現在はサントリーウイスキーのシングルモルト「山崎」や「白州」やブレンデッド「響」が入手困難な状況ですが、今回紹介する「ローヤル」はサントリーウイスキーの中でも購入しやすく満足度が高いブレンデッドウイスキーです。
サントリー創業者の鳥井信治郎氏が手掛けた最後の作品「サントリーウイスキー ローヤル」。当時は高級ウイスキーの代名詞でした。発売以降何度かのリニューアルがされていますが、いまでも鳥井信治郎氏が掲げていた“日本人の繊細な味覚にふさわしい”ウイスキーづくりの精神が引き継がれています。
- 熟した&爽やかなフルーティーさと華やかさがある。
- 複雑な味わい構成のミディアム~フルボディ。
- 3,000円台とやや高いけれど買って損なし。
サントリーウイスキー ローヤルの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | サントリーウイスキー ローヤル |
原産国 | 日本 |
分類 | ブレンデッド |
キーモルト | 山崎蒸溜所モルト原酒 |
アルコール度数 | 43% |
所有者 | サントリースピリッツ |
取扱い | サントリーホールディングス |
参考価格 | 2,500~3,500円(スリムボトル660mlもあり) |
ストーリー
「サントリーウイスキー ローヤル」はサントリー創業者にして初代マスターブレンダーである鳥井信治郎氏の遺作となったウイスキーです。鳥井信治郎氏は1899年に鳥居商店を開業し、その後1921年に株式会社寿屋を創立、鳥井商店から数えて創業60周年にあたる1960年にサントリーウイスキー ローヤルを発売しました。「オールド」の発売からちょうど10年後のことです。
サントリーのウイスキーは個性的なボトルが多いのですがローヤルについても凝ったボトルデザインです。ボトルの外観は「酉」の字を模しています。干支に使われている酉ですが、もともとは象形文字で酒壺からできた漢字で本来お酒の意味で使われていました。「醸造」「酵母」「発酵」「酌」「酔」などお酒に関する漢字には「酉」が入っています。栓は鳥井氏が愛した風景である、山崎蒸溜所の奥にある椎尾神社の鳥居にかかる桜吹雪をイメージしたといわれています。
ローヤルの開発の時、鳥井信治郎氏は既に約80歳でした。ブレンド作業は後継者であり後に2代目マスターブレンダーとなる佐治敬三氏と初代チーフブレンダーの佐藤乾氏が担当し、信治郎氏に指示を仰ぎながら“日本人の繊細な味覚にふさわしい黄金比”ブレンドを完成させました。
「ローヤル」は「オールド」の上位商品・プレミアムクラスのウイスキーとして1960年に発売され、信治郎氏はローヤル発売から2年後の1962年に死去しました。ローヤルは信治郎スピリットを受け継ぎ、ジャパニーズウイスキーの原点となって現代でもウイスキーファンに愛されています。
ローヤルはサントリーの始まり(鳥居商店)から60年後の1960年に発売されてから、さらに60年以上経つ2020年代のいまでも飲み継がれる素晴らしいジャパニーズウイスキーなんです。
サントリーウイスキー ローヤルのテイスティングレビュー・評価
サントリーウイスキー ローヤルの特性レーダーチャート
サントリー オールドの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り立ちの強度は同価格帯のシングルモルトウイスキーと比べるとそれほど強くはありませんが、ブレンデッドウイスキーの中では強く、香りからは熟したフルーツとナッツを感じます。口に含むと香りから感じた以上に桃やメロンの熟したフルーツとブドウのような爽やかなフルーツ、バニラの甘味など様々な味わいを複雑に濃く感じ取ることができます。
ナッツ系のオイリーさとバニラ系のクリーミーさも感じることができ、ミディアム~フルボディの味わいです。余韻は長く、レーズンを感じた後にバニラやフルーツの甘味が残ります。
スコッチのようなスモーキーな特徴はありませんが、複雑で甘い味わいのまさに当時の日本人(スモーキーが苦手)にとって“黄金比”ブレンドだと思わせるウイスキーです。
サントリー オールドの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 5 |
加水 | 5 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 3 |
加水 オススメ度:
よりクリーミーでまったりとした複雑な甘味が楽しめます。
鼻から抜ける香りでナッツやメロン、ブドウのフルーティーさが強まりました。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
アルコール刺激がほとんど感じられなくなり、甘味はスッキリするのですが、熟したフルーツの風味は強くなります。
ストレートや加水では甘すぎると感じる方はオン・ザ・ロックスにすることでフルーティーさを楽しみつつスッキリと飲めるでしょう。
ハイボール オススメ度:
ローヤルの価格を考えると贅沢なハイボールですが、試したことがない方はぜひ飲んでください。めちゃうまハイボールです!
何かの特徴が特出しているわけではありませんが、フルーティーさ、華やかさ、バニラなどすべての要素が高レベルで濃厚でありながらバランス優れたハイボールです。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2でテイスティングしました。
他の飲み方ではローヤルの複雑さやボディに良い影響を与えていた苦味が目立つようになりバランスが崩れた印象です。複雑だった味もやや平坦に感じられました。
ローヤルとオールドとの比較
同じサントリーのウイスキーですがボトルはそれぞれ独特で凝っています。(この二本を棚に並べると存在感すごいんですが、その分かなりの横幅とられるんですよね)
オールドも特徴的なボトルデザインですが、ローヤルはさらに高級感があります。
サントリーウイスキー ローヤルとサントリー オールドの特性比較レーダーチャート
サントリー オールドと角瓶の特徴比較グラフ
この2銘柄に絞った比較表も用意しました。
ローヤル | オールド | |
---|---|---|
特性 | 複雑な味わい構成でバランス良し | まろやかにまとまっている |
特徴 | ・熟したフルーツと華やかさ ・余韻が長く、レーズンの後にバニラとフルーツ ・フルボディ~ミドルボディ | ・レーズンとはちみつの甘味 ・余韻にシナモンのようなスパイシーさ ・ミドルボディ~ライトボディ |
オールドもバランスが取れたウイスキーなんですが、ローヤルはさらに複雑で濃い味わいをバランスよくまとめあげています。オールドの方がドライフルーツやはちみつの風味をやや強く感じましたが、それ以外のフルーティーさや華やかさ、バニラなどはローヤルの方が強く濃い味わいです。
オールドとローヤルでは苦味に関してグラフ上は同じですが質が異なりました。オールドは軽くキリっとしたグレープフルーツで感じるような柑橘系の苦味であるのに対してローヤルはどっしりとした高カカオチョコレートやハイローストの苦味です。
ローヤルで感じる苦味は強すぎず弱すぎずで深みのある味わいに貢献しているように感じます。
感想・まとめ:ちょっとお高めだけど宅飲みには常備しておきたいジャパニーズウイスキー
酒屋さんであれば品切れになっていることはまずない、サントリーのジャパニーズブレンデッドウイスキー「サントリーウイスキー ローヤル」を紹介しました。昨今のウイスキーブームにより特にサントリーのジャパニーズウイスキーである「山崎」「白州」「響」ブランドは店頭で見かけることすら難しくなっていますが、ローヤルは扱っている店舗が多く安定した価格で購入できます。
ローヤルは、香り立ちに関してはシングルモルトほど強くありませんが、味わいは複雑で濃く、熟したフルーティーさと爽やかなフルーティーさ、華やかさなど多様な要素がバランスよくまとまったブレンデッドウイスキーです。味わいと価格の関係からみるコスパという点では、山崎や響にも決して引けを取らないのではないでしょうか。
- まだ飲んだことがない方、だまされたと思って一度飲んでみて下さい!
- ミドル~フルボディで満足度の高いジャパニーズウイスキーをお探しの方
- 山崎や響を飲んだことがありそのおいしさを知っているけれど、手に入らず悲しんでる方
飲んでみたいとお思いの方で、「こんなに場所をとるボトルは置けないよ~」という方はスリムボトルをオススメします。存在感はなかなかありますが、置場面積は少なくすみます。