バーボン好きなら一度は耳にしたことがあるであろう「ワイルドターキー」。その力強く複雑な味わいは、世界中のバーボン愛好家を魅了し続けています。今回紹介する「ワイルドターキー スタンダード」は、ワイルドターキーのベーシックな味わいをバーボン初心者にも飲みやすく調整したボトルです。
バーボンを飲み慣れている方にとっては、物足りなさを感じるかも。
- ワイルドターキーのエントリーボトル
- 甘味ひかえめで苦味があり、スッキリ系のバーボンウイスキー
記事の後半では同じワイルドターキーのラインナップから「ワイルドターキー 8年」と当ブログでバーボンの基準としている「I.W.ハーパー ゴールドメダル」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
ワイルドターキー スタンダードの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ワイルドターキー スタンダード |
原産国 | アメリカ(ケンタッキー州) |
分類 | バーボンウイスキー |
蒸留所 | ワイルドターキー蒸留所 |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | カンパリ・グループ |
取扱い | CTスピリッツ・ジャパン |
参考価格 | 2,000~2,500円(700ml) |
ストーリー
150年以上続く伝統
ワイルドターキーの歴史は古く、1855年に設立されたオースティン・ニコルズ社まで遡ります。オースティン・ニコルズ社はコーヒーや紅茶、酒類の卸商で、バーボンウイスキーに関しては蒸留所から原酒を直接買いとってボトリングしていました。その蒸留所がケンタッキー州ローレンスバーグに1869年に開設されたリッピー蒸留所です。オースティン・ニコルズ社はのちにリッピー蒸留所を買収し、ワイルドターキー蒸留所に改名することになります。
「ワイルドターキー」誕生の秘話
ワイルドターキーというユニークな名前は、1940年のある出来事がきっかけで生まれました。当時のオースティン・ニコルズ社の社長が、恒例のターキーハンティングに101プルーフ(アルコール50.5%)のバーボンを持参し友人たちに振舞いました。友人たちからの評判は良く、その力強く野性味あふれる味わいから「ワイルドターキー」と呼ばれるようになったのです。
ワイルドターキーブランドの主力ボトルは101プルーフ=アルコール50.5%とされています。ワイルドターキー スタンダードはアルコール40%なので、やはり主力ボトルではなくエントリーボトルなんですね。
こだわりのアリゲーターチャー
バーボンを熟成するための樽は内側を焦がす必要があり、これを「チャー」といいます。チャーのレベルはNo.1からNo.4まで、数字が大きくなるほど強い焦がし加減に。ワイルドターキーでは、一番強いレベルNo.4の「アリゲーターチャー」を施したオーク樽が熟成に使われています。
ワニの表皮のような質感になるまで焦がすので「アリゲーターチャー」と呼ばれているんです。
チャーが強いほど、樽から出てくる独特の風味がバーボンに移ります。ワイルドターキーの深い琥珀色とコクのある味わいは、この強いチャーによって生み出されます。
ワイルドターキー スタンダードのテイスティングレビュー・評価
ワイルドターキー スタンダードの特性レーダーチャート
ワイルドターキー スタンダードの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り
香り立ちはそれほど強くなくライトです。グラスに鼻を近づけると、弱めのバニラと生木を切った際に感じるような独特の香りがします。
味わいと余韻
口に含んでみると、穀物とバニラの甘さ、その後にアルコールのピリッとした辛味と苦味が追いかけてきます。舌で感じる甘味は少ないためか、やや苦味が目立ちます。苦味は薬品ぽさがあり、個人的に感じたイメージとしては、子供が風邪をひいた時に処方される薬(苦味に無理やり甘味を足したような)の甘苦さ。香りで感じていた切ったばかりの生木のニュアンスは薄れ、草が強まったような草木感が感じ取れました。
余韻はやや長めで、僕の感覚で40秒ほど。バニラは早い段階で消えていき、最後まで草木と薬品のような苦味がありました。
開栓直後は特に苦味が強調されて感じられました。開栓してから時間が経った方が少しまろやかになって飲みやすくなりましたよ。
ワイルドターキー スタンダードの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 3 |
加水 | 3 |
オン・ザ・ロックス | 2 |
ハイボール | 4 |
ホットウイスキー | 3 |
加水 オススメ度:
辛味と苦味、アルコール刺激が弱まり、とても飲みやすくなりました。味わい自体は単調に。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
甘味が強まりましたが、人工甘味料のような違和感のある甘さになり、数秒で消えていきます。苦味の薬品感がより強まり、甘味もすぐに消えていくことでやたらと苦味が目立つように。
さらに氷の溶けが進むとより苦味が際立ってきます。
ハイボール オススメ度:
やや苦味があってスッキリ飲めるバーボンハイボール。バーボン特有のバニラ&華やかなエステリーさはあるけれど、それ以外の特徴はありません。
ワイルドターキー スタンダードはハイボールがもっとも飲みやすいと感じました。
ホットウイスキー オススメ度:
ワイルドターキー スタンダードの甘さをもっとも感じられる飲み方です。しかしケミカルな苦味があり、時間が経つにつれて単調で苦い飲み物になっていきました。
ワイルドターキー スタンダードとワイルドターキー 8年、I.W.ハーパー ゴールドメダルとの比較
同じワイルドターキーのラインナップから「ワイルドターキー 8年」と当ブログでバーボンの基準としている「I.W.ハーパー ゴールドメダル」との比較です。(ワイルドターキー 8年は1000mlボトル)
ワイルドターキー スタンダードとワイルドターキー 8年、I.W.ハーパー ゴールドメダルとの特性比較
ワイルドターキー スタンダードとワイルドターキー 8年、I.W.ハーパー ゴールドメダルとの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
ワイルドターキー スタンダード | ワイルドターキー 8年 | I.W.ハーパー ゴールドメダル | |
---|---|---|---|
特性 | バーボンの骨格はあるが薄い | 香り・味わいともに複雑で濃く、力強い | まろやか+クセ少なめで飲みやすい |
特徴 | ○甘味は弱く、苦味が目立つ ○ミディアム寄りのライトボディ | ○甘味が強く、苦味は程よい ○バニラやチョコレート、オレンジ、ハーブやスパイス感 ○フルボディ | ○甘味・苦味・渋味の絶妙バランス ○弱めの接着剤のにおい ○ライト寄りのミディアムボディ |
アルコール度数 | 40% | 50.5% | 40% |
価格※ | 2,365円 | 3,177円 | 2,440円 |
ワイルドターキー スタンダードは比較した3点の中でもっともライトな酒質。味わいも薄く、バーボン慣れしている人にとっては物足りないでしょう。
ワイルドターキー スタンダードとワイルドターキー 8年は2024年8月時点で約800円差。ワイルドターキー 8年はかなり高いと感じる方もいるとは思いますが、味わい的には価格差以上に飲みごたえがあります。また700mlと1000mlのボトルが販売されていて、さらにアルコール度数も8年の方が濃いため、8年の1000mlが圧倒的にお買い得。ワイルドターキーという銘柄に挑戦したいという方には、スタンダードを通り越して8年がオススメです。
ワイルドターキー スタンダードとI.W.ハーパー ゴールドメダルはどちらも同じアルコール度数、近い価格ですが、I.W.ハーパー ゴールドメダルの方がまろやかで味わい豊かでバランスが良く、個人的にはバーボン入門に適していると感じています。
感想・まとめ:ワイルドターキー好きなら一度は飲んでみても良い?
バーボン好きなら必ず知っている銘柄「ワイルドターキー」からエントリーボトルの「ワイルドターキー スタンダード」を紹介しました。香り・味わいともに薄く、普段からバーボンウイスキーを飲み慣れている人にとっては物足りなさを感じることでしょう。ワイルドターキーファンの方で、まだスタンダードは飲んだことがなく、どんな味わいか知りたい方には話のネタにイイかもしれません。
- ワイルドターキーファンの方
- 力強いバーボンウイスキーがお好きな方には物足りないでしょう