広島県の瀬戸内海沿いで国産ジンやウイスキーを製造しているSAKURAO DISTILLERY。そのSAKURAO DISTILLERYが手掛ける低価格のブレンデッドウイスキーが「SOGAINI(ソガイニ)」です。「そがいに」とは、広島の方言で「そんなに」という意味。我々飲み手が求めている品質やコスパなどをそがいに詰め込んだというコンセプトのウイスキーです。
この記事では、「ソガイニ」の詳しい味わい、オススメの飲み方まで徹底的にレビューしていきます。

2025年10月1日に発売したばかりの、ウイスキー業界で今話題のブレンデッドウイスキーですよ。
- 宅飲みで気軽に楽しめる税抜き2,000円という価格
- クセはなく、ライトで爽やか、フルーティーな味わい
- ハイボールがオススメ


記事の後半では、同じくブレンデッドジャパニーズウイスキーの「サントリー 角」、ブレンデッドスコッチウイスキーの「ティーチャーズ ハイランドクリーム」との比較もしています。ぜひ最後までご覧ください。
SOGAINI(ソガイニ)の基本情報・概要
基本情報
銘柄 | SOGAINI(ソガイニ) |
原産国 | 日本 |
蒸留所 | SAKURAO DISTILLERY |
分類 | ブレンデッド |
仕込み水 | 小瀬川水系の伏流水 |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | サクラオブルワリーアンドディスティラリー |
取扱い | サクラオブルワリーアンドディスティラリー |
参考価格 | 2,200円 |
概要
近年ウイスキーづくりを復活させた老舗メーカー
サクラオブルワリーアンドディスティラリーは中国酒類醸造合資会社として、1918年に広島県西部の廿日市市にて創業。清酒だけでなくウイスキーも製造していましたが、ウイスキー製造は1980年代で一度休止。2017年12月にSAKURAO DISTILLERYを建設し、ウイスキー製造を再開しています。2019年からはグレーンウイスキーの製造も開始し、ウイスキー貯蔵庫も新設するなど、自社原酒でのブレンデッドウイスキーづくりの地盤をしっかり固めています。



1980年代までのウイスキー製造ノウハウは消失していて、現在のウイスキーづくりはゼロからのスタートだったそうです。
ジャパニーズウイスキーの表示基準を満たすブレンデッドウイスキー
2021年4月1日に施行された「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」は、日本洋酒酒造組合が自主基準として定めたものです。それまで明確な基準が存在しなかった“ジャパニーズウイスキー”について、ジャパニーズウイスキーを名乗るための基準が設けられたということです。


この基準は、近年新規参入したクラフト蒸留所にとってはなかなかにして達成困難なものでしょう。もちろんジャパニーズウイスキーを名乗れないからといって品質がよろしくないということにはなりません。輸入原酒を用いた国内製造の素晴らしいウイスキーもあります。ただ、ジャパニーズウイスキーと表示できるだけでそのブランドに箔がつくのも確かです。
国内製造していても、3年以上貯蔵する必要があるという点は、製造開始から最低でも3年間はジャパニーズウイスキーとして販売できないということ。これがブレンデッドジャパニーズウイスキーともなると、モルト原酒とグレーン原酒のどちらも国内製造して3年以上貯蔵ということになります。サクラオブルワリーアンドディスティラリーは、2017年にウイスキー製造を再開した時点で既に、ジャパニーズウイスキーメーカーとしての地位を確立する方針だったのでしょう(ジャパニーズウイスキーの定義化は2017年から検討されていた)。
異なる環境での樽熟成


ソガイニは、SAKURAO DISTILLERYで製造したモルトウイスキーとグレーンウイスキーのみをブレンドしています。一般的なブレンデッドウイスキーよりもモルト比率を高くブレンド。モルトウイスキーとグレーンウイスキーは、戸河内貯蔵庫と桜尾貯蔵庫の環境が異なる2か所の貯蔵庫で3年以上熟成しています。
戸河内貯蔵庫は、緑豊かな森と清流に囲まれた一年中冷涼な風が通り抜ける貯蔵庫で、もとは鉄道用のトンネルでした。ここでは静かにゆったりと熟成が進みます。
桜尾貯蔵庫は、瀬戸内海からの潮風が漂う創業の地:桜尾に建てられています。海からは暖かい風、山からは冷たい風が吹き、一年の中で大きな気温差を生み出し、ウイスキーの熟成を早めます。
SOGAINI(ソガイニ)のテイスティングレビュー・評価
SOGAINI(ソガイニ)の特性レーダーチャート


SOGAINI(ソガイニ)の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)


香り
もっとも強く感じるのはフレッシュな青リンゴです。香りの強度は弱めですが、ハチミツ、みかん、ハーブのような清涼感も感じられます。軽やかで爽やかな印象です。
味わいと余韻


口に含んだ際の第一印象は、苦味を伴うライトボディの爽やかウイスキーでした。香りと同様にフレッシュな青リンゴ、みかん、清涼感のあるミントのようなハーブの風味が感じられ、ハチミツ感は薄れます。うっすらとではありますが、カスタードクリームも感じられました。スモーキーさはわずかに感じられる程度です。気になったのは強めの苦味です。オレンジピール系の苦味なのですが、僕には結構強く感じられました。



開栓直後はバニラを感じていましたが、時間が経ってからはカスタードクリームに変わったように感じます。
アルコール刺激はやや強めで、口内をピリピリと刺してきますので、ウイスキーに慣れていない方にはストレートはオススメできません。ただ、この刺激とミントの風味が合わさってハッカ飴のような感じも。
余韻を感じるのは、僕の感覚で35秒程度。口に含んですぐにハーブ、青リンゴを感じ、数秒後にカスタードクリームとみかんが現れます。青リンゴは割とすぐに消えていき、みかんは中盤で感じられなくなりました。ハーブとカスタードクリームはうっすらとですが最後まで楽しめます。気になる苦味は中盤から最後までずっと強めに感じられました。
SOGAINI(ソガイニ)の飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
![]() ![]() ストレート | 3 |
![]() ![]() 加水 | 3 |
![]() ![]() オン・ザ・ロックス | 4 |
![]() ![]() ハイボール | 5 |
![]() ![]() ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:


数滴の加水で、まろやかさと甘さが増します。ハーブも感じ取りやすくなります。アルコール刺激はやはり感じられ、舌への当りはまろやかなのですが、後から口内をピリピリと刺激してきます。また、苦味も強め。水割りにすればアルコール刺激も苦味も気にならなくなりますが、味わいが薄まりすぎてしまうでしょう。
オン・ザ・ロックス オススメ度:


ストレートで気になっていた苦味がかなり抑えられました。清涼感ハーブ(ミントとは違う)、青リンゴが強く、甘く感じられるように。
ハイボール オススメ度:


クセがない、軽やかで爽やかなハイボールです。どんな食事にもあわせやすく、控えめなクリーミーさとフルーティーさがあり、弱まった苦味が飲み込んだ後の爽快感を演出します。
ホットウイスキー オススメ度:


ウイスキー:お湯=1:2の濃いめでつくりました。
みかんとハチミツの優しく甘い風味がなんとも心地良いです。少し時間が経つと甘い風味は消えていき、苦味が目立ち始めます。ゆっくりとは楽しめませんが、是非一度お試しください。
ソガイニとサントリー 角、ティーチャーズ ハイランドクリームとの比較


ソガイニと同じく、ブレンデッドジャパニーズウイスキーにして日本一の売上を誇る「サントリー 角」と、僕の常備酒でありブレンデッドスコッチウイスキーの「ティーチャーズ ハイランドクリーム」と飲み比べしました。
ソガイニとサントリー 角、ティーチャーズ ハイランドクリームとの特性比較


ソガイニとサントリー 角、ティーチャーズ ハイランドクリームとの特徴比較
これら3銘柄の比較表を用意しました。
ソガイニ | サントリー 角 | ティーチャーズ ハイランドクリーム | |
---|---|---|---|
特性 | ライトでクセがない | クリーンで万人受け、際立った特徴は少ないがまとまりがある | まとまりがある中で個性もしっかり感じられる |
特徴 | 〇青リンゴ、ハーブの爽やかな甘さ 〇スモーキーさはない 〇ライトボディ | 〇ハチミツ、オイリーさ 〇スモーキーさはない 〇ライトボディ | 〇青リンゴのフルーティーさ 〇焚火のようなスモーキーさ 〇ミディアム寄りのライトボディ |
飲み比べてみると、ソガイニは3銘柄中でもっともライトでクセがない味わいでした。苦味についても3銘柄中でもっとも強く、ストレートでは飲み手の好みが分かれる味わいでしょう。ソガイニの味わいに近いブレンデッドジャパニーズウイスキーの銘柄を挙げるなら、サントリー 角よりもサントリー 白角かもしれません。
僕基準ですが、この3銘柄はどれもハイボールで実力を発揮するウイスキーです。それぞれのハイボールでの比較では、ソガイニは非常にライトで飲みやすく、どんな食事にも合わせやすい印象。サントリー 角は万人受けする味わいのなかにハチミツをしっかり感じます。ティーチャーズ ハイランドクリームは青リンゴのフルーティーさと焚火のようなスモーキーさのバランスが絶妙で疲れた体に染み渡るでしょう。



ソガイニは柑橘系との相性が良いです。ハイボールに柑橘を絞って数滴たらすとさらにおいしいですよ。何種類も試したわけじゃないですが、スダチはバツグンにオススメです。
味わいと価格面でのコスパを考えると、スコッチウイスキーのティーチャーズはさすがの一言。しかしそんな中でも純日本産ウイスキーを日本人が気兼ねなく買うことができる価格設定で販売してくれるサクラオブルワリーアンドディスティラリーにはぜひ今後も頑張ってもらいたいですね(もちろんサントリー ホールディングも)。
感想・まとめ:普段の宅飲みハイボール用としての新たな選択肢
SAKURAO DISTILLERYが世に送り出した、リーズナブルなブレンデッドジャパニーズウイスキー「SOGAINI(ソガイニ)」を紹介しました。ストレートではやや苦味が目立ちましたが、ライトでクセがなく爽やかな味わいです。食事にも合わせやすく、またそのクセのなさ故に自分好みのアレンジもしやすいでしょう。ジャパニーズウイスキーなので和の柑橘であるみかんやすだちを絞って、ジャパニーズウイスキーハイボールを楽しんでみてはどうでしょう。



約2,000円という価格は、宅飲み勢にとって嬉しいですね!
- どんな食事にも合わせやすいハイボール用ウイスキーをお探しの方
- サントリー 角の他に、リーズナブルなブレンデッドジャパニーズウイスキーをお探しの方





