デュワーズは、アメリカで「スコッチといえばデュワーズ」といわれるほど高い人気を誇るブレンデッドウイスキーです。
デュワーズのスタンダード品であるホワイトラベルはクセがなくスッキリ軽やかな香りと味わいが特徴です。今回紹介する12年はホワイトラベルの約2倍の値段でありながら、値段以上に香り・味わい深く、ウイスキー初心者にもオススメできる飲みやすさを兼ね備えています。
デュワーズ12年はフルリニューアルされ、日本には2024年1月頃から出荷されています。まだ旧ラベルを販売しているお店もありますが、徐々に新ラベルに入れ替わっていますね。
- オレンジのような柑橘感とバニラの風味。
- 飲みやすいミディアムボディー。
- どの飲み方でもおいしく楽しめる万能タイプ。
デュワーズ 12年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | デュワーズ 12年 |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | アバフェルディ、オルトモア、ロイヤルブルックラ、クレイゲラキ |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ジョン・デュワー&サンズ社 |
取扱い | バカルディジャパン |
参考価格 | 2,600~3,000円 |
ストーリー
引用元:デュワーズ公式サイト「ラインナップ」
公式サイトを見てみると、デュワーズのホワイトラベルは「気軽にハイボールを楽しみたい方に。」、12年は「ハイボールを、ちょっと贅沢に。」と書かれていて、どちらもハイボールで飲むことを前提に商品設計されていることがわかります。
デュワーズ 12年には、12年以上熟成された40種類以上のモルト原酒とグレーン原酒がブレンドされており、その中でもハイランドシングルモルトで有名な「アバフェルディ」を中心に「ロイヤルブルックラ」、スペイサイドの「クレイゲラキ」「オルトモア」がキーモルトとして使用されています。
引用元:デュワーズ公式サイト「デュワーズの味わいの秘密」
デュワーズで有名な製法が「ダブルエイジ製法」。樽熟成させたモルト原酒とグレーン原酒をブレンド後、そのブレンデッドウイスキーを再び樽の中で熟成させる製法です。これによってなめらかでバランス良くスムーズな仕上がりに。(同様の後熟方法は他のウイスキーでも用いられていますが、デュワーズではダブルエイジ製法と名付けています。)
デュワーズについての歴史などの概要は「デュワーズ ホワイトラベル」のレビュー記事で紹介していますので気になる方は是非読んでください。
そして2024年の1月頃からはフルリニューアルされたデュワーズ 12年が出荷されています。
旧ボトルから何が変わったかというと、まずビンの色が茶ビンから透明ビンに変わりました。旧ボトルは中の液体の色がわかりませんが、高級感が漂っていました。新ボトルでは透明になったことで中の液体の色がわかりやすく、明るくポップな印象を受けます。これまで手に取ってもらえなかったような人にも気軽に手に取ってもらえるような配慮でしょうか。ボトルの形状についてはまったく同じです。
今回のフルリニューアルでは中身がもっとも大きな変更点でしょう。旧ボトルではダブルエイジ製法で使われる樽についての明記はされていませんでしたが、新ボトルでは「1stフィル・バーボン樽を使用」と書かれています。(旧ラベルまでは「ダブルエイジング製法」だったのが、新ラベルからは「ダブルエイジ製法」にちょい変化も)
バーボン樽は、アメリカンウイスキーのバーボンを熟成させた樽のことです。バーボンの熟成には、内側を焦がしたオークの新樽のみ使うことができ、バーボン熟成に使われた樽はスコッチウイスキーやジャパニーズウイスキーで熟成樽として再利用されています。この時の再利用1回目のことを1stフィル、2回目を2ndフィル、3回目を3rdフィルと呼びます(2回目以降をリフィルともいう)。1stフィルは直前まで詰められていた酒類(デュワーズ 12年の場合はバーボン)の影響をもっとも受けやすく、樽材からの溶出成分も多いのが特徴。2nd、3rdになるにつれその影響は薄れていきます。
デュワーズ 12年のテイスティングレビュー・評価
デュワーズ12年の特性レーダーチャート
デュワーズ12年の特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り
グラスに鼻を近づけると、穀物の香りとチョコレートが混じり合った麦チョコが第一印象でした。さらにオレンジのような甘い柑橘の香りを感じます。
味わい
口に含むと、香りで感じていたチョコレートは影を潜め、最初にオレンジやはちみつの甘い風味を感じます。ウイスキーを飲み込んで喉を通ったあとにリンゴとバニラ、チョコレートを感じ取ることができました。アルコール刺激は弱め。何かの風味が突出しているということはなく、バランスの整った味わい(平坦にならしたような)とも言えますが、物足りなさも少しあります。
開栓して二日目以降のほうがウイスキーが「開き」ます。開栓直後は香り・味わいともに少し硬い印象。
余韻
余韻は長めで、僕の場合で40秒ほど楽しめました。
口に含んですぐにオレンジ、はちみつを感じ、ウイスキーを飲み込んだあとにリンゴ、チョコレート、バニラを感じ取れるようになりました。はちみつとリンゴは早い段階で消えていき、続いてチョコレートも感じなくなります。オレンジとバニラは最後の方まであるので、フルーティーさと甘い風味がずっと楽しめますよ。
デュワーズ12年の飲み方別 オススメ度(5段階)
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 5 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
数滴の加水で香り・味わいが感じ取りやすくなりました。ウイスキーが「開いた」という表現がまさにこれだと感じます。
ストレートよりも苦みがやわらかくなり、フルーティーな華やかさが強まりました。アルコール刺激も気にならない程度に弱まり、飲みごたえが変わらぬまま飲みやすくなります。
(グラスに注いだストレートを数十分置いておいたり、開栓後数日経ってからでも同様の変化が感じ取れました。)
オン・ザ・ロックス オススメ度:
軽快な甘味が引き立ちます。柑橘感や苦味が弱まり、余韻にはちみつとバニラを感じやすくなり、ストレートでは隠れていたレーズンが感じられるようになりました。
ストレートとはまた異なる味わいが楽しめます。
ハイボール オススメ度:
穀物の優しい甘さとフルーティーな爽やか&華やかさが味わえるハイボールになります。
フルーティーさはフレッシュなブドウとオレンジを足して2で割ったようなもので、グラスに顔を近づける時から炭酸のシュワシュワにのってとても良い香りが楽しめます。
喉越しも爽快フルーティーでグビグビ飲めてしまい、ある意味危険です。
ホットウイスキー オススメ度:
オレンジとチョコレートの風味が強まり、それでいて軽快な甘さのホットウイスキーです。
優しい香りと味わいで、気軽にホットウイスキーを楽しみたいときにオススメです。
デュワーズ 12年の新旧ボトル、ザ・グレンリベット 12年との比較
デュワーズ 12年の新旧ボトル、そして当サイトの基準ウイスキーである「ザ・グレンリベット 12年」との飲み比べを行いました。デュワーズ 12年の新旧ボトルはそれぞれ開栓直後で飲み比べています。
デュワーズ12年(旧ボトル)とザ・グレンリベット12年の特性比較
デュワーズ12年の新旧ボトルとザ・グレンリベット12年の特徴比較
これら3銘柄に絞った違いを表に書き出しました。
デュワーズ12年(新ボトル) | デュワーズ12年(旧ボトル) | ザ・グレンリベット12年 | |
---|---|---|---|
特性 | ザ・グレンリベット12年ほどは豊かではないがバランス良いまとまり | デュワーズ 12年(新ラベル)とほぼ変わらず | 香り・味わいともに豊かでまろやかにまとまっている |
特徴 | ・オレンジとバニラの風味を感じる ・ライト寄りのミディアムボディ | ・木樽とレーズンの甘さを感じる ・ライト寄りのミディアムボディ | ・バニラやはちみつ等の甘さが強い ・クリーミーでコクがあるミディアムボディ |
さすがにシングルモルト12年ものと比べると香り・味わいの総合力は一回り弱い印象ですが、デュワーズ12年は3,000円以下で買えるブレンデッドウイスキーであることを考えると、コスパ良くかなりレベルが高いウイスキーです。
次にデュワーズ 12年の新旧ボトルについて飲み方別比較表を作成しました。
デュワーズ 12年(新ボトル) | デュワーズ 12年(旧ボトル) | |
ストレート | オレンジやはちみつの後に、リンゴとバニラ、チョコレート。 アルコール刺激は弱め。 | 木樽とレーズン、はちみつの後に、梨やリンゴ、弱めのメロン。 華やかでフルーティーな爽やかさのある甘さ。 アルコール刺激は弱め。 |
加水(数滴) | 苦みがやわらかくなり、フルーティーな華やかさ。 | バランス崩れないが、ピリピリした刺激。 |
オン・ザ・ロックス | 軽快な甘味。柑橘感や苦味が弱まり、レーズンも。余韻にはちみつとバニラ。 | 穀物の優しい甘さとブドウのフルーティーさ。 |
ハイボール | 穀物の優しい甘さに加え、ブドウとオレンジを足して2で割ったような爽やか&フルーティー&華やか。 | フレッシュなブドウの爽やか&フルーティー&華やか。 はちみつや穀物の甘さ。 |
ホットウイスキー | オレンジとチョコレート、軽快な甘さ。 優しい香りと味わい。 | 平坦な味わい。 レーズン、りんご、梨、メロンを混ぜて平均化したイメージ。 |
デュワーズ 12年の新ボトルは、旧ボトルに比べて、どの飲み方でもより万人受けする仕上がりになったようです。ストレートでは新ボトルの方がレーズンが感じられなくなり、その他の特徴も弱まったように感じましたが、時間をおいたり数滴加水してウイスキーが開くことで旧ボトルに近い味わいになりました。
感想・まとめ:新ラベルのデュワーズ 12年も引き続きオススメの一本
2024年1月からフルリニューアルした「デュワーズ 12年」を紹介しました。
旧ラベルよりも特徴がわずかに弱まった印象でしたが、万人受けする味わいになっています。デュワーズの代名詞でもある「ハイボール」はオススメの飲み方として変わりませんが、加水やオン・ザ・ロックス、ホットウイスキーも飲みやすく、どんな飲み方でも楽しめる万能ブレンデッドウイスキーです。
デュワーズ12年は酒屋さんはもちろん、スーパーでも取り扱いがあり3,000円以下で購入できるところも。
飲みやすさと味わいの面で文句なしのブレンデッドウイスキーです!
- 華やかでフルーティーなちょっと贅沢ハイボールを楽しみたい方
- スーパーでも購入可能な3,000円以下のおいしいスコッチウイスキーをお探しの方
- 普段はデュワーズ ホワイトラベルを飲んでいて、12年が気になっていた方