スーパーや酒屋さんで低価格ウイスキーの印象が強いシンプルなラベルのカナディアンクラブ。実は160年以上の歴史を誇るカナディアンウイスキーなんです。
日本で最も有名なカナディアンウイスキーといえばこのカナディアンクラブでしょう。「C.C.」の愛称で親しまれているカナディアンウイスキーのトップブランドです。
- 個性がない分ハイボールにすると食事を邪魔しない。
- すっきりとした味わいとおだやかな飲み口。
- ほのかにバニラとうすーくメロンのような風味。
カナディアンクラブの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | カナディアンクラブ |
原産国 | カナダ |
分類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ビームサントリー |
取扱い | サントリーホールディングス |
参考価格 | 1,100~1,500円 |
ストーリー
カナディアンクラブはデトロイト川河畔にあるカナダのハイラムウォーカー蒸留所でつくられています。
穀物商としてデトロイトで成功を収めたアメリカ人のハイラムウォーカーは、アメリカでいずれ禁酒法が施工されることを予見してデトロイトの対岸にあるカナダのオンタリオ州に1856年に蒸留所を建設しました。
1858年からつくられ始めたウイスキーは当時のライウイスキーやバーボン、スコッチ、アイリッシュのいずれとも異なる、なめらかで飲みやすく高品質のものでした。この新しい味わいは、アメリカ東部を中心とした紳士の社交場「ジェントルメンズクラブ」などで話題となり「クラブウイスキー」と名付けられました。
このクラブウイスキーの味わいが現在につづくカナディアンウイスキーの特性・特徴の骨格になりました。
クラブウイスキーは世界中で人気になり、最終的に開発の進んだアメリカ西部まで浸透していきアメリカでのバーボンの販売に影響を与え始めました。これに脅威を感じたアメリカのウイスキー業界は、アメリカ産とカナダ産のウイスキーを明確に区別するようにアメリカ政府に要請し1890年に法律が制定されました。これを機に「クラブウイスキー」は「カナディアンクラブ(C.C.)」に名称変更されることになりました。
1920年にはアメリカ政府は禁酒法を施行し、アメリカ国内でのアルコール製造・輸送・販売が禁止され、すぐに粗悪な密造ウイスキーが横行するようになりました。この時スコッチウイスキーやカナディアンウイスキーがアメリカへ流入するようになり、その中でも高品質なカナディアンクラブが評価を高めたのです。1933年に禁酒法が撤廃された後に不足するウイスキー市場に貢献したのもカナディアンクラブをはじめとするカナディアンウイスキーでした。
結果的に、アメリカの禁酒法によってカナディアンクラブの知名度と評価は爆上がりしました。
カナディアンクラブ(クラブウイスキー)の誕生から160年以上がたち、いまでは世界150カ国以上の人々に愛され続けています。
一般的にブレンデッドウイスキーは熟成後にモルト原酒とグレーン原酒をブレンドしますが、カナディアンクラブは蒸留直後の無色透明な原酒をブレンドした後に樽熟成を行います。これによって原酒どうしがなじむようです。
カナディアンクラブのテイスティングレビュー・評価
カナディアンクラブの特性レーダーチャート
カナディアンクラブの特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
個性や複雑さはありません。アルコール刺激が強めですが、それ以外の風味は穏やかで飲みやすく調和がとれています。
弱めのバニラと爽やかな甘味があり、ライ麦のスパイシーさを感じます。爽やかな甘味の正体を何度か飲んで探ってみましたが、なんとなく薄いメロンのようなミカンのような印象です。また、気にならない程度ですが弱めの苦味を感じます。
爽やかな甘味はすぐに消え、余韻にはスパイシーさと口内にアルコールのピリピリとした刺激が残ります。ウイスキーに慣れていない方にはストレートで飲むとアルコール刺激がかなり強いかもしれません。
全体的に風味が弱いのですが、アルコール刺激を抜けば爽やかな甘味とスパイシーさのバランスがよいライトボディのウイスキーです。価格もかなりリーズナブルですのでコスパがいいウイスキーであることは間違いありません。
個性がないのがカナディアンクラブの個性です。
カナディアンクラブの飲み方別オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 2 |
加水 | 3 |
オン・ザ・ロックス | 4 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 3 |
加水 オススメ度:
アルコール刺激がかなり減り、もともと弱めの苦味やスパイシーさもさらに感じにくくなるので飲みやすくなります。
一方で柑橘やメロンのような風味が感じやすくなり、カナディアンクラブの甘さに関する個性が感じ取れます。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
アルコール刺激がかなり抑えられ、穀物の優しい甘味が強まります。
ハイボール オススメ度:
優しい穀物の甘味とややカラメル感のある甘味が楽しめる爽やかハイボールです。炭酸のシュワシュワにのって柑橘やメロンの風味も感じます。
やはり全体的に個性はありませんが、クセがなく軽快な味わいです。
クセがなくどんな食事にもあわせられるので、食中酒としては万能選手です。
ホットウイスキー オススメ度:
まったく個性のないホットウイスキーになってしまいました。
ストレートや他の飲み方で感じていたバニラやメロン・柑橘・スパイシーさといった特徴はお湯の湯気とともに一瞬で飛んでいってしまったかのようです。
クラウンローヤルとの比較
当ブログでも初心者にオススメした「クラウンローヤル ファインデラックス」との飲み比べをしてみました。
カナディアンクラブとクラウンローヤルの特性比較
カナディアンクラブとクラウンローヤルファインデラックスの特徴比較
この2銘柄に絞った違いを表に書き出してみました。
カナディアンクラブ | クラウンローヤル ファインデラックス | |
---|---|---|
特性 | 個性はないけれどバランスのよいまとまり | 味わい豊かでストレートでもおいしく飲める |
特徴 | ・ほのかにバニラ、メロン、柑橘 ・アルコール刺激つよめ ・ライトボディ | ・バニラやカラメルの甘さと心地良い苦味の複雑な味わい ・アルコール刺激はあるけれど他の風味のほうが強い ・カナディアンウイスキーの中ではリッチな味わい |
カナディアンウイスキーはすっきりとした風味とおだやかな飲み口が特徴です。そんな中でクラウンローヤルはリッチな風味のミディアムボディですが、カナディアンクラブはカナディアンウイスキー王道のライトな味わいといえます。
感想・まとめ:個性がないのが個性、安心して飲めるリーズナブルウイスキー
元祖カナディアンウイスキーでありリーズナブル、軽快で飲みやすい「カナディアンクラブ」を紹介しました。
ストレートではアルコール刺激が結構強めなので、それ以外の飲み方をオススメします。もっともオススメなのはとてもライトでスッキリしていてどんな食事にも合わせやすいハイボールです。
1,000円台前半でどこでも売っている安定感のあるカナディアンウイスキーです。
カナディアンクラブをオススメできる方は以下のとおりです。
- 食事に合わせやすいハイボール用のウイスキーをお探しの方
- カナディアンウイスキー初挑戦でリーズナブルなウイスキーをお探しの方