「カフェグレーン」はニッカのブレンデッドウイスキーに欠かすことのできない伝統的な連続式蒸溜機によるグレーンウイスキーです。日本に先駆けて欧州で発売され、世界でも多くのウイスキーファンに親しまれています。
この記事では、「ニッカ カフェグレーン」の詳しい味わい、オススメの飲み方まで徹底的にレビューしていきます。
らま「カフェ」という名称は、ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所が所有する、世界でも稀少な「カフェ式連続式蒸溜機」からきています。コーヒーや喫茶店とは関係ないですよ。
- 味わい深いグレーンウイスキー
- ニッカウヰスキーのこだわり:カフェ式連続式蒸溜機によるウイスキー
- まったりとした甘い風味が印象的
記事の後半では、ニッカウヰスキーのブレンデッドモルトウイスキーである「竹鶴ピュアモルト」と「セッション」との比較もしています。ぜひ最後までご覧ください。
ニッカ カフェモルトの基本情報・概要
基本情報
| 銘柄 | ニッカ カフェグレーン |
| 原産国 | 日本 |
| 分類 | グレーン |
| アルコール度数 | 45% |
| 所有者 | ニッカウヰスキー |
| 取扱い | アサヒビール |
| 参考価格(税込) | 6,600円 |
概要
「カフェ」の由来は、連続式蒸溜機の発明者イーニアス・カフェ


カフェグレーンは、世界でも稀少な「カフェ式連続式蒸溜機」で蒸溜されたグレーンウイスキーです。カフェ式連続式蒸溜機は、1830年にイーニアス・カフェ(Aeneas Coffey)によって発明されました。この画像は1945年にDublin Historical Recordに掲載された文献の一部です。この文献では、イーニアス・カフェ(コフィー)の生涯と連続式蒸留機の発明がいかに革命的であったかを解説しています。



Coffeyの発音はコフィーなのですが、竹鶴政孝がカフェと発音していたので、そのまま定着したそうです。
かいつまんで解説します。イーニアス・コフィーは、ダブリンを拠点に活動した発明家であり、もともとはアイルランドの税務官でした。税務官を退職した後、自身の蒸溜機製造会社を設立し、1830年に連続式蒸留機の特許を取得。


連続式蒸留機の発明以前、ウイスキーづくりの主流は「ポットスチル(単式蒸留器)」でした。ポットスチルは蒸留の際に1回ごとに中身を空にして洗浄・再加熱する必要があり、時間と燃料を大量に消費する「バッチ式」です。そんな中、コフィーの発明した蒸留機は「連続的な動作」を可能にしました。蒸留機に入る前の冷たいもろみを、蒸溜機から出てくる熱いアルコール蒸気の冷却材として利用。これによりもろみはあらかじめ予熱され、蒸気は効率よく冷やされます。燃料を大幅に節約しながら、一度の工程で約90%の高純度アルコールを抽出できるようになりました。(下図の黄色ラインがもろみが通る管)





一般的には「蒸留」という漢字を使いますが、ニッカやサントリーをはじめとする日本のウイスキー製造所では「蒸溜」という漢字が使われています。この記事でもニッカに関する際は後者で記載しています。


現代の連続式蒸留機の主流は、蒸溜塔が4つですが、旧式であるカフェ式では「モロミ塔」と「精溜塔」の二つのみ。現代の連続式蒸留機はカフェ式よりもさらに効率化とアルコール純度の高度化が進み、さらにクリアで淡白な香り・味わいになっています。逆に言うと、カフェ式は現代の主流に比べて効率は悪い一方で、原料由来の香味成分が多い原酒が得られるのです。
効率よりも香味、竹鶴政孝がグレーンウイスキーに託した夢
日本のウイスキーの父、竹鶴政孝。彼がスコットランドで学んだ「本物のブレンデッドウイスキー」を完成させるためには、どうしても欠かせない要素がありました。
それが、高品質なグレーンウイスキーです。
1960年代当時の日本でつくられていたウイスキーは、モルトに「中性スピリッツ」を混ぜるのが一般的でした。当時の中性スピリッツの原料は、廃糖蜜やサツマイモなどでした。政孝がこだわったのは、スコットランドと同じ「穀物由来のスピリッツ」を使うこと。それなくして、理想のブレンドは生まれないと確信していたのです。
そこで彼が選んだのが、当時すでに「旧式」と呼ばれていたカフェ式連続式蒸溜機でした。


政孝の夢は、自らが学んだスコットランドのように別々の蒸溜所で個性の違うモルト原酒を生み出し、さらに本場と同品質のグレーンウイスキーを日本国内で生産するというものでした。その信念を貫くため、政孝は1962年、養子の威(たけし)氏とともに再びスコットランドへ渡ります。朝日麦酒(現・アサヒビール)の全面的な支援を受け、巨額の資金を投じてこの「魔法の機械」を導入したのです。
1964年に西宮工場でカフェグレーンの製造が始まると、政孝の夢は最終段階へ向かいます。
- 余市モルト: 力強いハイランドタイプ
- 宮城峡モルト: 穏やかなローランドタイプ
- カフェグレーン: 味わい深いグレーン
この3つが揃って初めて、日本における「本物のブレンデッドウイスキー」が完成しました。特に1969年に設立された宮城峡蒸溜所のエピソードは象徴的です。新川(にっかわ)の水を一口飲んだ政孝が、「ここに決めたぞ」と座り込んで動かなくなった瞬間、彼は確信したはずです。これでようやく、スコットランドで見たあの景色に追いつけると。
執念が生んだ、世界が認める「甘さ」
現在、ニッカ カフェグレーンは世界中のウイスキー愛好家から高く評価されています。効率を優先して最新鋭の機材を選んでいたら、この独特のグレーンウイスキーは生まれていなかったでしょう。
竹鶴政孝のグレーンへのこだわりは、単なる「混ぜもの」としての役割を超え、ウイスキーの調和(ハーモニー)を生むための、最も贅沢なこだわりだったのです。
ニッカ カフェグレーンのテイスティングレビュー・評価
ニッカ カフェモルトの特性レーダーチャート


ニッカ カフェモルトの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)


香り
甘さメインの香りで、バニラやチョコレートが強く、その奥にハーブも感じられます。まったりとした甘さを連想させる香りです。
味わいと余韻


香り同様にバニラとチョコレート、ハーブが感じられ、それ以外にも花の蜜やみかんが感じられます。口に含んでいる間は甘さメインなのですが、飲み込んだ後には苦味が訪れます。
アルコール刺激は感じられますが、アルコール濃度45°であることを考えると、その数値ほど強くは感じられません。
ボディはライト寄りのミディアムで、クリーミーさもありスムースな飲み心地です。



モルトウイスキーに比べると個性は控えめですが、まったりとした甘い風味が心地よいです。
余韻はやや長く、僕の感覚で70秒程度。口に含んですぐにバニラとチョコレートの甘さ、ハーブや花の蜜の風味が口の中を満たします。甘さのピークは5秒ほどでその後割と早めに甘さは弱まり、みかんの風味と苦味が現れます。花の蜜は10秒ほどで消えていき、チョコレートとみかんは30秒前後で消え、バニラとハーブが残ります。
ニッカ カフェグレーンの飲み方別 オススメ度
| 飲み方 | オススメ度 |
|---|---|
![]() ![]() ストレート | 4 |
![]() ![]() 加水 | 5 |
![]() ![]() オン・ザ・ロックス | 4 |
![]() ![]() ハイボール | 5 |
![]() ![]() ホットウイスキー | 2 |
加水 オススメ度:


数滴の加水で、まろやかで優しい味わいに。チョコレートと穀物、華やかさが強まり、フルーティーさも少し出てきました。
オン・ザ・ロックス オススメ度:


ロックアイスに注いだ直後は全体的な甘さが強まり、チョコレートとハーブをより感じるようになりました。氷の溶けが進むと、徐々に平坦でライトな味わいに。
ハイボール オススメ度:


フルーティーな爽やかさがあらわれます。チョコレートと緑果肉のメロン、そして穀物の甘さがマッチしたハイボールです。
ホットウイスキー オススメ度:


ウイスキー:お湯=1:2の濃いめでつくりました。
チョコレート、バニラ、穀物、苦さを感じやすくなり、少しビターなチョコウエハースの印象です。ボンヤリした味わいになり、ホットウイスキーで飲んでしまうのが少しもったいない気分に。
ニッカ カフェグレーンとニッカ カフェモルトとの比較


同くじニッカのカフェ式連続式蒸溜機でつくられた「カフェモルト」との飲み比べをしました。
ニッカ カフェグレーンとニッカ カフェモルトとの特性比較


ニッカ カフェグレーンとニッカ カフェモルトとの特徴比較
これら2銘柄の比較表を用意しました。
| カフェグレーン | カフェモルト | |
|---|---|---|
| 特性 | モルトウイスキーほどの個性はなく、クリアで丸みのある味わい | モルトウイスキーほどの個性はなく、クリアで丸みのある味わい |
| 特徴 | 〇バニラとチョコレートが強い 〇アルコール刺激ややあり 〇ライト寄りのミディアムボディ | 〇モルトの穀物感が強い、チョコレート 〇アルコール刺激ややあり 〇ライト寄りのミディアムボディ |
カフェグレーン、カフェモルト共に似た特性でクリアかつ丸みのある味わいで、カフェグレーンの方が香り立ちが良く、甘い味わいを強く感じました。カフェグレーンはバニラとチョコレートが強く、カフェモルトはモルト感が強い特徴があります。似ているけど個性は違う、まるで兄弟のようなグレーンウイスキーです。
スモーキーさはどちらも感じられませんが、カフェモルトのほうがやや芳ばしい印象を受けました。
感想・まとめ:ニッカのブレンドに欠かせない、グレーンの深く甘い味わい
効率を捨てて「本物のおいしさ」を追求した、ニッカウヰスキーの情熱の結晶:「ニッカ カフェグレーン」を紹介しました。現在主流のグレーンウイスキーとは一線を画す、しっかりとした甘い味わいが楽しめるウイスキーでした。ニッカウヰスキーのブラックニッカやスーパーニッカなどのブレンデッドウイスキーがお好きな方は、モルトとともに中心的役割を果たしているカフェグレーンの味わいをぜひ試してみてください。



普段シングルモルトを楽しんでいる方も、元祖連続式蒸溜機によるグレーンウイスキーを味わってみて損はなしです。
- 優しくてリッチな甘さのあるウイスキーをお探しの方
- ニッカのブレンデッドウイスキーがお好きな方
- ニッカウヰスキーの情熱の結晶、カフェ式連続蒸溜したウイスキーを味わってみたい方









