スコッチのブレンデッドウイスキーとして日本でも有名な「デュワーズ」。2023年5月23日にデュワーズの限定生産「樽シリーズ」のラインアップ第4弾『デュワーズ ジャパニーズスムース8年』が数量限定で発売されました。
数量限定品は品薄になると価格高騰してしまいますので、購入検討している方は適正価格のうちにお求めになることをオススメします。
- 余韻の後半で鼻から抜ける香りにほのかに香木を感じる。
- 特徴ひかえめで穏やかなミディアム寄りのライトボディ。
- ホットウイスキーにするとジャパニーズスムースの味わいをより楽しめる。
記事の後半ではデュワーズのスタンダードボトルである「デュワーズ ホワイトラベル」、2,500円前後で購入可能な「デュワーズ 12年」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
デュワーズ ジャパニーズスムース8年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | デュワーズ ジャパニーズスムース8年 |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | アバフェルディ、オルトモア、ロイヤルブルックラ、クレイゲラキ |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ジョン・デュワー&サンズ社 |
取扱い | バカルディジャパン |
参考価格 | 2,500~2,800円 |
ストーリー
ジャパニーズスムースは日本産のミズナラ樽でカスクフィニッシュ
デュワーズ「樽シリーズ」は8年以上熟成原酒が使われた数量限定販売のスコッチブレンデッドウイスキーです。日本でも2021年5月発売の「カリビアンスムース8年」から順次、「イリーガルスムース8年」、「ポルトガルスムース8年」がすでに発売されています。「ジャパニーズスムース8年」は第4弾として2023年5月23日に発売されました。
樽シリーズのコンセプトは「スコッチウイスキーと世界の樽を融合させることで、思いがけない新しい発見を。」、キーメッセージは「吹き抜ける、世界の香り」。
樽シリーズは、熟成年数8年以上のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンド後に再び樽の中で熟成(ダブルエイジ製法)させ、さらに世界のユニークな樽(=カスク)に詰め替えて熟成を融合させるカスクフィニッシュをしています。
カスクフィニッシュとは
- 通常の樽熟成の後、種類の違う樽に詰め替えて風味を追加する手法。
- ウッドフィニッシュともいい、後熟の意味。
カスクフィニッシュの効果
- カスクフィニッシュ前の本来のニュアンス・骨格を残したまま別の樽の個性が加わり融合して複雑な風味を生み出す。
ジャパニーズスムース8年は日本産の“ミズナラ樽”でカスクフィニッシュしています。
ミズナラとは:ウイスキー業界ではジャパニーズオークとよばれている
ミズナラを漢字で書くと「水楢」、字の通り水分が多いナラの木です。水分が多いため加工が困難で乾燥中に狂いが出やすい欠点があるため、樽材としては原酒が漏れやすくなってしまい製樽には不向きとされていました。ミズナラ樽の誕生にはサントリー山崎が大きく関与しています。
1940年代の太平洋戦争~戦後にかけてウイスキー貯蔵用の樽が輸入困難になったことでサントリー(当時は寿屋)は国内で貯蔵樽を確保する必要がありました。山崎の職人たちは様々な苦労を乗り越えてミズナラ樽を完成させたのです。
良質なミズナラ樽で貯蔵熟成されたモルト原酒は、白檀(ビャクダン)や伽羅(キャラ)のような香木の独特な香味が付与されます。
ミズナラ樽といえばサントリー「山崎」や「響」の香味に欠かすことができないものです。
アメリカのウイスキー専門誌「Whisky ADVOCATE」で91点獲得
参照元:Whisky ADVOCATE「Dewar’s Master Blender Stephanie Macleod on Working With Mizunara」
デュワーズ ジャパニーズスムース8年はアメリカのウイスキー専門誌「Whisky ADVOCATE」で91点という高得点を獲得しています。Whisky ADVOCATEのウェブサイトではジャパニーズスムース8年の記事もありました。興味のある方はリンクを貼っておきますので読んでみて下さい。(もちろん英文ですがGoogle翻訳で簡単に読めますよ)
ちなみに同じ樽シリーズのカリビアンスムースは90点、ポルトガルスムースは89点、今後発売されるであろうフレンチスムースは89点、イリーガルスムースは87点でした。Whisky ADVOCATEでは樽シリーズの中でジャパニーズスムースが最高得点ですね。
デュワーズ ジャパニーズスムース8年のテイスティングレビュー・評価
デュワーズ ジャパニーズスムース8年の特性レーダーチャート
デュワーズ ジャパニーズスムース8年の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り立ちは弱く、アルコール臭と若干の金属臭のようなにおい、リンゴとおとなしめのはちみつが感じられます。
口に含むと香りで感じたほどのリンゴは味わいにはなく、うすーくメロンとデュワーズの特徴である華やかさ、はちみつ感が、そしてアルコール刺激は強めです。
余韻は20秒ほど続き、アルコール刺激が抜けていく5~10秒あたりで鼻から抜けていく香りに上品な香木、シナモンが感じ取れました。ミズナラ樽の香味は余韻で穏やかに感じられるようです。伽羅の風味を期待している方には物足りないかもしれません。
開栓直後でまだアルコール刺激が強いので、しばらく経ってからの方がまろやかで飲みやすくなっているかもしれません。時間が経ってからまた味わってみて記事を更新する予定です。
デュワーズ ジャパニーズスムース8年の飲み方別 オススメ度(5段階)
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 3 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 4 |
ハイボール | 4 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
数滴の加水でアルコール刺激が和らぎ、のみくちがスムーズになります。甘味も柔らかくなり、香木の風味を感じやすくなりました。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
甘さは抑えられますが、香木の風味は感じられます。氷の溶けが進むと苦味が出て味わいも一気に薄まりました。薄まりすぎる前に飲むとおいしいです。
ハイボール オススメ度:
かすかにりんご、はちみつ、香木が感じられ、後味に残らず爽快に飲むことができます。
食事を邪魔しないハイボール。
ホットウイスキー オススメ度:
優しく柔らかいのみくちで、うすいリンゴとメロンが一体になった味わいです。香木の風味も楽しむことができ、ジャパニーズスムース8年の特徴を最も感じることができた飲み方です。
デュワーズ ホワイトラベル、12年との比較
同ブランドのデュワーズホワイトラベル、デュワーズ12年と比較してみました。色はホワイトラベル<ジャパニーズスムース8年<12年で濃い色あいです。
デュワーズ ジャパニーズスムース8年とデュワーズ ホワイトラベル、デュワーズ 12年との特性比較
デュワーズ ジャパニーズスムース8年とデュワーズ ホワイトラベル、デュワーズ 12年との特徴比較
この3銘柄に絞った違いを表に書き出してみました。
デュワーズ ジャパニーズスムース8年 | ホワイトラベル | 12年 | |
---|---|---|---|
特性 | バランスの取れた飲みやすさ、個性は控えめ | 個性・特徴が少なくカクテルベース向き | 深く濃い香り・味わいで熟成感がある |
特徴 | ・ホワイトラベルの風味を少し濃くし、余韻に香木の風味 ・ミディアム寄りのライトボディ | ・華やかさとはちみつの甘味がある ・ライトボディ | ・木樽の風味と熟したフルーツやレーズンの甘味を感じる ・ライト寄りのミディアムボディ |
ジャパニーズスムースはデュワーズの特徴である華やかさとはちみつ感をベースに、余韻にミズナラ樽由来の香木の風味を穏やかに楽しめます。余韻までの味わいや熟成感はホワイトラベルと12年のちょうど中間程度に感じました。
感想・まとめ:手軽にミズナラカスクフィニッシュが楽しめる(ただし弱め)
デュワーズの樽シリーズ第4弾「デュワーズ ジャパニーズスムース8年」を紹介しました。ミズナラ樽の特徴といわれる香木の風味は余韻で少し感じることができました。ほぼ同価格のデュワーズ 12年の味わいと単純に比較すると、個人的に常備するならデュワーズ 12年を選ぶでしょう。しかし「カスクフィニッシュ」を手軽に楽しめるボトルとしてはコスパがいいのではないでしょうか。
ストレートで飲むよりも、加水など他の飲み方の方がミズナラ樽の風味を感じやすかったです。なかでも最もオススメしたいのはホットウイスキー。デュワーズ ジャパニーズスムース8年をお持ちの方はぜひホットウイスキーもお試しください。
- リーズナブルにカスクフィニッシュのウイスキーを飲んでみたい方
- 普段の宅飲みでデュワーズを愛飲している方
- 少しでもミズナラ樽熟成の風味を感じてみたい方。