個性的で多くのファンを魅了するハイランドパークから、その入門ボトルの位置づけである「ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズ」をご紹介します。ハイランドパークはスモーキーなタイプのウイスキーですが、アイラモルトのような薬品的な香りが苦手な方でも楽しめるスモーキーウイスキーです。

スタンダードボトルの12年 ヴァイキング・オナーとの違いが気になる方も多いのでは?
- ハイランドパークらしさがしっかり味わえるエントリーボトル
- ヘザーの花、ハチミツ、スモーキーが強め
- アルコール刺激があるので、ストレートよりも他の飲み方がオススメ


記事の後半では、ハイランドパークの「ハイランドパーク 12年 ヴァイキング・オナー」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズ |
原産国 | スコットランド(アイランズ:オークニー諸島) |
蒸留所 | ハイランドパーク蒸留所 |
分類 | シングルモルト |
仕込み水 | クランティットの井戸水 |
アルコール度数 | 40% |
主な熟成樽 | シェリー樽(ヨーロピアン、アメリカン) |
所有者 | エドリントン・グループ |
取扱い | 三陽物産 |
参考価格 | 約4,500~6,000円 |
概要
ヴァイキングがルーツの蒸留所
ハイランドパーク蒸留所は、スコットランド本土の北、オークニー諸島のメインランド島に位置するスコットランド最北のウイスキー蒸留所です。創業は1798年、ヴァイキングの末裔であり、「伝説の密造者」であったマグナス・ユンソンによって始まりました。



マグナス・ユンソンは教会の長老と密造者の二つの顔を持っていました。査察が入った際、教会に隠していたウイスキー樽を自宅に運び、白い布を被せて天然痘患者を装い、査察を免れたそうです。
ヘザーによるアロマティックなピート


ハイランドパークの最大の特徴は、ピート(泥炭)にあります。アイラ島のピートがヨード香や薬品香をもたらすのとは対照的に、ハイランドパークが使用するオークニー諸島のピートは、ヘザーという花が4000年以上堆積してできたもの。これにより、フローラルで甘く、芳しいスモーキーフレーバーが生まれるのです。
ヴァイキング・スカーズに込められた意味


ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズの「ヴァイキング・スカーズ」とは、直訳すると「ヴァイキングの傷跡」を意味します。化粧箱裏面に記載されている内容から、傷跡というよりも今はオークニーの一部となった、風景・文化・人々といった、祖先のヴァイキング達が残した足跡(爪痕)を意味しているようです。ヴァイキング・スカーズはオークニー人の祖先であるヴァイキング達への賛辞をこめてつくったハイランドパークなのです。
ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズのテイスティングレビュー・評価
ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズの特性レーダーチャート


ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズの特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)


香り
グラスに注ぐと、まず感じるのはフローラルなヘザーハニーの甘い香り。続いて、オレンジが感じられ、奥には土や稲わらのようなニュアンスを伴ったスモーキーさがあります。弱くではありますが、バニラも。スモーキーさは主張しすぎず、複雑で飽きのこない香りです。
味わいと余韻


口に含むと、香りで感じたヘザーハニーの華やかで甘いハチミツやバニラウエハースのような優しく甘い風味が広がります。オレンジピールのような柑橘の甘さと苦さも共存し、味わいを引き締めている印象。味覚としての甘味はそれほど強くありませんが、甘い風味は強めです。
アルコール刺激や苦味がややあり、荒さもあります。焚火のようなスモーキーさが強めですが、薬品感はないのでアイラモルトと比べるとかなり飲みやすいでしょう。



開栓直後はかなり荒々しさがありましたが、数日経つと落ち着き、ハイランドパークらしい華やかさがより楽しめるようになりました。
余韻はとても長く、僕の感覚で80秒ほど。口に含んだ瞬間から、華やかなヘザーハニー、草や土のニュアンスがあるスモーキーさが感じられます。数秒遅れてオレンジピール、その後しばらくしてからバニラを感じ取りやすくなります。オレンジピールは中盤で消え、バニラもその後感じられなくなり、ヘザーハニーは終盤に向けて徐々に消え、最後にはスモーキーさが残ります。
ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
![]() ![]() ストレート | 3 |
![]() ![]() 加水 | 5 |
![]() ![]() オン・ザ・ロックス | 5 |
![]() ![]() ハイボール | 5 |
![]() ![]() ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:


数滴の加水で、アルコール刺激と苦味は弱まり、ハチミツは強まります。飲みやすくなり、よりハイランドパークらしさを味わえるでしょう。
オン・ザ・ロックス オススメ度:


アルコール刺激がなくなり、ややビターでハチミツも強めです。ネーブルオレンジのような甘系柑橘が前面に出てフルーティーな飲み口に。バランス崩れないので、時間をかけtゆっくりと味わいの変化を楽しめます。
ハイボール オススメ度:


ヘザーハニーの風味が強く、完熟したパイナップルとベリーを足して2で割ったようなフルーティーさがあります。炭酸+フルーティーによる爽やかさとヘザーハニーによる濃厚な味わいで、飲み応えがあります。
ホットウイスキー オススメ度:


ヘザーハニー感たっぷりのホットウイスキーです。ヘザーハニーの直後に土のニュアンスのスモーキーさがきて、10秒くらいで土は消えていきます。
徐々に風味が弱まり、ドライな飲み口になっていくので、長くは楽しめませんが、この短い間に感じ取れる凝縮したハイランドパークらしさは一度お試しすることをオススメします。
ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズとハイランドパーク 12年 ヴァイキング・オナーとの比較


ハイランドパークを語るうえで欠かせないスタンダードボトル「ハイランドパーク 12年 ヴァイキング・オナー」と飲み比べをしました。
ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーとハイランドパーク 12年 ヴァイキング・オナーとの特性比較


ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズとハイランドパーク 12年 ヴァイキング・オナーとの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズ | ハイランドパーク 12年 ヴァイキング・オナー | |
---|---|---|
特性 | 個性のある香りと味わい、フレッシュさもある。 | 個性のある香りと味わい、豊かで複雑。濃厚で飲みごたえがある。 |
特徴 | 〇ヘザーハニー(華やかでまったりハチミツ)強め、バニラウエハース、オレンジピール 〇独特の華やかなスモーキーさが強い 〇ミディアムボディ | 〇ヘザーハニー(華やかでまったりハチミツ)強め、ハーブ、チョコレート、マーマレード 〇独特の華やかなスモーキーさが強い 〇フルボディ寄りのミディアムボディ |
10年と12年ともに、ハイランドパーク特有のヘザーハニーの風味を堪能できます。10年が持つ味わいは12年では全て網羅されていて、10年は12年に比べて味わいがやや薄く、その分12年では他の要素が強く目立たなかったバニラウエハースを感じやすくなっているといった印象です。
シェリー樽由来のドライフルーツ風味は12年の方が強く、ハイランドパーク最大の特徴であるアロマティックなピートスモークは、スモーキーさはほとんど変わらず、華やかさは12年の方が強いです。余韻はどちらも長く楽しめるのですが、12年の方が終始濃厚で、10年の方が薄く長く続くといった違いを感じました。
簡単にまとめると、10年はハイランドパークの中では「軽快でフレッシュなボトル」といえるでしょう。



個人的には、「ハイランドパークの味わいを知る」ということであれば、ハイランドパーク 12年をオススメします。「リーズナブルにヘザーハニーの風味を味わう」ということであれば、ハイランドパーク 10年をオススメします。
感想・まとめ:軽快でありながら、ハイランドパークの個性も楽しめる
ハイランドパークの入門ボトルとしてラインナップされている「ハイランドパーク 10年 ヴァイキング・スカーズ」を紹介しました。レギュラーボトルの12年 ヴァイキング・オナーと比較して、軽快でフレッシュな飲み口でありながら、しっかりとハイランドパーク特有のヘザーピートによるアロマティックスモーキーが堪能できるボトルです。
- スモーキーシングルモルトウイスキーに挑戦したい方
- ヘザーハニーの華やかさを、できるだけリーズナブルに味わってみたい方
- ハイランドパークファンの方



