎてウイスキーの風味を損なう可能性がある、といった点です 。望ましい複雑な香りを引き出すには、繰り返し使用した樽(リフィルカスク)を用いる、あるいはカスクフィニッシュに限定するなど、慎重な樽管理が必要とされます 。
シーバスリーガル ミズナラ 12年では、ブレンドの一部をミズナラ樽でフィニッシュさせる手法を採用することで、ミズナラ特有の個性(スパイス感や独特のウッディさ)をより短期間で、かつコントロールしやすくウイスキーに付与しています。ミズナラ樽の扱いにくさ(強すぎる木香や漏洩リスク )を考慮すると、リスクを抑えつつそのエッセンスを取り入れるための、実用的なアプローチと言えるでしょう。
シーバスリーガル 12年のテイスティングレビュー・評価
シーバスリーガル 12年の特性レーダーチャート


シーバスリーガル 12年の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)


香り
グラスを開放しているとわかりづらいですが、フタをしてグラスの空間に香りを留まらせたあとに、フタを開けて嗅いでみると弱めですが香木が香ります。熟したリンゴやバニラ、わずかですがスモーキーさも感じられます。
味わいと余韻


口に含んだ瞬間から、ミズナラなのかはよくわかりませんが、白檀のお香のような甘い香木の風味が広がります。熟したリンゴやはちみつのコクのある甘い風味、カスタードクリームのようなクリーミーさ、わずかですがオレンジとチョコレートも感じられました。香りで感じたスモーキーさの正体はお香だったのか、スコッチウイスキー特有のスモーキーさはほとんど感じられません。まろやかで滑らかな味わい、アルコール刺激も弱めで、ストレートでも飲みやすいです。



白檀の風味は開栓して数日経ってからの方がより強く感じられました。結構クセになる風味です。
余韻はやや長く、僕の感覚で60秒程度。口に含んですぐに香木、リンゴ、はちみつ、カスタードクリーム、オレンジが感じられます。数秒経ってからチョコレートも感じるようになり、オレンジが早めに消えていき、チョコレートもその後消えていきます。香木、リンゴ、はちみつ、カスタードクリームの風味は最後まで感じられました。
シーバスリーガル 12年の飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
![]() ![]() ストレート | 5 |
![]() ![]() 加水 | 4 |
![]() ![]() オン・ザ・ロックス | 4 |
![]() ![]() ハイボール | 5 |
![]() ![]() ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:


数滴の加水で、さらにまろやかになります。一方で、ミズナラ 12年最大の特徴である香木の風味が弱まってしまいました。ストレートで香木の風味が苦手に感じた方は加水すると良いでしょう。
オン・ザ・ロックス オススメ度:


苦いというほどではありませんが、ビターチョコレート感が出ます。舌で感じる甘味は弱まりますが、はちみつの華やかさは強く、香木の風味もしっかりとあります。リンゴやオレンジのフルーティーさは感じにくくなりました。
しっかりしたコクのあるオン・ザ・ロックスで時間が経ち、氷が溶けてもバランスが崩れません。
ハイボール オススメ度:


香木とフルーティーさ、華やかさが炭酸の泡にのってさらに強まり、そのバランスが秀逸なハイボールです。フルーティーの内容は、リンゴとオレンジピール。オレンジピールのビターさが飲み飽きしない味わいにしています。
個人的にもっともオススメの飲み方です。シーバスリーガル ミズナラ 12年を買ったらぜひ試していただきたい飲み方です。
ホットウイスキー オススメ度:


ウイスキー:お湯=1:2の濃いめがオススメです。香木は少し弱まりますが、リンゴとはちみつと優しい香木の風味がなんとも言えないリラックス効果を与えてくれます。
まさに飲む「アロマセラピー」、一日の終わりに疲れを癒してくれます。
シーバスリーガル ミズナラ 12年とシーバスリーガル 12年、デュワーズ ジャパニーズスムース 8年との比較


シーバスリーガルの定番ボトル「シーバスリーガル 12年」と、スコッチブレンデッドウイスキーで同様のミズナラカスクフィニッシュの「デュワーズ ジャパニーズスムース 8年」と飲み比べしました。
シーバスリーガル ミズナラ 12年とシーバスリーガル 12年、デュワーズ ジャパニーズスムース 8年との特性比較


シーバスリーガル ミズナラ 12年とシーバスリーガル 12年、デュワーズ ジャパニーズスムース 8年との特徴比較
これら3銘柄に絞った比較表を用意しました。
シーバスリーガル ミズナラ 12年 | シーバスリーガル 12年 | デュワーズ ジャパニーズスムース 8年 | |
---|---|---|---|
特性 | まろやかでコクがある、風味が豊か | まろやかでコクがある | バランスの取れた飲みやすさ、個性は控えめ |
特徴 | 〇リンゴ、はちみつ、カスタードクリームの甘さ 〇口に含んだ瞬間から香木の風味、お香のようなスモーキー 〇ライト寄りのミディアムボディ | 〇リンゴ、はちみつ、レーズン、カスタードクリームの甘さ 〇スモーキーさはややある 〇ライト寄りのミディアムボデ | 〇余韻に弱い香木の風味 〇華やかさとはちみつの甘さ 〇ミディアム寄りのライトボディ |
シーバスリーガル 12年との比較では、ベースの味わいはかなり似通っていて、シーバスリーガル 12年の方がレーズン感があり、ミズナラ 12年ではオレンジを感じやすかったです。リンゴやはちみつ、カスタードクリームの風味は共通していました。最大の違いはやはりミズナラ樽の熟成による香木の風味です。もともとシーバスリーガル 12年はスモーキーさが弱く、アイラモルトのようなクセのあるスモーキーさではないため、ミズナラによる香木のお香のような風味と相性が良いのかもしれません。ストレートでの飲みやすさについても、ミズナラ 12年の方がまろやかで滑らかでした。
デュワーズ ジャパニーズスムース 8年は、ミズナラ樽でカスクフィニッシュしている点で、シーバスリーガル ミズナラ 12年と似たコンセプトの熟成方法といえます。ミズナラ由来と思われる香木の風味はシーバスリーガル ミズナラ 12年の方が強く、それ以外の風味の豊かさもシーバスリーガル ミズナラ 12年に軍配が上がります。デュワーズ ジャパニーズスムース 8年は飲みやすさはある一方で、飲み応えの点でやや物足りなさも。



デュワーズ ジャパニーズスムース 8年は、約3,000円であれば手頃な価格ですが、プレミア価格で4,000円以上だとコスパが悪いです。安定的に4,000円台中盤で買えて味わい深いシーバスリーガル ミズナラ 12年は、ミズナラ感を試すのにオススメ。
感想・まとめ:ミズナラ樽熟成感が味わえるオススメのエントリーボトル
スコッチブレンデッドウイスキーの定番シーバスリーガルシリーズから「シーバスリーガル ミズナラ 12年」を紹介しました。日本のシーバスファンのためにつくられた日本限定発売のユニークボトルであるシーバスリーガル ミズナラ 12年は、ミズナラ由来の香木の風味が心地良い、優れた品質のウイスキーでした。
通常ボトルのシーバスリーガル 12年は高い完成度ですが、シーバスリーガル ミズナラ 12年の完成度も素晴らしいもの。これからウイスキーを飲んでみたいという初心者の方から普段ウイスキーを飲んでいる方まで幅広くオススメできるウイスキーです。



店頭価格だと5,000円を超えることが多いですが、ネット販売であれば4,500円くらいで購入可能です。安くはありませんが、飲んだことない方にはぜひ一度お試しいただきたいボトルです。
- ミズナラ由来の香木の風味を楽しめるウイスキーをお探しの方
- バランスがとれていて飲みごたえのある12年熟成ブレンデッドウイスキーをお探しの方
- これからウイスキーに挑戦したい初心者の方





