「ホワイトホース」はテレビCMでもおなじみのスコッチウイスキーです。黄色いラベルに赤い文字で書かれた“WHITE HORSE”の文字はみなさん見覚えがあるのではないでしょうか。過去にはオダギリジョーさん、大島優子さんが、最新のCMでは倉科カナさんがホワイトホースのハイボールをとてもおいしそうに飲む姿が印象的ですね。
ネットで購入するよりもスーパーや酒屋さんなどの店舗の方が安く買えることが多いですよ。
- リーズナブルだけど価格以上に濃い味わい。
- 金属臭が気になるけれど華やかさやはちみつのような甘さがある。
- オススメの飲み方はハイボール。
記事の後半では僕の常飲スコッチウイスキー「ティーチャーズ ハイランドクリーム」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
ホワイトホースの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ホワイトホース |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | ラガヴーリン、クライゲラキ、グレンエルギン |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ディアジオ社 |
取扱い | キリンホールディングス |
参考価格 | 1,000~1,500円 |
ストーリー
参照元:キリン公式サイト 商品紹介「ホワイトホース」
日本国内における販売量が第1位のスコッチウイスキーが何かご存知でしょうか、それはホワイトホースなんです。(※IWSR 2021年日本国内における輸入スコッチウイスキー売上容量換算より)
創業者はレストレス・ピーター
「ホワイトホース」が誕生したのは1890年のこと。創業者はピーター・マッキー、巨漢でエネルギッシュ、休まず行動する彼は「レストレス・ピーター」(不眠不休のピーター)と呼ばれていました。
ピーター・マッキーは、従業員の食事にプロテインを入れていたという面白い話もあります。かなりエキセントリックな方だったんですね。
銘柄名の由来はエジンバラの酒亭「ホワイトホースセラー」
スコッチブレンデッドウイスキーの銘柄名は創業者の名前がつけられることが多いのですが(例:ジョニーウォーカー、バランタイン、ティーチャーズなど)、「ホワイトホース」には創業者ピーター・マッキーの名前がつけられていません。
ホワイトホースという銘柄名はピーター・マッキーが命名しています。由来は1742年にエジンバラで創業の酒亭(兼宿屋)「ホワイトホースセラー(白馬亭)」。このブレンデッドウイスキーに自分の名前をあえてつけずに古い酒亭の名前を採用した理由は2つありました。
- 世界に通用するブランドにしたいという想い
- 白馬亭はスコットランド人にとって自由と独立の象徴だった
2つ目についてもう少し詳しく説明すると、時をさかのぼって1688年、それまでスコットランド・イングランド・アイルランドの王として在位していたスチュアート朝のジェームズ王(スコットランド王としては7世)はクーデターにより王位から追放されました。1707年にスコットランドとイングランドは「グレートブリテン王国」という一つの国家になりましたが、追放されたジェームズこそが正当な王であると主張するジャコバイトが各地で反乱を起こしていました。
1745年にジェームズ7世の孫が率いるジャコバイト軍がエジンバラに侵攻した際、常宿として使われていたのがホワイトホースセラーだったのです。
「ホワイトホース」という名前はスコットランド人の悲願でもある“自由と独立への願い”の象徴だったというわけです。
キーモルトはラガヴーリン
スコットランドのアイラ島でクセのあるスモーキーなモルトウイスキーとして有名な「ラガヴーリン蒸留所」は、当時ピーター・マッキーの叔父であるジェームズ・ローガン・マッキーが所有していて、ピーターはラガヴーリン蒸留所でウイスキーづくりを教わりました。
ホワイトホースはクセのあるラガヴーリンを中核に、スペイサイドモルトのクライゲラキとグレンエルギンをはじめとしたモルト原酒とグレーン原酒が35種類以上ブレンドされています。
偉大な功績:スクリューキャップの発明
いまではウイスキーのボトルだけでなくその他の酒類や清涼飲料水、お茶のペットボトルにまで幅広くに使われているスクリューキャップを発明したのはホワイトホース社(当時はマッキー社)だったのは有名な話。
スコッチブレンデッドウイスキーのティーチャーズは現在ウイスキーに使われているコルク栓(コルク上部に木製の頭をつけた)を発明しました。
ホワイトホースとティーチャーズによって今も使われる2大キャップが生み出されたんです。
ホワイトホースのテイスティングレビュー・評価
ホワイトホースの特性レーダーチャート
ホワイトホースの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
グラスに鼻を近づけるとまず金属臭とゴム臭のようなにおいが強く、これらのにおいに覆われているその奥にコクのある甘い香りが感じ取れます。
口に含むとやはりまずは金属臭とゴム臭が強めに現れ、同時に甘味も感じるのですがどのような甘味なのかすぐにはわかりません。ピリピリとしたアルコール刺激もやや強めです。余韻は20秒ほどとこの価格帯のブレンデッドウイスキーにしては長めで、7~10秒ほどで金属臭・ゴム臭・アルコール刺激が抜けてき、フローラルな華やかさやはちみつ、カラメルなどの少しコクのあるオイリーな甘味が残ります。
ストレートだと先味には個人的に苦手な風味が強く、余韻の中盤からおいしさ要素が現れます。全体的に濃い目の味わいです。
ホワイトホースの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 2 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 3 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 4 |
加水 オススメ度:
数滴加水するだけで金属臭・ゴム臭・アルコール刺激が一気に弱まります。ストレートでは隠れていたメロンの風味が現れ、ホワイトホース本来の甘味が楽しめるようになります。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
アルコール刺激と甘味が弱まり、ゴム臭は少しだけ弱まりました。ストレートで飲むよりはおいしいのですが、味わいのバランスはいまいちです。
ハイボール オススメ度:
アルコール刺激や金属臭、ゴム臭はなくなり、ほのかに潮の香りとスモーキーさを感じることができます。ハイボールにすることでどの飲み方よりも華やかさがあり、何かが突出しているわけではないですがバランスが整います。薄くメロンの甘味があって飲みやすくなりました。
同価格帯のブレンデッドウイスキーとしてはコクがあるハイボールでオススメです。
ホットウイスキー オススメ度:
濃いめにつくるとゴム臭がキツく感じましたが、ウイスキー:お湯=1:3でゴム臭はだいぶ抑えられてまろやかな甘味になります。
ティーチャーズ ハイランドクリームとの比較
価格も近いスコッチブレンデッドウイスキーの「ティーチャーズ ハイランドクリーム」と比較してみました。どちらも普段の宅飲み用としてはお財布にやさしい1,000円前後の良心価格です。
ホワイトホースとティーチャーズ ハイランドクリームの特性比較
ホワイトホースとティーチャーズ ハイランドクリームの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
ホワイトホース | ティーチャーズ ハイランドクリーム | |
---|---|---|
特性 | やや単調だが濃い味わい | まとまりがある中で個性もしっかり感じられる |
特徴 | ・金属臭とコクのある甘味が同居 ・余韻は長く、金属臭とゴム臭が抜けた後に甘味 | ・青リンゴとスモーキーさ ・余韻は短く、後味にアルコール辛さ |
2銘柄の特性レーダーチャートでは味わいの濃さは同点ですが、厳密にはホワイトホースの方が少し濃い味わいでした(10点満点の1点刻みだと同点)。余韻に関してはホワイトホースの方が長いのですが、どうしても金属臭やゴム臭が気になってしまいます。
個人的な好みではどちらもハイボールがもっともオススメの飲み方です。ハイボールではホワイトホースは甘味がしっかりしていて、ティーチャーズは爽やかな甘味とスモーキーが楽しめるウイスキーです。
感想・まとめ:加水やハイボールで特徴を引き出そう!
リーズナブルでお財布にやさしい価格帯のスコッチ「ホワイトホース」を紹介しました。価格の割には濃さと余韻がしっかりしている印象でした。ストレートではスモーキーさや潮の風味は金属臭・ゴム臭に邪魔されてほとんどわかりませんが、加水やハイボールにすることでスモーキーさや潮の風味をはじめ良い風味が現れます。
- 1,000円前後で普段の宅飲みハイボール用ウイスキーをお探しの方
- 1,000円前後で華やかでコクのある甘い余韻のウイスキーをお探しの方
- 金属臭やゴム臭に敏感でそれが苦手な方