みなさんは4月1日が何の日かご存知ですか?エイプリルフール?
実は「ジャパニーズウイスキーの日」なんです。日本初の本格国産ウイスキー「サントリー白札」(後のサントリーウイスキーホワイト)が発売されたのは1929年4月1日のことでした。ジャパニーズウイスキーの記念日として相応しいこの4月1日をジャパニーズウイスキーの日として制定したのが2021年のこと。最近できたばかりの記念日なんです。
ジャパニーズウイスキーの日制定のもととなったウイスキーが今回紹介するサントリーウイスキーホワイトです。
- ライトでクセのない香りと味わい。
- ハイボールやホットウイスキーが飲みやすい。
- 実は記念すべき国産第1号ウイスキー。
サントリーウイスキー ホワイトの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | サントリーウイスキー ホワイト |
原産国 | 日本 |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | サントリースピリッツ |
取扱い | サントリーホールディングス |
参考価格 | 1,100~1,300円(640ml) |
おそらくネットショッピングよりもスーパーや酒屋さんで購入する方がお得です。
ストーリー
サントリーの前身である寿屋が本格ウイスキーづくりを実現するために蒸溜所建設に乗り出し、山崎蒸溜所の建設に着手したのが1923年のことでした。山崎蒸溜所は翌年1924年に稼働し日本国内でのウイスキーづくりはスタートしたのです。
ウイスキーは熟成が必要なお酒です。蒸溜所が稼働して原酒の生産が始まってもウイスキーができあがるまで何年もかかります。当時の日本ではウイスキーはまだ大衆になじみのない時代でウイスキーの熟成に関しても同様に誰も知りませんでした。山崎蒸溜所が稼働した当初の面白いエピソードを紹介します。
山崎・天王山に棲む怪物ウスケ
【192X年、京都郊外の某山崎蒸溜所付近の人々の会話】
おい、知ってるか?
このあいだ天王山の麓に建てられた、あのヘンテコな建物のウワサ。
ああ、牛車が列をつくってスゲー量の大麦を運び込んでるっていうアレのことかい?
あの建物からはいつも煙があがってるけど、いったい何をしてるんだろうねぇ?
なんでもあそこには「ウスケ」っていう、大麦ばかり喰う化け物が棲んでるって話だぜ。
この怪物ウスケの正体が「白札」でした。実際には当時の寿屋の主力製品だった「赤玉ポートワイン」の利益を食べ尽くしそうだったとか。
国産第1号ウイスキー「白札」発売
山崎蒸溜所稼働から5年後の1929年4月1日に、国産第1号ウイスキー「白札」が発売されました(当初のブランド名は「サントリーウイスキー」のみ)。本場スコッチウイスキーにも負けないぞとの意気込みで発売した白札でしたが、苦労の甲斐むなしく当時の日本人には受け入れられませんでした。
受け入れられなかった理由は、「スモーキーさ」だったというから驚きです。現在ではよりヘビースモーキーなウイスキーを好む人も多いですからね。
発売当初「サントリーウイスキー」だった名称は白いラベルから「白札」と呼ばれるようになり、戦後は「シロ」という通称になりましたが、1964年に現在の「ホワイト」に改称されました。
サントリーウイスキー ホワイトのテイスティングレビュー・評価
サントリーウイスキー ホワイトの特性レーダーチャート
サントリーウイスキー ホワイトの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り立ちは弱く、アルコール臭とともに爽やかな甘味を連想させるフルーティーな香りがします。
口に含むとそれほど熟していないメロンとレモンの軽く爽やかなフルーティーさが感じ取れますが、アルコール刺激は強めでそれ以外の特徴が弱いのでストレートではかなり飲みにくいです。わずかにスモーキーさも感じます。
余韻は短く、苦味が少し残りますがそれもすぐに消えていきます。
発売当初の1929年商品はかなりスモーキーだったとのことですが、現在のホワイトはスモーキーさは抑えられリーズナブルな商品設計になっています。
サントリーウイスキー ホワイトの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 2 |
加水 | 2 |
オン・ザ・ロックス | 2 |
ハイボール | 3 |
ホットウイスキー | 3 |
加水 オススメ度:
アルコールのビリビリした刺激は少なくなりますが、アルコールのにおいと薬品感が感じ取りやすくなります。また甘味料のような人工的な甘味を感じるようになり、バランスが崩れた印象です。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
フルーティーさが減り、苦味が目立つようになりました。
やはりもともと特徴が弱いので苦味が目立つとバランスが崩れてしまいます。
ハイボール オススメ度:
ウイスキーの風味がほのかに感じられる、クセのないドライなハイボールです。これはハイボール単体というよりも食中酒としての飲み方が合いそうです。料理の味を邪魔することはありません。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2で試してみました。
少しだけメロンやレモンの優しい甘さを感じるホットウイスキーです。お湯で割った直後はアルコール感がありますが、数秒待てばアルコール刺激はかなり減ります。
サントリー オールドとの比較
同じサントリーウイスキーのオールドと比較しました。角瓶との比較も考えていたのですが以下の理由からオールドとの比較にしました。(角瓶とも飲み比べはしています)
比較品をオールドにした理由
- 1929年当時にサントリーが所有していた蒸溜所は山崎蒸溜所のみ。山崎原酒の特徴が感じ取りやすいブレンデッドウイスキーはオールドである。
- 実際に飲み比べてみて、味わいの方向性がホワイトとオールドで近いと感じたから。
ホワイトとオールドの特性比較
ホワイトとオールドの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
ホワイト | オールド | |
---|---|---|
特性 | クセがない | まろやかでバランス良くまとまっている |
特徴 | ・薄くメロンやレモンのフルーティーさ ・余韻はかなり短く、後味残らない ・ライトボディ | ・レーズンとバニラの甘味 ・余韻にシナモンのようなスパイシーさ ・ミドル寄りのライトボディ |
ホワイトは640mlで約1,200円と考えると、700ml換算で約1,300円になります。一方のオールドは700mlで約1,900円。ウイスキーを楽しむという飲み方であれば個人的にはオールドをオススメします。この600円差は十分に出す価値があるでしょう。(さらに厳密に比較するとアルコール度数も違うのでさらに価格差は縮まります)
「夕食時など、どんな食事の味も邪魔しないでのど越し良くハイボールが飲みたい」といった場合はホワイトも選択肢に入るウイスキーです。
感想・まとめ:食中酒のハイボールで普段飲み!
4月1日「ジャパニーズウイスキーの日」制定の要因にもなった国産第1号ウイスキー「白札」=サントリー ホワイトを紹介しました。
いま日本で様々なウイスキーをおいしく楽しめているのはサントリーの前身である寿屋が白札の失敗を乗り越えて今日のウイスキーブームを作り上げてくれたからでしょう。発売当初の香り・味わいとは全く別物ではありますが、サントリーウイスキーホワイトをまだ飲んだことがない方は敬意を払って飲んでみていただきたいです。
フルボトルで購入した方で、飲んでみたらアルコールきつくて飲みにくかったという方は数ケ月放っておいてみて下さい。開栓からしばらく経つとアルコール刺激が落ち着きまろやかになって飲みやすくなります。
- 国産ウイスキー第1号の味わいに興味がある方
- どんな食事でも邪魔してこないハイボール用ウイスキーをお探しの方