世界一の販売数を誇るアメリカンウイスキー「ジャックダニエル」。スタンダードボトルのジャックダニエル ブラックはコンビニでも購入できるほど、どこでも見かけるウイスキーです。今回紹介する「ジェントルマンジャック」はジャックダニエル ブラックよりもさらに手間をかけてつくられています。
ボトルの形状は、無駄肉のない鍛えられた体にスーツを着こなしているようなジェントルマンがイメージできます。(肩幅広くないですか?)
- メープルシロップとカラメルの風味強め。
- マイルドでアルコール刺激は少ない。
- 複雑さはなく飲みやすい。
記事の後半では「ジャックダニエル ブラック」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
ジェントルマンジャックの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ジェントルマンジャック |
原産国 | アメリカ(テネシー州) |
分類 | テネシーウイスキー |
仕込み水 | ケーヴ・スプリングの洞窟の水 |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ブラウン・フォーマン社 |
取扱い | アサヒビール |
参考価格 | 3,000~3,600円 |
ストーリー
ジャックダニエル蒸留所でつくられていてレアなテネシーウイスキーとして知られるジェントルマンジャック。
テネシーウイスキーとは、バーボンウイスキーと同様に原料の51%以上がトウモロコシ、内側を焦がしたオークの新樽でアルコール濃度62.5%以下で樽詰めして熟成させたものです。テネシーウイスキーはテネシー州でつくられ、蒸留直後のニューポッドをサトウカエデの炭で時間をかけてろ過し貯蔵するチャコールメローイング製法を行う必要があります。
チャコールメローイング製法については「ジャックダニエル ブラック」の記事でもう少し詳しく説明していますので気になる方はこちらの記事もご覧ください。
ジャックダニエル ブラックとジェントルマンジャックの工程の違いを簡単にまとめたのが上図です。ジェントルマンジャックは、ジャックダニエル ブラックと同様に蒸留直後にチャコールメローイング製法が行なわれ、内側を焦がしたアメリカンホワイトオークの樽で完全に熟成させます。ジェントルマンジャックはその後に再度のチャコールメローイング製法を行い、これによってさらに雑味が取り除かれてマイルドな飲み口に仕上がります。
ジェントルマンジャックのテイスティングレビュー・評価
ジェントルマンジャックの特性レーダーチャート
ジェントルマンジャックの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
グラスに鼻を近づけると、メープルシロップの甘い香りと清涼感のあるハーブ、熟したバナナ、酸臭をともなう木材が感じ取れます。エステリーさ(華やかな甘い香りで、強すぎると接着剤臭)はきちんと感じ取れますが強すぎることはありません。
口に含んでみると、バニラとメープルシロップ、カラメルの甘さ(特徴グラフでははちみつ項目をメープルシロップとして「5」にしてます)、その後に弱めのメロンが爽やかさを与えてくれます。香りで感じていたほどのハーブやバナナ感はなく、飲み口はマイルドで口に含んだ直後はアルコールの刺激をほとんど感じませんが数秒後にはピリピリが舌を刺激。味わいにそれほど複雑さはないため、マイルドさは熟成によるものという印象ではなく、やはりテネシーウイスキーの代名詞チャコールメローイングによる炭ろ過を2回経ている影響かと想像できます。
余韻はそれほど長くはなく、上述した味わいがサーっと消えていきます。
それほど複雑さはありませんが、ストレートでもマイルドで飲みやすいのでテネシーウイスキー初挑戦の方にはオススメです。個人的にははちみつのようなコクのある甘さというより、さらっとしたメープルシロップを強く感じました。
ジェントルマンジャックの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 5 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 3 |
ハイボール | 4 |
ホットウイスキー | 4 |
加水 オススメ度:
数滴の加水でよりマイルドになり、ライトな甘さがアップ。バランスは崩れず、少しフルーティーさも出て飲みやすくなります。ボディはライトに寄るので、少し物足りなさも。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
ドライで辛口、苦味も出て甘さがなくなります。接着剤のにおいが引き立ち、メロンのようなフルーティーさは感じられるものの、水っぽい飲み口になってしまいます。
ハイボール オススメ度:
他の飲み方よりもメープルシロップを最も強く感じる飲み方。個性は弱く、飲みごたえもあまりないですが、その分食事には合わせやすいかもしれません。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2でテイスティングしてみました。
まろやかで飲みやすくなりましたが、苦味とえぐみが少し現れました。
ジェントルマンジャックとジャックダニエル ブラックとの比較
ジャックダニエルのレギュラーボトルである「ジャックダニエル ブラック」と比較しました。ジェントルマンジャックは平べったく特徴的なボトルが個性的でカッコいい反面、横幅があって場所をとります。
ジェントルマンジャックとジャックダニエル ブラックとの特性比較
ジェントルマンジャックとジャックダニエル ブラックとの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
ジェントルマンジャック | ジャックダニエル ブラック | |
---|---|---|
特性 | 複雑さはなく飲みやすい | 複雑さはないが個性は強い |
特徴 | ○メープルシロップやカラメルが強い ○接着剤のにおいはやや抑えめ ○ミディアム寄りのライトボディ | ○華やかでメープルシロップを強く感じる ○接着剤のにおい強い ○ミディアム寄りのライトボディ |
ジェントルマンジャックの方がジャックダニエル ブラックよりもメープルシロップやカラメル、木材の風味が少し強く、ジャックダニエル ブラックの方が酸臭を強く感じました。味わいの要素はこれら2銘柄でほとんど差はなく、どちらも複雑さはありません。ジャックダニエル ブラックの飲み口をきれいに仕上げたのがジェントルマンジャックという印象です。
ジャックダニエル ブラックを飲み慣れていると、ジェントルマンジャックはマイルドであると同時に少し水っぽく感じる方もいるかもしれません。
感想・まとめ:ジャックダニエル ブラックをもう少し個性抑えめで飲みたい方にオススメ
アメリカンウイスキーとして世界一の販売量を誇るジャックダニエルから、レアボトル「ジェントルマンジャック」を紹介しました。サトウカエデの炭で一滴一滴ろ過するチャコールメローイング製法を2回施すことで、ジャックダニエルブラックよりもなめらかでキレイな飲み口に。熟成感が増したような印象はなく、味わいの要素はほとんど同じに感じました。
- ジャックダニエル ブラックを飲み慣れていて、まだジェントルマンジャックを飲まれていない方
- ジャックダニエル ブラックよりも接着剤臭抑えめでマイルドな酒質が好みの方
- バーボンが苦手な方はテネシーウイスキーも苦手でしょう
- 接着剤臭が苦手な方