ホワイト&マッカイ スペシャルはラベルに”TRIPLE MATURED”と表記されている通り、3回もの熟成工程を経てつくられるスコッチブレンデッドウイスキー。現行ラベルに”SPECIAL”の文字はありませんが、輸入元の明治屋ではきちんと「ホワイトマッカイ スペシャル」と紹介されています。誕生から100年以上の歴史を誇る銘柄です。
しっかりした味わいなのに比較的安価なので、ウイスキー初心者の方にもオススメの一本ですよ。
- レーズンやカラメル、ハーブ、ママレードなどの甘い風味。
- ミディアムよりのライトボディ。
- 3回熟成による味わい深い複雑さが1,000円台!
記事の後半では同じ価格帯で買えるスコッチブレンデッドの「グランツ トリプルウッド」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
ホワイト&マッカイ スペシャルの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ホワイト&マッカイ スペシャル(トリプルマチュアード) |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | ダルモア、フェッターケアン、タムナヴーリン、アイル・オブ・ジュラなど |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | エンペラドール社(フィリピン) |
取扱い | 明治屋 |
参考価格 | 1,300~1,700円 |
ストーリー
歴史
ホワイト&マッカイのルーツは1844年にグラスゴーで創業した雑貨卸業でした。1882年に当時の支配人ジェームズ・ホワイトは友人チャールズ・マッカイと共にウイスキー事業に挑戦し、それに伴って二人の姓を組み合わせた「ホワイト&マッカイ社」に変更。その後見事に「ホワイト&マッカイ スペシャルブレンド」を世に送り出しました。「ホワイト&マッカイ スペシャルブレンド」は現在では「ホワイト&マッカイ スペシャル」と改名し、100年以上の長い間多くのファンに愛されています。
ホワイト&マッカイを特徴づける「トリプルマチュアード製法」
ホワイト&マッカイの特徴的な製法として挙げられる「トリプルマチュアード製法」。まず、ダルモア、フェッターケアン、タムナヴーリン、アイル・オブ・ジュラをはじめとする35種類以上のモルト原酒がそれぞれシェリーバットで熟成されます(熟成①)。その後それぞれのモルト原酒をブレンド(ヴァッティング)して、このブレンデッドモルト原酒を再びシェリーバットで数ケ月熟成(熟成②)。ブレンデッドモルト原酒と別に熟成させていたグレーン原酒をブレンドして、さらにシェリーバットで2~3か月熟成(熟成③)が施されます。
バットとは、480~500ℓの大きめの樽のことです。シェリー熟成用の樽には主にバットが使われています。
モルト原酒の熟成からブレンド後の後熟を2回の計3回もの熟成が行なわれることで、ホワイト&マッカイはまろやかで深みのある味わいに。
ホワイト&マッカイのラインナップで日本で簡単に購入できるのは「スペシャル」のみとなっています。昨年までは「13年」を店頭で見かけることがあったのですが、残念ながら終売してしまい、年数表記のボトルはヴィンテージボトルとしてメルカリなどで出回っているようです。
偉大なる鼻、マスターブレンダー:リチャード・パターソンのテイスティング
ホワイト&マッカイで有名な人物を挙げるとしたら、マスターブレンダーのリチャード・パターソン氏でしょう。彼は17歳からウイスキーのブレンディング技術を学び、1970年にブレンダーとしてホワイト&マッカイ社に入り、1975年には26歳という若さでマスターブレンダーに就任。約50年もの間ホワイト&マッカイの味わいを守り続けています。
リチャード・パターソン氏のテイスティング方法はインパクトがあります。まずテイスティンググラスにウイスキーを注いだらグラス内壁全体にウイスキーを触れさせるようにグラスをグルグルと回し、香りを嗅ぐ前に中身を大胆に捨ててしまいます。これで使用前についていた余計な香りがウイスキーで洗い流され準備完了。再度グラスにウイスキーを注いだらグルグル回しゆっくりと鼻を近づけて「Hello」、「How are you」、「Quite well」、「Thank you very much」などウイスキーと会話しながら香りを楽しみます。この時、グラスの持ち方はグラスの中に鼻を押し付けて人差し指でグラスのプレートを支えます。口に含んだらすぐに飲み込むようなことはせず、口内の様々な箇所にウイスキーを移動させてゆっくりと楽しみます。
僕にはたとえ1,000円台のホワイト&マッカイであってもグラスの中身を一度捨ててしまうなんてもったいなくてできませんが、リチャード氏のように口に含んで30秒ほどウイスキーを飲み込まずに味わってみたところ、徐々にいろいろな風味を感じ取ることができました。今後のテイスティングの参考にしようと思います。
ホワイト&マッカイ スペシャルのテイスティングレビュー・評価
ホワイト&マッカイ スペシャルの特性レーダーチャート
ホワイト&マッカイ スペシャルの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り
厚みのある華やかで甘い香りが印象的。レーズン系のドライフルーツや甘酸っぱいプルーンと少しだけ金属臭のようなものも感じ取れます。
味わいと余韻
口にウイスキーを含んだ瞬間からレーズンと、直後に清涼感と甘さを持つハーブ、コクのあるべっこう飴のようなカラメルをまず感じ、レーズンが数秒で消えた後にオイリーさをともなったリンゴ、ママレードジャムが目立つように。リンゴとママレードも程なく消えていき、最後は少し甘いオイリーさが残ります。スモーキーさも少しあり、スコッチウイスキーとして完成された味わいです。
アルコールで少し舌がピリピリ刺激され、金属臭もありますが、1,000円台であることを考えるとこの複雑さと深みのある味わいは素晴らしい仕上がりです。
ホワイト&マッカイ スペシャルの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
数滴の加水でストレートよりも特徴が平凡化した印象です。華やかさ強まりアルコール刺激がなくなってまろやかになった一方で、レーズン感が弱まりました。
ストレートのアルコール刺激が苦手な方は、加水してみてください。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
厚みのある甘味はわずかに弱まりますが、レーズン感と苦味が強まり、甘味・苦味・ドライフルーツ風味の調和が心地良いです。
氷が溶けてもバランスは崩れにくく、ゆったりまったりとオン・ザ・ロックスを楽しむことができます。
ハイボール オススメ度:
ライトな飲み心地のフルーティーハイボールです。
弱めですがメロンの風味も感じられ、フレッシュなフルーティーさとレーズンのドライフルーツ感が共存し、グビグビ飲めてしまうこと間違いなし。
ホットウイスキー オススメ度:
個人的にホワイトマッカイ スペシャルをもっともおいしく飲めたのがホットウイスキーです。
ストレートよりも柑橘の皮で感じるような苦味が強いですが、バニラ・レーズンの風味も強く、ママレードも感じられることでバランスの良いまとまり。
時間が経ってもバランス崩れずまろやかな甘さが楽しめます。
ホワイト&マッカイ スペシャルとグランツ トリプルウッドとの比較
販売価格が近いスコッチブレンデッドの「グランツ トリプルウッド」と比較してみました。一般的な酒屋さんであればどちらの銘柄も入手しやすいですよ。
ホワイト&マッカイ スペシャルとグランツ トリプルウッドとの特性比較
ホワイト&マッカイ スペシャルとグランツ トリプルウッドとの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
ホワイト&マッカイ スペシャル | グランツ トリプルウッド | |
---|---|---|
特性 | 味わい深く、調和がとれている | 濃くはないけれど調和のとれた味わい |
特徴 | ・レーズン、プルーンのフルーティーな甘さ ・カラメル、ママレードのコクのある甘い風味 ・ミディアム寄りのライトボディ | ・穀物と柑橘、バニラの甘さがバランス良い ・柑橘系の苦味も感じる ・ライトボディ |
どちらの銘柄もウイスキー初心者にオススメできる飲みやすさの低価格ウイスキーです。グランツ トリプルウッドの方が香りはドライで穀物を感じ、飲み口はきれい、ホワイト&マッカイ スペシャルはミディアム寄りのライトボディですが、グランツと比べるとドライフルーツ感が強く味わい深く飲みごたえがありました。
グランツでは少し物足りなく、もう少し味わい深いウイスキーを同価格で探している方にはホワイト&マッカイ スペシャルをオススメします。
感想・まとめ:初心者だけでなく中・上級者にもオススメの低価格ウイスキー
長い歴史とトリプルマチュアードという独特の製法でつくられたホワイト&マッカイ スペシャルを紹介しました。店頭価格だと1,000円台前半という低価格でありながら、滑らかでバランスのとれた味わいと複雑な風味はウイスキー初心者だけでなく、中級者以上の方の常備酒としても優れたコスパウイスキーです。
どの飲み方も味わい崩れずにおいしく楽しむことができる素晴らしい仕上がりのブレンデッドウイスキーです。
- 1,000円台で味わい深くバランスの取れたウイスキーをお探しの方
- レーズンやプルーンの風味が楽しめるウイスキーをお探しの方
- コクのある甘さをもつウイスキーをお探しの方