今回はECサイト(ネット通販)ではほとんどお目にかかれない個性的ブレンデッドウイスキーを紹介します。その名も『フォーピーツセイク』。酒のやまやさんでひっそりと販売されているスコッチブレンデッドウイスキーです。
酒のやまやさんであまり目立たず棚に並んでいるフォーピーツセイクですが、アイラモルト好きな方であればオススメしたい一本です。
- 土や草、少し潮が香るスモーキーブレンデッドウイスキー。
- ウイスキーが高騰している中で2,500円ほどで購入できてコスパ良し。
- ブレンデッドウイスキーの中では強めのスモーキータイプ。
記事の後半では僕の常飲ブレンデッドウイスキー「ティーチャーズ ハイランドクリーム」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
フォーピーツセイクの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | フォーピーツセイク |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | ? |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | アンガスダンディー社 |
取扱い | コルドンヴェール株式会社 |
参考価格 | 2,700~2,950円 |
ストーリー
フォーピーツセイクはアンガスダンディー社(ロンドン)によって製造されているスコッチブレンデッドウイスキーです。アンガスダンディー社はブレンダー、ボトラーズとして半世紀以上の歴史を持ち、現在はスコットランドのグレンカダム蒸留所(ハイランド)、トミントール蒸留所(スペイサイド)の2つの蒸留所を所有しています。
ボトラーズとは、蒸留所やその所有企業からウイスキーを樽などで買い付け、独自に熟成させて瓶詰を行い、ラベルを張って販売する業者のことです。
フォーピーツセイクにグレンカダム蒸留所とトミントール蒸留所の原酒がブレンドされているかどうかは不明。ボトルの裏ラベルには次の画像にある文章が記載されています。
【内容】ある日、ピートという名前のモルトマン(麦芽をつくる製麦担当者)がキルン(麦芽乾燥棟)に大量のピート(燃料の泥炭)をくべてしまった。パゴダから煙が立ち上る中、蒸留所長が「なんてこった、何をしたんだ!?煙だらけじゃないか!」と叫んだ。驚いたことに、このスモーキーでピーティーな麦芽で製造したウイスキーは強烈な風味と格別な後味がした。このスコッチブレンデッドウイスキーはモルトマンのピートと豊かなスモーキー&ピーティーウイスキーに敬意を表して「フォーピーツセイク」と名付けられた。
ラベルに書いてある“FOR PEAT’S SAKE”は、“FOR PETE’S SAKE”=「なんてことだ・まったくもう」の表現をPEATに置き換えたみたいです。
裏ラベルに書かれているストーリーからの情報では、偶然から生み出されたウイスキーということですね。
フォーピーツセイクのテイスティングレビュー・評価
フォーピーツセイクの特性レーダーチャート
フォーピーツセイクの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
グラスに鼻を近づけるとバニラやカラメルの甘い香りと同時に正露丸のような薬品臭とスモーキーさが感じ取れます。
口に含んでみると香りで強く感じていたバニラやカラメルの甘味は少し弱まり、初めからアルコールのピリピリした刺激と苦味を感じ、追って渋味がやってきます。土や草木の風味が強く、弱めの八角やミントのような甘く清涼感のあるスパイシーさ、アイラモルトのようなスモーキーさと薬品感が楽しめるブレンデッドウイスキーです。ミディアム~フルボディの酒質で飲みごたえあり。鼻から抜けていく香りにレモンのような柑橘も少し感じます。
余韻は40秒以上楽しむことができ、10秒ほどでバニラを感じやすく、25秒ほどで甘味が抜けていき苦味を感じやすく、30秒ほどでライトになっていきます。スモーキーさとピート由来の薬品ぽさは最後まで感じることができ、「スモーキー特化型ブレンデッドウイスキー」という表現がしっくり。
アルコール刺激は感じますが、甘いスパイシーさとスモーキー、ボディ感があるためストレートでも飲みやすい。強めのスモーキーウイスキーに挑戦するには良い入門ウイスキーかも。
フォーピーツセイクの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 4 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
甘味が少し強まり、一方で土・草木や薬品ぽさ、アルコール刺激は弱まり飲みやすくなります。苦味は口腔内に残ります。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
苦味は強まりますが粘性をともなう甘味が強まります。少し華やかでエステリー(強すぎると接着剤臭)になり、スモーキーさと独特の薬品感を楽しむことができます。
ハイボール オススメ度:
スモーキーさがもっとも強調される飲み方。甘味や苦味、渋味、薬品感は抑えられ、清涼感がアップすることで、スモーキー強めながらスッキリした飲み心地のハイボールが楽しめます。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2でホットウイスキーをテイスティングしました。
甘さが引き立ち、苦味や薬品感は落ち着きます。それでいてスモーキーさは強いので、ハイボールとはまた違うおいしさが楽しめます。
キャンプで焚き火しながらの「フォーピーツセイクホットウイスキー」はマッチしそう。
フォーピーツセイクとティーチャーズ ハイランドクリームとの比較
スモーキーなスコッチブレンデッドウイスキーで僕の常飲酒である「ティーチャーズ ハイランドクリーム」と比較してみました。色合いはほとんど差がありませんが、フォーピーツセイクの方がほんのわずか濃いです。
フォーピーツセイクとティーチャーズ ハイランドクリームの特性比較
フォーピーツセイクとティーチャーズ ハイランドクリームの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
フォーピーツセイク | ティーチャーズ ハイランドクリーム | |
---|---|---|
特性 | ブレンデッドウイスキーとしては個性がかなり強め | まとまりがある中で個性もしっかり感じられる |
特徴 | ・清涼感のあるスパイシーさ、薬品感をともなうスモーキー ・余韻が長く、ずっとスモーキー | ・青リンゴとスモーキーさ ・余韻は短く、後味にアルコール辛さ |
ハイボール | 甘味は抑えめでスモーキー強めのスッキリハイボール | スモーキーさとリンゴの風味が強くキレがある |
フォーピーツセイクの方がより個性的で香り・味わいが濃く感じられました。特徴比較グラフでは甘味で同点ですが、ほんのわずかティーチャーズの方が甘味が強く感じました。ただ甘味の質はフォーピーツセイクは重く、ティーチャーズは軽め。焚き火のようなスモーキーが特徴のティーチャーズに対し、フォーピーツセイクはアイラモルトに近い薬品感をともなうスモーキーさです(潮っぽさは弱め)。
ハイボール比較では、ティーチャーズハイボールはフルーティー&焚き火スモーキーであるのに対し、フォーピーツセイクはスモーキーに特化していました。
比較はしていますがどちらもおいしいんです!スモーキーハイボール好きには絶対試してほしいウイスキーです。
感想・まとめ:どの飲み方でも満足度高め(スモーキー好きなら)でリーズナブル
当サイトで以前レビューした「フィンラガン オリジナルピーティー」は記事作成時には2,500円ほどで懐にやさしいコスパ最高シングルモルトでしたが、最近の値上がりの波で高騰しています(2023年7月時点でAmazonでは約4,000円、楽天市場では約3,000円プラス送料)。他のアイラモルトについても高騰しているのでそれらと比べるとフィンラガンはまだリーズナブルではありますが…。今回紹介した「フォーピーツセイク」は酒のやまやさんで2,500円ほどで購入可能です。
ご自宅から酒のやまやさんが近く、買いに行きやすい方にはオススメします!
- スコッチのアイラモルトの風味が好きで、コスパの良いウイスキーをお探しの方
- スモーキーなハイボール・ホットウイスキーに合うウイスキーをお探しの方
- ティーチャーズ ハイランドクリームの次に飲むべきスモーキーブレンデッドをお探しの方
- アイラのスモーキーなウイスキーが苦手な方