イギリス国内市場で絶大な人気を誇るブレンデッドウイスキーのひとつが「ベル」です。
希代の名ブレンダーといわれたアーサー・ベルが生み出したブレンデッドウイスキー「ベル オリジナル」を紹介します。僕が初めて飲んだ時の感想は、「飲みやすくてバランスがいい」でした。
そしてボトルのラベルに描かれたジャケットをビシッと着こなしたヒゲの紳士がアーサー・ベル、このウイスキーの銘柄の由来となった人物です。(ベルは現在新ラベルになっていますので、こちらの画像は旧ボトルです。)
- 個性は強くないが、リーズナブルでバランス良しのブレンデッドウイスキー。
- イギリスで圧倒的な人気を誇る。
- オイリーで甘味があり、かすかにスモーキーなミディアム寄りのライトボディ。
ベル オリジナルの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ベル オリジナル |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
キーモルト | ブレアアソール、ダフタウン、インチガワー、ブラッドノックなど |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | アーサー・ベル&サンズ社(ディアジオ社) |
取扱い | 日本酒類販売 |
参考価格 | 1,200~1,600円 |
ストーリー
ベルのボトルには“ESTABLISHED 1825”と書かれていますが、これはアーサー・ベル&サンズ社の前身のサンデマン商会が設立した年で、後に名ブレンダーとなるアーサー・ベルがサンデマン商会に入社したのは1845年のことでした。入社当初は外回り営業マンにすぎませんでしたが、その頃誕生した“ウイスキーのブレンド”に目を付けたアーサー・ベルは外回り営業の経験を活かし、良質な原酒を探し求めてスコットランド各地を訪ねました。
アーサーの信念は「何種類かの良質なモルトとグレーンをブレンドすれば、シングルモルトより多くの人々の口に合う」というもの。
当時のブレンドは未成熟モルト原酒とグレーン原酒を混ぜたものでしたが、アーサーは熟成したモルト原酒とグレーン原酒をブレンドして優れたブレンデッドウイスキーをつくりだしました。
このブレンド技術によってアーサー・ベルは後年、希代の名ブレンダーと呼ばれるようになりました。
1850年代にはブレンデッドウイスキーに対する情熱と功績が認められ、アーサーはサンデマン商会の代表になり、1895年に2人の息子が事業に加わったのを機に社名を「アーサー・ベル&サンズ社」としました。
その後ベルのウイスキーはイギリス国内だけでなく国外にも販路を拡大し、さらには1933年に良質のブレンデッドつくりのための蒸留事業に着手し、ブレアアソール、ダフタウン、インチガワー蒸留所を傘下に収めました。
ボトルの裏側には上記画像のように“afore ye go(アフォー・イ・ゴー)”というキャッチコピーがエンボス加工されています。これは英語で「before you go」、日本語で「旅立ちの前に」という意味であり、もとは戦地に赴く兵士たちにベルのウイスキーが届けられたことが由来になっています。
現在イギリスではウェディング・ベルとの語呂合わせで、結婚式に欠かせない酒・門出を祝う酒として親しまれています。
イギリス国内では以前まで売上No.1の座にありました。現在では「フェイマスグラウス」がNo.1ですが、ベルにはフェイマスグラウスとはまた違ったおいしさがあります。価格帯の近いこれら2本を飲み比べてお好みの常備ウイスキーを選んでもいいですね!
ベル オリジナル のテイスティングレビュー・評価
ベル オリジナルの特性レーダーチャート
ベル オリジナルの特徴グラフ
コメント(ストレートでのレビュー オススメ度:)
グラスに鼻を近づけて感じたファーストインプレッションは、リンゴの香りと弱めの金属臭です。口に含んでみると金属臭はそれほど気になりません。
アルコール刺激は感じますが、同価格帯のブレンデッドウイスキーと比べると少ない方です。鼻で嗅ぐよりも口に含んだ際の味わいと鼻から抜ける香りが複雑です。
飛びぬけた特徴はなく濃いわけではありませんが、甘味・フルーティーさ・華やかさ・スモーキーのバランスがとれていてそれらの味わいがしっかり感じられます。オイリー・クリーミーさがあることでボディ感もそれなりにあります。
具体的にはハチミツとリンゴ、弱いレーズン、わずかにシナモンが感じられます。渋味もありますがいやなものではなく、むしろ全体的な味わいに複雑さを加えてくれている印象です。
まさにスタンダードなスコッチといった味わいです。
イギリスで圧倒的な人気も納得の普段飲みにもコスパ◎なウイスキーです。
デュワーズ カリビアンスムース8年の飲み方別 オススメ度(5段階)
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 2 |
オン・ザ・ロックス | 3 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 3 |
加水 オススメ度:
オススメ度:
数滴の加水で味わいが一気に薄まります。
柑橘系の風味と苦味が出てきます。
ロック オススメ度:
オススメ度:
甘味はきちんと感じますが、苦味が強まり金属臭が目立つようになります。
舌に何かの膜がかぶさったような違和感がありました。
ハイボール オススメ度:
オススメ度:
もっともオススメな飲み方がハイボールです!
ややハチミツとリンゴのフルーティーさ、そしてかすかにスモーキーさが感じられて、それらのバランスが良くとても飲みやすいハイボールです。
ホットウイスキー オススメ度:
オススメ度:
甘さは強まりますが、金属臭も強まります。バランスは悪くなりました。
ベル オリジナル ユニオンジャック
ベル オリジナルにはラベル違いのボトルが存在します。それが上記写真右側の「ユニオンジャックボトル」です。
イギリス(英国)の正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」、そう、もともと複数の独立した国が合邦した連合国がイギリスなのです。ユニオンジャックとは、イギリスを構成するイングランド、スコットランド、北アイルランドの地域の旗を合わせたイギリス国旗です。
さて、ベル オリジナルの通常ボトルとユニオンジャックボトルは中身のウイスキーが同じとされていますが、実際どうなのか気になったので実際にユニオンジャックボトルも購入し飲んでみました。
その結果、「ん?通常ボトルの方が美味しいぞ」というのが僕の感想です。
香りや味わいのバランスはベルに間違いないのですが、ユニオンジャックボトルの方がアルコール刺激をやや強く感じ、全体的な味わいはやや薄く感じたのです。数週にわたって飲み比べして感じた印象は、やはり通常ボトルの方が美味しいという結論でした。(どちらも結構減ってるでしょ?(笑))
もちろん製造ロットが異なりロットごとの品質のバラツキはあるものなので、そういった差を今回の比較で感じたのかもしれません。
感想・まとめ:アルコール感はあるけれど、リーズナブルでバランスよく飲みやすい
イギリスで大人気のブレンデッドウイスキー「ベル」を紹介しました。
個性的なウイスキーというわけではありませんが、スコッチの基本的な香りや味わいがバランスよくブレンドされたウイスキーだと思います。価格的にもコスパの良いウイスキーですので、ウイスキー初心者でスコッチウイスキーがどのようなものなのかを試すには適したものです。
オススメの飲み方はストレートとハイボールです。
日本ではそれほど有名ではありませんが、大御所のジョニーウォーカーやバランタインにも決して負けない味わいです!