「ベル」は近年までイギリス国内市場での売上No.1を誇ったブレンデッドウイスキーです。現在では「フェイマスグラウス」がNo.1の座に君臨していますが、どちらも個性は違えどリーズナブルながらおいしいブレンデッドウイスキーです。
今回紹介する「ベル8年」は既に流通しておらず、もし個人経営の酒屋さんなどで見つけたら買って飲んでいただきたい「オールドボトル」です。当時の小売希望価格は1000円台なので、高値でなければぜひ購入してください!
- ほのかにスモーキーでバランスが良い。
- ベル オリジナルよりも濃厚でまったりとした熟成感がある。
- 現行品ジョニ黒よりも深くまろやかな味わい。
ベル8年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ベル8年 |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | ブレアアソール、ダフタウン、インチガワー、ブラッドノックなど |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | アーサー・ベル&サンズ社(ディアジオ社) |
取扱い | 日本酒類販売株式会社 |
参考価格 | 1,300~1,600円 |
ストーリー
「ベル」の生みの親であるアーサー・ベルの信念は「何種類かの良質なモルトとグレーンをブレンドすれば、シングルモルトより多くの人々の口に合う」というもの。良質なモルトとグレーンというのは、熟成したモルト原酒とグレーン原酒のことです。当時ブレンデッドウイスキーには未熟原酒が使われていたなかで、熟成原酒をブレンドして優れたブレンデッドウイスキーの製造に成功したベルは希代の名ブレンダーと呼ばれるようになりました。
ベル一族が経営に加わっていたのは1942年までのことで、1985年にはギネスグループの傘下に、現在はディアジオ社の傘下になっています。ディアジオ社といえばスコッチウイスキーの世界売上No.1を誇る「ジョニーウォーカー」ブランドが有名です。
ベルブランドに年数表記ボトルが加わったのは1994年のこと。それが「ベル 8年」でした。当時は熟成ウイスキーが有り余っていたのですが、2008年には熟成ウイスキーが不足したために年数表記ボトルは製造中止になり、「ベル オリジナル」として再ブランド化されました。
今回紹介するベル 8年は2008年以前に製造されたボトルということになります。
ベル8年のテイスティングレビュー・評価
ベル8年の特性レーダーチャート
ベル8年の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香りからは少し甘酸っぱいリンゴを想像させるような香りと樽由来の木の香りを感じます。
口に含むとブラウンシュガーのまろやかで優しい甘味、砂糖を加熱して色がつきかけの上品なカラメル、熟したリンゴの風味が感じられます。余韻は十数秒続き、甘味とほろ苦さが後味に残ります。
ベル 8年を初めて飲んだ時は、8年ものとは思えない熟成感とバランスの良さに驚きました。
家の近所の酒屋さんで発見したのですが、価格も1500円位だったので良い買い物でした。
ベル8年の飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 5 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 3 |
ハイボール | 4 |
ホットウイスキー | 3 |
加水 オススメ度:
より華やかになり、苦味が少なくなりました。アルコール感は少なくなったのですが、やや平坦な味わいになり熟成感も下がった印象です。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
渋味が出て、ストレートでそれほど感じていなかったアルコール感が目立つようになりました。バランスが崩れて後味にえぐみを感じます。
ハイボール オススメ度:
ブラウンシュガーを強く感じ飲みやすくなりました。フルーティーさは少し感じにくくなり、ハイボールとしては十分おいしいのですが、ストレートで感じていたベル8年のおいしさが減った印象です。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2で試してみました。
甘味が少なくなり、苦味がでます。余韻が短くなり後味に酸味を感じるようになります。
ベルオリジナル、ジョニーウォーカーブラックラベル12年との比較
色に関しては、ベル 8年とベル オリジナルでほとんど違いはありません。ベル 8年とジョニーウォーカーブラックラベル(以下ジョニ黒)とではジョニ黒の方が濃い色合いです。
ベルオリジナル、ジョニーウォーカーブラックラベル12年との特性比較
ベルオリジナル・ジョニーウォーカーブラックラベルとの特徴比較
ベル8年とベル オリジナルとの特徴比較
ベル8年とジョニーウォーカーブラックラベル12年との特徴比較
この3銘柄に絞った比較表も用意しました。
ベル 8年 | ベル オリジナル | ジョニーウォーカーブラックラベル12年 | |
---|---|---|---|
特性 | 濃厚でまろやかなうえにバランスが良い | 少しクセがありながらバランスが良い | スコッチ初心者も飲みやすいトータルバランス |
特徴 | ・熟したリンゴのフルーティーさ ・ミドルボディ | ・クリーミーで弱めの柑橘感 ・ミドル寄りのライトボディ | ・フレッシュな青リンゴと弱めのスモーキーが相性良い ・ミドル寄りのライトボディ |
ベル 8年とベル オリジナルは濃厚さ、まろやかさ、熟成感に明らかな差がありました。ベル 8年の方が口に含んだ時に感じる華やかさやフルーティーさ、バニラ、はちみつの風味をかなり強く感じることができます。
ベル 8年とジョニ黒とでは、ベル 8年は熟した赤いリンゴ、ジョニ黒は爽やかな青リンゴの風味を感じました。ボディ感はベル 8年の方がありストレートでの満足感はベル 8年の方が個人的に好みです。
感想・まとめ:2,000円未満で見つけたら即ゲットしてOKなおいしさ
現在は生産されていないベルのオールドボトル「ベル 8年」を紹介しました。1990年代から2000年代前半の熟成ウイスキーが余っていた時代につくられたブレンデッドウイスキーで、8年ものとは思えないくらいまろやかで濃い味わいでした。
量販店で見つけることは難しいと思いますが、町の商店街にある個人経営の酒屋さんなどで発見した場合は金額を確かめたうえで購入検討してみてください。
個人経営の酒屋さんは値付けに関して当時の価格のままということが多いです。けっこう穴場なので、勇気を出して入店してみてください!