「ニッカ セッション」はニッカウヰスキーが所有する余市・宮城峡やベンネヴィスをはじめとしたスコットランドのモルトウイスキーだけをブレンドしたブレンデッドモルトウイスキーです。余市や宮城峡といったジャパニーズシングルモルトウイスキーが高騰(2025年1月現在、7,000円+税くらい)する中、ニッカ セッションは約4,000円で購入可能。他のジャパニーズシングルモルトに比べてリーズナブルなので、香りや味わいはどうなのか、気になる方も多いはず。
コンビニでは180mlサイズのミニボトルが1,150円+税で売っていますね。お試しにはちょうどいいかもしれません。
- ジャパニーズシングルモルトの宮城峡、余市の味わいもしっかり感じる
- フルーティーで華やか、ビターでわずかにクリーミー、余韻にスモーキー
- 突出した個性はなく、バランスタイプ
記事の後半では、スコッチのブレンデッドモルトウイスキーである「モンキーショルダー」と、当ブログの基準シングルモルトウイスキー「ザ・グレンリベット 12年」とのテイスティング比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
ニッカ セッションの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ニッカ セッション |
原産国 | 日本 |
分類 | ブレンデッドモルト |
主要モルト | 宮城峡、余市、ベンネヴィスをはじめスコットランドのモルト |
仕込み水 | 富士の伏流水 |
アルコール度数 | 43% |
所有者 | ニッカウヰスキー |
取扱い | アサヒビール |
参考価格 | 約3,500~4,000円 |
ストーリー
日本とスコットランドのモルトが、互いの個性を発揮しながら奏でるセッション
ニッカ セッションは、2020年9月に数量限定で全国発売されました。ニッカウヰスキーとしては6年ぶりの新ブランド発売となり、当時国内ウイスキー市場の原酒不足、ジャパニーズウイスキーの入手困難性が顕著になってきたタイミングでのセッションの発売。セッションは異なる蒸溜所のモルトウイスキーだけをブレンドしたブレンデッドモルトウイスキーです。ジャパニーズシングルモルトは当時から現在にかけても品薄で、メーカー小売希望価格で販売されているところを滅多に見かけない状況。日本以外のモルトウイスキーが使われているとはいえ、当然、ウイスキーファンの間では大注目となりました。
ニッカ セッションは、ニッカウヰスキーが所有するスコットランドの「ベン・ネヴィス蒸溜所」などで製造されたモルト原酒と、日本の「余市蒸溜所」、「宮城峡蒸溜所」で製造されたモルト原酒がブレンドされています。セッションという名前は、スコットランドと日本のモルトが互いの個性をぶつけ合い、それによって奏でられる音楽をイメージして名付けられました。
ニッカ セッションは、「ウイスキーのイメージにとらわれず、自由に楽しんでほしい」という、開放・自由のメッセージが込められています。
好みは分かれるかもしれませんが、これまでのウイスキーボトルからはイメージがまったく異なる青いボトルデザインは、ニッカのチャレンジ精神を表現していますね。
ニッカ セッションのテイスティングレビュー・評価
ニッカ セッションの特性レーダーチャート
ニッカ セッションの特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り
香り立ちはそこまで強くはありませんが、リンゴ、洋梨、メープルシロップ、はちみつ、花のような華やかさ、まだ青い柑橘系の香りが微量ずつ感じ取れます。スモーキーさは、あるような無いようなといったレベルです。
味わいと余韻
蜜の入ったリンゴ、花の華やかさ、はちみつ、穀物の優しい甘さが同程度の強度で感じられ、グレープフルーツやスウィーティーのような爽やか柑橘も。香りで感じていた洋梨はほとんど感じられませんでした。個性がある味わいというよりも、バランスタイプのウイスキー。アルコールのピリピリした刺激はやや強めです。前半から中盤に感じられるフルーティーさは「宮城峡」、後半に感じられる苦味とスモーキーさ、ピリピリした刺激は「余市」の要素を確かに感じます。
何種類ものモルトの個性同士をかけ合わせて平均化したような味わいで、突出した個性はありません。
余韻はやや長めで、僕の感覚で60秒ほど。口に含んだ瞬間から、蜜の入ったリンゴ、はちみつ、穀物感、華やかさが感じ取れ、数秒遅れで爽やか柑橘がやってきます。リンゴや華やかさ、柑橘は中盤で消えていき、はちみつと穀物の甘い風味は最後までうっすら感じ取れました。
ニッカ セッションの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 3 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 3 |
加水 オススメ度:
数滴の加水で、ピリピリとしたアルコール刺激が弱まり、ダークチョコレート感があらわれます。ストレートでは強めに感じた苦味が抑えられ、甘味が強まり、穀物系の甘い風味が口内で広がりやすくなりました。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
フルーティー&ビターな味わいがクセになるオン・ザ・ロックス。完熟リンゴ、洋ナシ、チョコレート、バニラ、メープルシロップの風味を強く感じます。
口に含んですぐは甘く華やかでフルーティーな風味、数秒経ってからビターさが目立ってきます。氷が溶けていっても味わいが崩れず、長く楽しめるでしょう。
ハイボール オススメ度:
華やかでフルーティー、クリーミーさも楽しめるハイボールです。苦味はほとんど感じられなくなり、スモーキーさがほんのり香ります。
リンゴや洋ナシのフルーティーさよりも、黄金色メープルシロップで感じるような華やかさが強く、飲みやす過ぎて一気に飲み干してしまいます。
ホットウイスキー オススメ度:
フルーティーさや華やかさのあるホットウイスキーになりますが、他の飲み方のほうがよりフルーティー&華やかさが楽しめます。苦味が強く、ピリピリした刺激もあるため、やや飲みにくい印象。
ニッカ セッションとモンキーショルダー、ザ・グレンリベット12年との比較
ニッカ セッションと同様にブレンデッドモルトウイスキーである「モンキーショルダー」と当ブログの基準シングルモルトウイスキー「ザ・グレンリベット 12年」との飲み比べをしました。モンキーショルダーはスコットランドの「グレンフィディック」、「バルヴェニー」、「キニンヴィ」のモルトがブレンドされたもの。ザ・グレンリベット 12年もスコッチウイスキーです。
ニッカ セッションとモンキーショルダー、ザ・グレンリベット12年との特性比較
ニッカ セッションとモンキーショルダー、ザ・グレンリベット12年との特徴比較
これら3銘柄に絞った比較表を用意しました。
ニッカ セッション | モンキーショルダー | ザ・グレンリベット 12年 | |
---|---|---|---|
特性 | 様々な味わいが、突出せずにバランス良くまとまっている | シングルモルトほど深みはないが、まとまりがあってバランス良し | 香り・味わいともに豊かでまろやかにまとまっている |
特徴 | 〇リンゴのフルーティーさとクリーミーさ 〇アルコール刺激あり 〇ライトよりのミディアムボディ | 〇洋ナシ・柑橘系のフルーティーさとクリーミーさ 〇アルコール刺激はあまりない 〇ミディアムよりのライトボディ | 〇穀物やバニラやはちみつ等の甘さが強く、華やかさがある 〇スモーキーさはほとんどない 〇クリーミーでコクがあるミディアムボディ |
ニッカ セッションもモンキーショルダーも、シングルモルトのザ・グレンリベット 12年と比べるとライトで味わいが浅く感じました。ブレンデッドモルト比較では、モンキーショルダーは洋ナシが強く、ニッカ セッションはリンゴがやや強め。ただ、飲み比べるとフルーティーさの内容の違いがわかるといった具合で、どちらも何かの個性が突出しているわけではなく、バランス良くまとまっています。アルコール刺激に関しては、ニッカ セッションのみ気になるピリピリ感がありました。
ストレートでの飲みごたえ・飲みやすさを個人的に順位付けすると、ザ・グレンリベット 12年>モンキーショルダー>ニッカ セッションになります。
ニッカ セッションはストレートよりも加水やオン・ザ・ロックス、ハイボールにすることで、さらにフルーティーで華やかさが増します。
とはいえ、ニッカ セッションには、ジャパニーズシングルモルトウイスキーの余市や宮城峡の風味をシングルモルトよりもリーズナブル・手軽に味わえるというメリットがあります。ブラックニッカシリーズのようなグレーンウイスキーが入っているブレンデッドウイスキーと比べると、様々な風味を強く感じることができます。ウイスキー初心者で、はじめてのブレンデッドモルト選びに迷っているようでしたら、ニッカのモルトウイスキーが楽しめるニッカ セッションを選択するのもいいでしょう。
感想・まとめ:気軽に色々な飲み方が楽しめるちょっと贅沢モルトウヰスキー
ニッカウヰスキーが販売するブレンデッドモルトウイスキー「ニッカ セッション」を紹介しました。シングルモルトウイスキーと比べてクセが少なくバランス型の味わいで、ブラックニッカシリーズ等のグレーンウイスキーが入ったブレンデッドウイスキーよりもよりフルーティーで華やかな深い味わいが楽しめます。
ニッカウヰスキーのシングルモルトに挑戦する前に手軽に入手できるニッカ セッションをお試ししてみるのもいいですよ。1,000~2,000円前後のブレンデッドウイスキーと比べるとちょっと贅沢ではありますが、いつでも買える入手性としっかりとしたニッカのモルト感は、宅飲み常備ウイスキーにオススメです。
僕はセッションハイボールが大好きです。宮城峡のフルーティーさと余市のスモーキーさが同時に楽しめるので、自分へのちょっとしたごほうびハイボールとして飲んでいます。
- クセが少なく、バランスの取れた味わいのモルトウイスキーに挑戦したい方
- 様々な味わい(フルーティー、華やか、クリーミー、スモーキー)を楽しみたい方
- ニッカウヰスキーのブラックニッカシリーズを愛飲していて、次の段階のウイスキーを検討中の方