デュワーズは世界的な販売量を誇り、アメリカでは人気No.1のスコッチウイスキーです。そんなデュワーズから2021年5月に「デュワーズ カリビアンスムース 8年」が数量限定で発売されました。
デュワーズ「樽シリーズ」のラインアップ第一弾にあたるのが今回紹介する「カリビアンスムース8年」です。
- 黒糖のような甘味とトロピカルフルーツ感。
- ミディアム寄りのライトボディ。
- なめらかでストレートも飲みやすく、ハイボールが最もオススメ。
デュワーズ カリビアンスムース8年は数量限定発売のため一度は生産終了しましたが、2023年11月21日に再販されています。もし店舗などで2,000~3,000円で見つけたなら購入をオススメしますが、それ以上の価格であれば購入は要注意です。
デュワーズ カリビアンスムース8年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | デュワーズ カリビアンスムース8年 |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | アバフェルディ、オルトモア、ロイヤルブルックラ、クレイゲラキ |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ジョン・デュワー&サンズ社 |
取扱い | バカルディジャパン |
参考価格 | 2,400~3,500円 |
ストーリー
デュワーズは創業者ジョン・デュワーの2人の息子:兄ジョン・アレクサンダー・デュワーと弟トーマス・デュワー(通称:トミー・デュワー)の代で世界的なウイスキーブランドに成長を遂げました。特に販売部門を受け持ったトミーが世界に目を向けた市場開拓が功を奏しました。
トミーはデュワーズの販路を広げるために1892年に世界各地へ周遊の旅に出ています。この旅を通してトミーは世界各国の文化と出会い、新たな発見や発想を得ていきます。
トミーの世界観を表現することをコンセプトに開発されたのが「樽シリーズ」です。「吹き抜ける、世界の香り」がキーメッセージになっています。
樽シリーズは、熟成年数8年以上のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンド後に再び樽の中で熟成(ダブルエイジ製法)させ、さらに世界のユニークな樽(=カスク)に詰め替えて熟成を融合させるカスクフィニッシュをしています。
カスクフィニッシュとは
- 通常の樽熟成の後、種類の違う樽に詰め替えて風味を追加する手法。
- ウッドフィニッシュともいい、後熟の意味。
カスクフィニッシュの効果
- カスクフィニッシュ前の本来のニュアンス・骨格を残したまま別の樽の個性が加わり融合して複雑な風味を生み出す。
デュワーズの樽シリーズは日本で未発売のものも入れて全5種あります。
- 第1弾 カリビアンスムース:ラム樽でカスクフィニッシュ(2021年5月発売)
- 第2弾 イリーガルスムース:メスカル樽でカスクフィニッシュ(2022年5月発売)
- 第3弾 ポルトガルスムース:ポートワイン樽でカスクフィニッシュ(2022年11月発売)
- 第4段 ジャパニーズスムース:ミズナラ樽でカスクフィニッシュ(2023年5月発売)
- 日本未発売 フレンチスムース:カルヴァドス樽でカスクフィニッシュ
今回紹介する第1弾のカリビアンスムースは“ラム樽”でカスクフィニッシュしています。
ラムとは4大スピリッツの1つであり、発祥地はカリブの島バルバドスといわれていますが今では世界中の様々な地域でつくられています。原材料はサトウキビで、世界のラムの8割はサトウキビから砂糖をつくる時に取り除く「糖蜜」を原料としています。糖蜜をアルコール発酵させ、連続式蒸留機で蒸留し高濃度のラム原酒が得られます。ボトル詰めの際には加水してウイスキーと同様に40~50%のアルコール濃度にして充填されます。
樽熟成させない無色透明のラムは「ホワイトラム」、樽で3年未満熟成したラムは「ゴールドラム」、樽で3年以上熟成したラムは「ダークラム」と呼ばれます。ラムは原材料サトウキビ由来の砂糖を焦がしたカラメルのような甘くほろ苦い風味が特徴です。
デュワーズ カリビアンスムース8年はカリブのラム(ゴールドorダーク)を熟成させた樽が使われていることになりますね。
デュワーズ カリビアンスムース8年のテイスティングレビュー・評価
デュワーズ カリビアンスムース8年の特性レーダーチャート
デュワーズ カリビアンスムース8年の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価)オススメ度:
香り立ちはそれほど強くはありませんが甘い香りとフルーティーさが感じ取れます。金属臭も少し感じられます。
口に含むとまず黒糖系の甘味と風味の後に熟したパイナップルのようなトロピカルフルーツの甘味を感じます。後味にはラム特有のコクのある甘味と弱めですがトロピカルフルーツが残ります。
きちんとデュワーズのスコッチウイスキーとしての骨格:華やかさとはちみつ感の上にラムの風味が加わった印象です。余韻はそれほど長くはなく、さわやかさがあり嫌な風味は残りません。
香りで感じた金属臭は口に含むとそれほど気にならなくなりました。そして開栓直後よりもボトル半分位になってからの方がまろやかになりました。
追記(開栓約1年後)
開栓後1年以上経ち、再販された(2023年11月21日)ので久しぶりに飲んでみました。(ボトルの残量は200mlくらい)開栓直後品との比較ではなくこの記事を書いたころの記録との比較になります。
香りには金属臭はまったく感じられなくなりフルーティーさも弱く、一方で黒糖の香りが目立ちます。味わいではトロピカルフルーツ感は弱まり、ラム特有の黒糖系のコクのある甘味が増して全体的にまろやかになったように感じました。余韻もまったりとした黒糖です。鼻から抜ける香りも黒糖で、開栓直後よりもラムの特徴が強まっています。
デュワーズ カリビアンスムース8年の飲み方別 オススメ度(5段階)
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 2 |
オン・ザ・ロックス | 4 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 2 |
加水 オススメ度:
数滴の加水でかなり薄まってしまう印象です。香りや味わいは少しぼやけてしまい、少しゴムのにおいを感じるようになりました。
このゴム臭はラム独特のものですが、ラム酒を飲み慣れていない方には苦手な方も多いでしょう。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
苦味がでますが、黒糖の甘味との相性が良いです。トロピカルフルーツ感は少なくなりますが全体的なバランスが良いので飲みやすいです。
ハイボール オススメ度:
酸味が少し強まりさらにトロピカルフルーツ感が増します。黒糖の甘味も感じることができ、ラム樽熟成の味わいを最も楽しめる飲み方です。
ホットウイスキー
オススメ度:
トロピカルフルーツが感じられなくなり、苦味が出て飲みにくくなります。
他の飲み方では感じれれたカリビアンスムースの特徴がなくなってしまいました。
デュワーズ ホワイトラベル、12年との比較
同ブランドのデュワーズホワイトラベル、デュワーズ12年と比較してみました。
デュワーズ カリビアンスムース8年とデュワーズ ホワイトラベル、デュワーズ 12年との特性比較
デュワーズ カリビアンスムース8年とデュワーズ ホワイトラベル、デュワーズ 12年との特徴比較
この3銘柄に絞った違いを表に書き出してみました。
デュワーズ カリビアンスムース8年 | デュワーズ ホワイトラベル | デュワーズ 12年 | |
---|---|---|---|
特性 | 程よい熟成感とラムの個性 | 個性・特徴が少なくカクテルベース向き | 深く濃い香り・味わいで熟成感がある |
特徴 | ・黒糖系の甘味とトロピカルフルーツの風味 ・ミディアム寄りのライトボディ | ・華やかさとはちみつの甘味がある ・ライトボディ | ・木樽の風味と熟したフルーツやレーズンの甘味を感じる ・ライト寄りのミディアムボディ |
デュワーズのベースとしてホワイトラベルの味わいや風味が共通しています。ホワイトラベルをベースにカリビアンスムース8年や12年がつくり上げられている印象です。
酒質はホワイトラベル<カリビアンスムース8年<12年の順でボディがあり、熟成感や香り・味わいの濃さも同様です。12年の価格は2,300~2,600円で安定的ですので、カリビアンスムース8年が12年以上の価格に値上がりしている場合はコスパが悪いと考えた方がいいでしょう。
感想・まとめ:2,000円台で見つけたら即ゲット!カスクフィニッシュの入門に最適
デュワーズの樽シリーズ第一弾「デュワーズ カリビアンスムース8年」を紹介しました。デュワーズの骨格を感じつつ、ラム樽によるカスクフィニッシュで黒糖系の甘味とトロピカルフルーツの風味がうまく融合していました。まろやかさもあるのでストレートでもおいしく楽しめます。
普段ラムを飲まれている方にとってはラム風味は物足りなく感じるでしょうが、普段ウイスキーを飲まれる方でラムも飲んでみたい方にはオススメです。
デュワーズ カリビアンスムース8年は数量限定発売のためネット上では既にプレミア価格になっていることが多いです。もし店舗などで2,000円台で見つけたなら購入をオススメします。
- カスクフィニッシュのウイスキーを飲んでみたい方
- 普段の宅飲みでデュワーズを愛飲している方
- ウイスキーが好きだけど、ラムも気になっている方