2024年10月にニッカウヰスキーから発売された「ニッカ フロンティア」。容量500mlでアルコール度数48°、定価2,000円で、クオリティも高いと評判。まさに宅飲み勢の味方として登場しました。この記事では、他の銘柄との飲み比べもしながらニッカ フロンティアの味わいについてレビューします。

まだ発売されたばかりですが、2025年3月をもって一般市場での販売が終了してしまうという情報が流れています。正式発表ではありませんが、気になる方はお早めに購入してくださいね。
- 余市蒸留所のヘビーピートモルトがキーモルトのブレンデッドウイスキー
- モルト比率が51%以上で、一般的なブレンデッドウイスキーよりも高比率
- ノンチルフィルタード+アルコール度数48°で味わい豊か


記事の後半では、同じくニッカウヰスキーから「スーパーニッカ」と高アルコール度数+ノンチルフィルタードの「キリンウイスキー 陸」とのテイスティング比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
ニッカ フロンティアの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ニッカ フロンティア |
原産国 | 日本 |
分類 | ブレンデッドモルト |
主要モルト | 余市蒸留所のヘビーピートモルト |
アルコール度数 | 48% |
所有者 | ニッカウヰスキー |
取扱い | アサヒビール |
参考価格 | 2,000円 |
ストーリー
挑戦を愉しむウイスキー
ニッカウヰスキーの創業者であり、日本のウイスキーの父とも呼ばれる竹鶴政孝氏が、ニッカウヰスキーの前身となる大日本果汁株式会社を設立した1934年からちょうど90年が経った2024年、「ニッカ フロンティア」が発売されました。
フロンティアとは、未開の地、未知の領域を意味します。ニッカ フロンティアという名前には、ニッカウヰスキーがこれまでの常識にとらわれず、新たなウイスキーの可能性を切り拓いていくという決意が込められています。竹鶴政孝氏の「日本で本物のウイスキーをつくりたい」という志は、伝統と革新を重んじながらも、常に新たな可能性を追求するフロンティアスピリットとして受け継がれているのです。創業90周年を迎え、この精神に改めて向き合い、新たな挑戦としてつくりあげたのがニッカ フロンティアです。
キーモルトは余市
ニッカ フロンティアのキーモルトは、余市蒸溜所のヘビーピートモルトです。余市蒸溜所は、本場スコットランドのような気候と澄んだ空気、豊かな水源がそろう北海道の余市に建つ蒸溜所。竹鶴政孝氏がウイスキーづくりの理想郷を求め、辿り着いた地です。この蒸溜所では、ニッカの原点となる伝統の石炭直火蒸溜が行なわれています。石炭直火蒸溜でつくられる余市モルト原酒は力強く重厚であることが特徴。この余市モルトを骨格にブレンドすることで、ニッカ フロンティアの力強い味わいが出来上がります。
高モルト比率
ブレンデッドウイスキーはモルト原酒とグレーン原酒をブレンドしてつくられます。一般的に、ブレンデッドウイスキーの原酒割合はグレーン原酒が多めですが、ニッカ フロンティアはモルト原酒が多めの51%以上。余市のヘビーピートモルトをはじめとしたモルトウイスキーの個性をしっかり堪能することができます。
高アルコール+ノンチルフィルタード
一般的に、ウイスキーは熟成後に加水してアルコール度数を40~43°程度に下げて瓶詰めします。長い年月をかけてウイスキー原酒中に溶出した樽由来成分の中には、高濃度アルコールだからこそ溶けている成分、ある程度の液温までなら溶けていて低温になると析出してしまう成分があります。これが濁りとなってウイスキー中に見えるようになると消費者からのクレームにつながってしまうことも。この濁り対策として、加水後に冷却して析出した成分をろ過して取り除く冷却ろ過(チル・フィルタレーション)という工程がとられます。
ニッカ フロンティアは、ウイスキー本来の香味成分が楽しめるように冷却ろ過を行わず(ノンチルフィルタード)製造されています。また、アルコール度数を48°に設定することで濁りが析出することを防ぎながら原酒の風味をたっぷり残し、力強い味わいが楽しめるように商品設計されています。



余計な装飾のない透明でシンプルなボトルデザインも、ニッカらしさがありますね。
ニッカ セッションのテイスティングレビュー・評価
ニッカ セッションの特性レーダーチャート


ニッカ セッションの特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)


香り
甘くフルーティーな香りが強いです。内容としては、強めのバニラとオレンジをベースにチョコレートと、土や草のニュアンスのあるスモーキーさが感じ取れます。
味わいと余韻


香りと同様に、バニラの甘い風味が強く、ネーブルオレンジのような甘さの強い柑橘感があります。バニラとオレンジをベースにチョコレートも感じられ、モルトの穀物感、土と草のニュアンスが含まれるスモーキーさも。口に含んでみてわかったのは、メロンの風味と、弱めですが清涼感のあるミントのようなハーブ感、ビターな味わいです。ビターさは強いですが、甘味もあるので気になるほどの苦味ではありません。むしろビターさによってフロンティアの複雑さに奥行きがでているようです。



飲み込んだ後に鼻から抜けていくバニラとオレンジの風味が印象的です。スモーキーさは、慣れていない人にとってはやや強めに感じるかもしれません。
余韻は中程度~やや長めで、僕の感覚で50秒ほど。口に含んだ瞬間から、強めのバニラとオレンジ、控えめにチョコレートとスモーキーが感じられます。数秒後にメロンの甘い風味が感じやすくなり、その後ビターさが目立ってきます。スモーキーさは長くは続かず、それ以外の風味は最後の方まで楽しめました。
ニッカ セッションの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
![]() ![]() ストレート | 4 |
![]() ![]() 加水 | 5 |
![]() ![]() オン・ザ・ロックス | 5 |
![]() ![]() ハイボール | 5 |
![]() ![]() ホットウイスキー | 4 |
加水 オススメ度:


数滴の加水で、フルーティー&華やかさが強まり、アルコール刺激が落ち着き、濃厚でいてまろやかな飲み口に。味わいの変化としては、クリーミーさがあらわれ、ストレートで感じていたメロンは、メロン+桃の風味に。
オン・ザ・ロックス オススメ度:


甘さに厚みがでて強まりました。その分苦味は感じにくくなり、メロンの甘い風味が目立つように。
氷の溶けが進むと、柑橘ビターが強まり、その後はクリーミーでフルーティーな味わいに。氷の融け具合によって、味の変化が楽しめるオン・ザ・ロックスです。
ハイボール オススメ度:


口に含んだ直後はクリーミーでバニラの風味が強く、その後鼻から抜けていく風味にクリーミーなオレンジとビターさ、わずかなスモーキーさがとても心地良いハイボールです。
ホットウイスキー オススメ度:


お湯を加えた直後は、濃厚な甘いバニラを感じますが、わずかな時間でバニラをはじめとした様々な風味が飛んでしまい、平坦な味わいになってしまいました。
元々が濃い味わいなのでホットウイスキーにしても十分おいしいのですが、他の飲み方と比べるとややもったいなさを感じてしまいます。
ニッカ フロンティアとスーパーニッカ、キリンウイスキー陸との比較


同じニッカウヰスキーのブレンデッドウイスキーである「スーパーニッカ」と、ノンチルフィルタードでアルコール度数が高いという条件が似ている「キリンウイスキー 陸」との飲み比べをしました。
ニッカ フロンティアとスーパーニッカ、キリンウイスキー陸との特性比較


ニッカ フロンティアとスーパーニッカ、キリンウイスキー陸との特徴比較
これら3銘柄に絞った比較表を用意しました。
ニッカ フロンティア | スーパーニッカ | キリンウイスキー 陸 | |
---|---|---|---|
特性 | 味わい濃く、モルト強め | 味わい豊かでまろやかに調和 | クリーンな味わいであり、華やかで力強さもある |
特徴 | 〇バニラとオレンジが味わいのベース 〇余市由来の程よいビターとスモーキー 〇ミディアムボディ | 〇甘さとまろやかなコク、ほのかなスモーキーが絶妙に調和 〇穀物の甘さ、メロン、華やかさ、ダークチョコレート 〇ミディアムボディ | 〇クリーン&エステリー 〇甘味と苦味が強めでバランス良い、バニラ強め 〇ミディアムボディ |
ニッカ フロンティアとスーパーニッカとの比較では、味わいの濃さであればフロンティアに軍配が上がります。フロンティアはバニラとオレンジの風味が強く、それ以外にも様々な風味がありますがそこまで強いものではありません。一方でスーパーニッカは穀物の甘さやメロン、華やかさ、ダークチョコレートなどの風味をそれぞれ感じやすく、その点で味わい豊かに感じられました。ボディ感についてはニッカ フロンティアの方があります。
ニッカ フロンティアとキリンウイスキー 陸との比較では、バニラの強度は同じくらいですが、フロンティアの方がカラメルやスモーキーさが強く、陸はクリーンな味わいです。
スモーキーさは、「ニッカ フロンティア>スーパーニッカ>キリンウイスキー 陸」の順。ウイスキー初心者にオススメするのであれば、「スーパーニッカ>キリンウイスキー 陸>ニッカ フロンティア」の順になります。スーパーニッカは味わい豊かで、ストレートでもハイボールでも飲みやすく、アルコール刺激も少なめ。フロンティアはスモーキー慣れしていない人にはややクセがあるウイスキーです。
一方で、余市のスモーキー感がお好きな方にはフロンティアはオススメの一本です。



ニッカ フロンティアは、ある程度ウイスキーを飲み慣れた人向けに品質設計されているように思います。
感想・まとめ:購入できるならしておいて損はない、高コスパウイスキー
発売されて間もないのに、一般市場販売は3月までという噂の「ニッカ フロンティア」を紹介しました。余市モルトの特徴であるビターさとスモーキーさをしっかり感じることができて、バニラ+オレンジの風味が強いウイスキーでした。ストレートではアルコール刺激が少し強いですが、どんな飲み方でもおいしく楽しめるので、定価の2,000円前後であれば買って損なしです。
残念ながら既に店頭からは消えつつありますが、噂が真実であっても3月までは一般流通するはずなので、運良く店頭で見かけた際は購入を検討してみてはいかがでしょうか。Amazonや楽天市場では、送料込みで3,000円未満で購入可能です(2025年2月18日時点)。



探す手間を考えたら、品薄で値上がりする前の今のうちにネットで購入してしまうのもアリかも。3,000円を超えたら割高な気がします。
- 余市モルトのビター&スモーキーをリーズナブルに楽しみたい方
- ニッカウヰスキーのブラックニッカシリーズを愛飲していて、次の段階のウイスキーを検討中の方
- 味わい濃く、飲みごたえがある2,000円前後のウイスキーをお探しの方





