ジャパニーズウイスキーの世界的な評価が高まる中、その原点とも言える存在がニッカウヰスキーの「シングルモルト余市」です。「日本のウイスキーの父」と呼ばれるニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝の情熱が息づくこの一本は、数々のウイスキーファンを魅了し続けています。
この記事では、「シングルモルト余市」の詳しい味わい、オススメの飲み方まで徹底的にレビューしていきます。
らまシングルモルトジャパニーズウイスキーとしては比較的入手しやすく、味わいの完成度が高いウイスキーです。
- 力強く重厚、フルーティー&スモーキーな味わい
- 本場スコッチでも稀少な「石炭直火蒸溜」によるウイスキー
- 日本のウイスキーの父・竹鶴政孝氏の情熱がこめられたニッカウヰスキー第一号シングルモルト
記事の後半では、同じニッカウヰスキーのシングルモルト「シングルモルト宮城峡」、当ブログの基準シングルモルト「ザ・グレンリベット 12年」との比較もしています。ぜひ最後までご覧ください。
シングルモルト余市の基本情報・概要
基本情報
| 銘柄 | シングルモルト余市 |
| 原産国 | 日本 |
| 蒸留所 | ニッカウヰスキー 余市蒸溜所 |
| 分類 | シングルモルト |
| 仕込み水 | 余市川の伏流水 |
| 主な熟成樽 | バーボン樽、シェリー樽、新樽 |
| アルコール度数 | 45% |
| 所有者 | ニッカウヰスキー |
| 取扱い | アサヒビール |
| 参考価格(税込) | 7,700円 |
概要
日本のウイスキーの原点


シングルモルト余市は、ニッカウヰスキーが北海道・余市町にある「余市蒸溜所」で生み出すシングルモルトウイスキーです。余市蒸溜所が設立されたのは1934年(昭和9年)。創業者の竹鶴政孝氏は、ウイスキーづくりの聖地・スコットランドでその技術を学びました。彼は日本で本格的なウイスキーをつくるため、スコットランドの気候風土に似た冷涼で湿潤な土地を探し求め、ついにこの北海道・余市に辿り着いたのです。



竹鶴政孝氏と、彼を支えたスコットランド人の妻リタさんの生涯は、NHKの連続テレビ小説「マッサン」のモデルとなり、余市蒸溜所も一躍有名になりました。
余市は、海と山に囲まれ、清冽な水と澄んだ空気に恵まれています。この厳しい自然環境が、余市の力強く重厚な酒質を育んでいます。
伝統の証「石炭直火蒸溜」というこだわり


余市の最大の特徴は、その製造工程にあります。竹鶴政孝がスコットランドで学んだ伝統的な「石炭直火蒸溜」を、創業以来、頑なに守り続けているのです。石炭直火蒸溜とは、その名の通り蒸溜釜(ポットスチル)を石炭の直火で加熱する方式です。
現代のウイスキーづくりでは、温度管理が容易なスチーム間接蒸溜が主流です。ニッカウヰスキーが所有するもう一つの蒸溜所:宮城峡蒸溜所もスチーム間接蒸溜を行っています。しかし、余市蒸溜所ではあえて手間のかかる方式を採用しています。直火で800〜1000℃もの高温で加熱することにより、釜の中に適度な「おこげ」が生まれ、これが余市特有の香ばしく、リッチで重厚な味わいを生み出します。この製法を維持するには熟練の職人技が不可欠であり、本場スコットランドですら、今やこの方式を採用する蒸溜所はごくわずか。このこだわりこそが、余市の個性を決定づけています。
シングルモルト余市の特性レーダーチャート


シングルモルト余市の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)


香り
開栓直後にグラスに注いで、鼻を近づけての第一印象は、草木と土のマットな印象にチョコレートの香りでした。ある程度時間が経つと印象ががらりと変わり、まったりとした甘口フルーティーと草木、奥の方に控えめなスモーキーさが感じられるように。
味わいと余韻


口に含んでみると、重厚な味わいが印象的です。強めのバニラ、加熱したリンゴ、スウィーティーのような柑橘、桃、ダークチョコ、焦げ感と芳ばしさのあるスモーキー、甘い風味のハーブが感じ取れました。非常に複雑な味わいでクリーミーな口当たりもあります。
香りで感じていたよりもスモーキーさが強く、飲み込んだ後に鼻から抜ける華やかなフルーティーさとスモーキーさがマッチしています。
アルコール度数が45°なので、ピリッとしたアルコール刺激はありますが、力強く複雑で飲みごたえバッチリ。ぜひストレートで楽しんでいただきたいボトルです。



開栓直後よりも、ウイスキーが空気に触れて時間が経ってからのほうが圧倒的に香りと味わいを強く感じ、まろやかな口当たりになりますよ。
余韻は長く、僕の感覚で90秒程度。口に含んですぐにバニラ、加熱リンゴ、柑橘、桃が広がり、数秒後にダークチョコと焚火の焦げ感と芳ばしさスモーキーが訪れます。総合的なフルーティーさのピークは最初の10秒当たりでした。柑橘と桃は中盤には感じにくくなり、スモーキーさも落ち着いていきます。バニラと加熱リンゴ、ダークチョコレートは最後まで感じられました。
シングルモルト余市の飲み方別 オススメ度
| 飲み方 | オススメ度 |
|---|---|
![]() ![]() ストレート | 5 |
![]() ![]() 加水 | 5 |
![]() ![]() オン・ザ・ロックス | 4 |
![]() ![]() ハイボール | 5 |
![]() ![]() ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:


数滴の加水でアルコールのピリピリした刺激がかなり抑えられます。フルーティーさとチョコレートと穀物が強まり、スモーキーさが落ち着きます。まろやかになり、ストレートよりも飲みやすくなりました。
味わいバランスは変わりますが、それでも余市の特徴を楽しめるでしょう。
オン・ザ・ロックス オススメ度:


フルーティー、バニラ、ビターチョコの風味が強まります。ストレートで強く感じた加熱リンゴはやや弱まり、その分柑橘と桃の風味を感じ取りやすくなります。
ストレートは力強い味わいである分、氷が溶けて薄まっていくとボヤけてくる印象です。ハイボールにする前に数口楽しむのがオススメ。
ハイボール オススメ度:


バランスの良いスモーキー&フルーティーハイボールです。酸味が少し出ることでしっかりした飲み応えと爽快さが両立しています。加熱リンゴよりもスウィーティーと桃を強く感じ、飲み込んだ後に鼻から抜けていく芳ばしいスモーキーがたまりません。
グビグビ飲めてしまう危険なハイボールです。
ホットウイスキー オススメ度:


ウイスキー:お湯=1:2の濃いめでつくりました。
香りでスモーキー、味わいでフルーティー、バニラ、チョコレートの風味が楽しめるホットウイスキーです。
他の飲み方よりも力強い飲みごたえは落ち着き、優しくバランスの取れた味わいが楽しめます。
シングルモルト余市とシングルモルト宮城峡、ザ・グレンリベット12年との比較


シングルモルト宮城峡と同じく、ニッカブランドの「シングルモルト余市」と当ブログの基準シングルモルトウイスキーである「ザ・グレンリベット 12年」と飲み比べしました。
シングルモルト余市とシングルモルト宮城峡、ザ・グレンリベット12年との特性比較


シングルモルト宮城峡とシングルモルト余市、ザ・グレンリベット12年との特徴比較
これら3銘柄の比較表を用意しました。
| シングルモルト余市 | シングルモルト宮城峡 | ザ・グレンリベット 12年 | |
|---|---|---|---|
| 特性 | 力強く複雑で、フルーティー&スモーキーな味わい | エレガントで爽やかフルーティーな味わい | 香り・味わいともに豊かでまろやかにまとまっている |
| 特徴 | 〇加熱したリンゴ、バニラ、チョコレート、桃、柑橘、華やか 〇焚火+焦げのスモーキーさ 〇フルボディ寄りのミディアムボディ | 〇リンゴ、洋梨、バニラが強く、華やか 〇弱めだが焚火のようなスモーキー 〇ミディアムボディ | 〇穀物やバニラやハチミツ等の甘さが強く、華やか 〇スモーキーさはほとんどない 〇ミディアムボディ |
3銘柄を飲み比べてまず感じたのは、シングルモルト余市(以下、余市)もシングルモルト宮城峡(以下、宮城峡)も本場スコッチのシングルモルトウイスキー12年熟成ものに決して劣らない味わいであるということです。スコッチの代表として今回比較品にしたザ・グレンリベット 12年はアルコール度数が40°であるのに対し、余市と宮城峡は45°あるので、その分アルコール刺激は強めに感じられました。それを考慮しても、年数表記なしの余市と宮城峡は十分な飲み応えが魅力的だと感じました。
余市は力強く重厚で、濃いフルーティーさと芳ばしいスモーキーさがあります。宮城峡もフルーティータイプですが余市と比べるとライトで華やかです。ザ・グレンリベット 12年はフルーティーさ以外にもハチミツの風味が強いという違いがありました。
価格面では、2025年11月時点での参考値として余市と宮城峡は7,700円(税込)付近、ザ・グレンリベット 12年は約4,700円(税込)と差があります。ウイスキー初心者向けには、価格や飲みやすさの点でザ・グレンリベット 12年をオススメしますが、日本のウイスキーの父・竹鶴政孝氏が本場スコットランドに負けないウイスキーづくりを目指し辿り着いたジャパニーズシングルモルトウイスキーを試したいという方には、余市と宮城峡を全力でオススメします。
感想・まとめ:本場のスコッチに負けない、魂が込められたシングルモルト
ニッカウヰスキーが誇るシングルモルトウイスキーの一つ「シングルモルト余市」を紹介しました。一時期入手困難でしたが、最近ではスーパーの店頭でも希望小売価格(7,700円税込)付近で見かけることが多くなりました。
余市の味わいは、力強くリッチで、フルーティーかつスモーキー。加熱リンゴと柑橘、桃、芳ばしい焚火のような風味が魅力的です。



シングルモルト宮城峡と飲み比べてその違いを確かめ、竹鶴政孝氏が追い求めたジャパニーズウイスキーに思いを馳せるのも有意義な宅飲みになります。
- しっかりとした飲みごたえ、パンチのあるウイスキーを求めている方
- 世界でも稀少な「石炭直火蒸溜」の酒質を試してみたい方
- 日本のウイスキーの歴史や、竹鶴政孝氏の情熱(ストーリー)に魅力を感じる方













