レビュー|ワイルドターキー 12年|濃厚で複雑、穏やかな長熟バーボン

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【レビュー】ワイルドターキー 12年

2022年9月に再販売になったプレミアムバーボン「ワイルドターキー 12年」。1990年代に販売されていましたが、長期熟成原酒の不足によって生産中止になっていました。それが20年以上経って待望の復活。ワイルドターキーシリーズは、内側を強く焦がした樽で原酒を熟成させる、力強く複雑な味わいが特徴です。今回紹介する「ワイルドターキー 12年」は、日本でワイルドターキーを代表するボトル「ワイルドターキー 8年」と比べて2倍位上の価格差があります。8年ものでもバーボンの中では長期熟成にあたりますが、さらに長い熟成期間である12年がどのような香り・味わいなのかレビューしていきます。

らま

スコッチウイスキーの12年ものはよく見かけますが、バーボンの12年ものは種類が少なく、スコッチに比べて熟成感があるんです。

ワイルドターキー 12年はこんなウイスキー

  • 濃厚・複雑ながらアルコール50.5%とは思えない穏やかな飲み心地
  • ダークチョコ、バニラ、キャラメル、ベリーなどの複雑な味わい
  • ワイルドターキー 8年よりもリッチなフルーティーさがある
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記事の後半では同じワイルドターキーのラインナップから「ワイルドターキー 8年」、「ワイルドターキー 101」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。

目次

ワイルドターキー 12年の基本情報・ストーリー

基本情報

銘柄 ワイルドターキー 12年
原産国 アメリカ(ケンタッキー州)
分類 バーボンウイスキー
蒸留所 ワイルドターキー蒸留所
アルコール度数 50.5%
所有者 カンパリ・グループ
取扱い CTスピリッツ・ジャパン
参考価格 6,800~8,500円(700ml)

ストーリー

ワイルドターキーは、1855年創業のオースティン・ニコルズ社という卸売業から始まったバーボンウイスキーブランドです。創業当初はケンタッキー州の蒸留所からウイスキーを仕入れて販売していました。

「ワイルドターキー」という名前は、当時のオースティン社の社長が七面鳥の狩猟に持参したバーボンを友人たちに振舞い好評だったことから、その力強い味わいを野生の七面鳥に例えて名付けられました。

最大の特徴は、独特の深い琥珀色とコクのある味わい。これは、ウイスキーを熟成させる新樽の内側を強く焦がす「チャー」という技法によるもので、ワイルドターキーの場合は最上グレードのチャー「アリゲーターチャー」で熟成させていることで有名です。

ワイルドターキー12年はワイルドターキーシリーズの中では超長期熟成タイプのバーボンウイスキー。以前はワイルドターキー13年 ディスティラーズリザーブ(Alc.45.5%)が販売されていましたが、今では終売となっていますので、ワイルドターキーシリーズの年数表記ボトルとしては12年が最長の長期熟成ボトルになります。

ワイルドターキー12年の化粧箱

ワイルドターキー12年は箱無しと箱有りが販売されていて、箱無しが約7,000円、箱有りが約8,000円です。箱は高級感あるデザインの化粧箱で、外側は紫色の樽材の木目が、内側はワイルドターキーの特徴であるアリゲーターチャーの模様が施されています。

らま

箱有りはプレゼント用にいいですね。自分用としても箱有りで購入し、リピート購入の際に箱無しで購入してボトルだけ交換して所持するのも良いと思います。

バーボンウイスキーがスコッチウイスキーほど長期熟成(18年以上)しないのには理由があります。バーボンウイスキー蒸留所が多いケンタッキー州はアメリカ内陸部に位置し、夏と冬の寒暖差が大きく、夏は30℃以上で冬はマイナス20℃と50℃もの寒暖差。この大きな寒暖差がバーボンウイスキーの熟成を促します。熟成促進に伴ってエンジェルズシェア(樽内原酒の減少)もかなり多く、スコッチウイスキーでは年間2~3%に対して、バーボンウイスキーは1年目で10~18%、2年目以降で4~5%と言われています。それ故に長期熟成バーボン原酒は希少なのです。

らま

エンジェルズシェア(天使のわけまえ)とは、熟成期間中に樽内の原酒が減っていく現象のこと。昔の職人が、天使がコッソリとウイスキーを飲んでその代わりにウイスキーがおいしくなっていくと話していたことが由来です。

ワイルドターキーの場合がどれほどのエンジェルズシェアかわかりませんが、下表のように計算すると12年後には47~57%しか残っていないことに。

エンジェルズシェア(最小)エンジェルズシェア(最大)
1年目 減少量10 %18 %
2年目以降 減少量4 %5 %
12年熟成後の残量57.4 %46.6 %

スコッチウイスキーのエンジェルズシェアが年間3%として計算すると、減少量だけで考えて18~25年熟成に匹敵することになります。(エンジェルズシェアの量と熟成のスピードが、スコッチとバーボンで一致するとは限りませんが)

ワイルドターキー 12年のテイスティングレビュー・評価

ワイルドターキー 12年の特性レーダーチャート

ワイルドターキー 12年の特性レーダーチャート
【香り】調和:6,豊か:6,個性的:6,
【味わい】調和:6,まろやか:7,豊か:7,濃い:6,個性的:7

ワイルドターキー 12年の特徴グラフ

コメント(ストレートでの評価 オススメ度:

ワイルドターキー 12年:ストレート

香り

香りからしてまろやかです。アルコール度数が50.5%もあるようには思えない刺激の少なさ。バニラは弱めですが、想像以上にフルーティーでベリードライフルーツの濃厚なフルーツ感、チョコレートシナモンの甘くスパイシーな香りがあります。

味わいと余韻

ワイルドターキー12年の味わいと余韻

口に含んでみると、甘いニュアンスとしてバニラキャラメルがあり、ベリードライフルーツのような濃厚なフルーツ感酸味・苦味・渋味を伴うハイカカオのダークチョコレート柑橘ハーブが感じ取れます。複雑ながら穏やかな味わいで、アルコールが50.5%あるにも関わらず、アルコール刺激は少なめでストレートでも飲みやすいです。エステリーさ(程よい強さだと熟した果物や花束のような心地よい風味、強すぎると接着剤臭のようなにおいに感じ取れてしまうことも)も程よく、バーボン特有の接着剤臭はありません。

余韻は思っていたより短めで、僕の感覚で45秒ほど(ワイルドターキー 8年の方が長かったです)。まずダークチョコレートとバニラ、キャラメルを感じた数秒後にベリーやドライフルーツ、少し遅れて柑橘があらわれます。バニラとキャラメルが消えてきたころにハーブやスパイシーさが強まり、それと同時にダークチョコレートの苦味や渋味が目立ち始めます。

ワイルドターキー 12年の飲み方別 オススメ度

飲み方オススメ度
ストレート
ストレート
4
加水
加水
5
オン・ザ・ロックス
オン・ザ・ロックス
3
ハイボール
ハイボール
5
ホットウイスキー
ホットウイスキー
3

加水 オススメ度:

ワイルドターキー 12年:加水

数滴の加水で華やかさが強まり、苦味と渋味がかなり弱まりました。完熟メロンのようなフルーティーさナッツようなオイリーさがあらわれ、後味にはほろ苦さも。

もっともオススメな飲み方です。

オン・ザ・ロックス オススメ度:

ワイルドターキー 12年:オン・ザ・ロックス

バニラの風味やフルーティーさが強まります。苦味は強く後味に残り、ツンとした酸味も。ワイルドターキー 12年の複雑だった味わいが単調に感じられました。

ハイボール オススメ度:

ワイルドターキー 12年:ハイボール

ダークチョコレートが弱まり、メープルシロップがあらわれます。飲み込んだ後に鼻から抜けるベリー完熟フルーツの風味が心地良いです。わずかにキウイフルーツのような風味も感じられました。

ストレートに比べると奥深さはありませんが、十分に濃厚で複雑さが楽しめるハイボールです。

ホットウイスキー オススメ度:

ワイルドターキー 12年:ホットウイスキー

甘さが強まりシナモンの風味を強く感じ取ることができますが、時間が経つと甘さが抜けていき、苦味が目立つように。他の飲み方に比べて薄っぺらい味わいで、ワイルドターキー 12年の複雑さがなくなってしまいました。

ワイルドターキー 12年とワイルドターキー 8年、ワイルドターキー 101との比較

ワイルドターキー12年とワイルドターキー8年、ワイルドターキー101との比較

同じワイルドターキーのラインナップから「ワイルドターキー 8年」、「ワイルドターキー 101」との比較です。(ワイルドターキー 8年とワイルドターキー 101は1000mlボトル)

ワイルドターキー 12年とワイルドターキー 8年、ワイルドターキー 101との特性比較

ワイルドターキー  12年とワイルドターキー 8年、ワイルドターキー 101との特性比較

ワイルドターキー 12年とワイルドターキー 8年、ワイルドターキー 101との特徴比較

これら3銘柄に絞った比較表を用意しました。

ワイルドターキー 12年
(700ml)
ワイルドターキー 8年
(700ml)
ワイルドターキー 101
(1000ml)
特性香り・味わいともに複雑で濃厚、穏やか香り・味わいともに複雑で濃く、力強い力強く荒い味わい
特徴○甘味が強く、苦味は程よい
○バニラ、ダークチョコレート、キャラメル、ベリーやドライフルーツ
○フルボディ
○甘味が強く、苦味は程よい
○バニラやチョコレート、オレンジ、ハーブやスパイス感
○フルボディ
○甘味よりも苦味が目立ちやすい
○バニラやチョコレート、柑橘の皮、ハーブ
○フルボディ寄りのミディアムボディ
アルコール度数50.5%50.5%50.5%
価格※6,757円(箱無-Amazon)
7,777円(箱有-Amazon)
3,203円(Amazon)3,278円(楽天市場)
※価格は2024年9月15日の執筆時点

ワイルドターキー 12年は、比較した3点の中でもっとも複雑で穏やかな飲み心地。3点ともアルコール度数50.5%ですが、明らかに12年はアルコール刺激は少なく、バーボン特有の接着剤臭もなく、飲みやすいです。また、フルーティーさは12年がもっとも強く、濃厚なベリーやドライフルーツ感が楽しめました。

味わいの濃厚さや力強さでいうと8年がもっとも強く、余韻も長かったです。12年は思っていたよりも余韻が短く、その中で複雑に風味が変化、ダークチョコレートが強い。8年はバニラが強く、101は8年の下位互換で苦味が目立ちました。

700mlボトルの価格は、12年が8年の2倍以上。101は700ml換算するともっともリーズナブルです。普段飲みであれば、味わいや価格面で8年のトータルバランスが優れているように感じます。飲み方に関しても、8年はストレート、ハイボール、ホットウイスキーと全てにおいて味わいが崩れませんでした。12年は飲み方によってややもったいない味わいになってしまい、飲み方を選ぶものの、ストレートや加水で口に含んだ時の味わいの複雑な変化が魅力的でした。

感想・まとめ:贈答にも、自分へのご褒美にも選んでほしいプレミアムバーボン

「ワイルドターキー」の超長期熟成ボトル「ワイルドターキー 12年」を紹介しました。箱無しでも約7,000円と高級ラインナップのバーボンウイスキーです。箱有りで約8,000円しますが、高級感のある化粧箱に入ったワイルドターキー 12年はまさにプレミアムバーボン。プレゼント用にも良い選択肢でしょう。

オススメの飲み方は数滴の加水です。ストレートで少し目立っていた苦味や渋味が落ち着き、フルーティーで華やかな風味が強まってより味わい深くなります。

こんな方にオススメ
  • 長期熟成タイプのバーボンウイスキーを飲んでみたい方
  • ワイルドターキーシリーズがお好きな方
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