ウイスキーボトルの肩に貼ってある3匹のサルのエンブレムが目を引く「モンキーショルダー」。名前も直訳で「サルの肩」と印象的。ウイスキーとは関係ない名前のように思ってしまいますが、実はかつてのウイスキー製造工程の力仕事に関係した単語なんです。
公式サイトによると、モンキーショルダーは“100% MADE FOR MIXING=カクテルに最適なウイスキーとしてつくられた”ようです。実際に飲んでみるとストレートでも飲みやくバランスのよいウイスキーです。
モンキーショルダー オリジナルはAmazonセールでよくセール対象品になっているので、購入検討している方はその時が狙い目ですね。
- バランスが良くとても飲みやすいブレンデッドモルトウイスキー。
- 柑橘感とクリーミーさが心地良い飲み口。
- モルトウイスキー初心者や女性向けという商品コンセプト。
記事の後半ではモンキーショルダーの主要モルトの代表としてグレンフィディック12年とザ・バルヴェニー12年との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
モンキーショルダー の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | モンキーショルダー オリジナル |
原産国 | スコットランド(スぺサイド) |
分類 | ブレンデッドモルト |
主要モルト | グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィ |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ウィリアム・グラント&サンズ社 |
取扱い | 三洋物産株式会社 |
参考価格 | 約3,000~3,800円 |
ストーリー
スコッチウイスキーではシングルモルトウイスキーやブレンデッドウイスキーが主流ですが、「モンキーショルダー」はブレンデッドモルトウイスキーという区分になります。シングルモルトウイスキーは単一蒸留所のモルトウイスキーが使われ、ブレンデッドウイスキーは数種類から数十種類のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたもの、ブレンデッドモルトウイスキーはグレーンウイスキーを使わずに複数蒸留所のモルトウイスキーのみをブレンドしたものです。
モンキーショルダーのブレンドには、ウィリアム・グラント&サンズ社が所有するグレンフィディック蒸留所、バルヴェニー蒸留所、キニンヴィ蒸留所の3つのモルト原酒が使われています。
キニンヴィ蒸留所ではノンピート麦芽のみでモルトウイスキーをつくっていますが、そのほぼすべてがブレンド用の原酒。シングルモルトが出回ることはほとんどありません。
「モンキーショルダー」という名前の由来は、かつてのモルトマン(麦芽を撹拌する作業員)がわずらっていた職業病「Monkey Shoulder =猿の肩」からきています。
現代のような機械化がまだされていなかった時代、フロアモルティング(麦芽を床に広げて発芽を均一にするため撹拌する工程)は人手によってシャベルで行われていました。水分を含んだ麦芽大麦は重く、さらにこの作業が4時間おきくらいで1日に6回も行われるという重労働のため、モルトマンたちは腰はもちろん、肩から腕にかけての痛みをわずらっていたようです。この肩から腕にかけての痛みを「Monkey Shoulder」と呼んだのです。
麦芽製造はウイスキーにおいて重要な工程であるため、モルトマンたちへの尊敬の念を込めて「モンキーショルダー」という名がつけられました。
モンキーショルダーはブレンデッドモルトウイスキーの先駆けと言われています。
モンキーショルダー オリジナルのテイスティングレビュー・評価
モンキーショルダー オリジナルの特性レーダーチャート
モンキーショルダー オリジナルの特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
グラスに鼻を近づけると、刺激は少なくライトで優しく甘い香りを感じます。薄っすらとオレンジ、バニラの印象。
口に含んでみると、穀物の優しい甘さと華やかな花の要素が感じられ、柑橘感としてオレンジ以外にグレープフルーツやライムといった苦味を有する柑橘も感じます。バニラやはちみつのコクのある甘味要素もあり、「はちみつをかけたグレープフルーツ」のイメージが脳内に浮かびました。クリーミーさがあることでまろやかな飲みやすさに。
酒質はミディアムボディよりのライトボディで、ピンクペッパーのようなスパイシーさも感じられます。アルコール刺激は少し感じますが、十分ストレートでも楽しめるレベル。
余韻は30秒程度、飲んですぐに強めの甘味と苦味を感じます。5秒前後で華やかさと柑橘とバニラがピークを迎え、徐々に風味が弱まり、15~20秒後には少しの苦味とバニラが残り、最後はバニラといった具合。
香り・味わいともにそこまで強くはないですが、非常にバランスが良く飲みやすいです。ウイスキーに飲み慣れていない初心者や女性の方でも楽しめるでしょう。
ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッドの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 5 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 3 |
加水 オススメ度:
少しエステリーさ(華やかだが強すぎると接着剤のよう)がでました。ふつうは柔らかい飲み口になるところ、舌への刺激が少し強まったように感じました。
バランスは崩れずに飲みやすさは変わらず。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
柑橘とリンゴのようなフルーティーさが強まり、苦味は弱まります。ストレートよりもクリーミーさはなくなりますが、後味に穀物系の優しい甘味を楽しむことができオススメです。
ハイボール オススメ度:
クリーミーさと柑橘感、華やかな花の風味が炭酸のシュワシュワにのって口の中からのどにかけて広がります。炭酸との相性がかなり良いと感じました。とてもバランス良いハイボールです。
ホットウイスキー オススメ度:
柑橘感がレモンのような風味に変わり、はちみつレモンを感じました。ウイスキー:お湯=1:2で濃いめにつくりましたが、味わいがけっこう薄まる印象です。
モンキーショルダー オリジナルとグレンフィディック12年、ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッドとの比較
モンキーショルダーのブレンドに使われているモルト原酒を代表して、グレンフィディック 12年とザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッドとの比較をしてみました。モンキーショルダーの色合いはやや濃い目で、ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッドに近いです。
モンキーショルダー オリジナルとグレンフィディック12年、ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッドの特性比較
モンキーショルダー オリジナルとグレンフィディック12年、ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッドの特徴比較
これら3銘柄の比較表を用意しました。
モンキーショルダー オリジナル | グレンフィディック 12年 | ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッド | |
---|---|---|---|
特性 | 他のシングルモルトほど深みはないが、まとまりがあってバランス良し | 香り・味わいともにバランスが良くそれぞれの要素が際立っている | 香り・味わいともに豊か、とても穏やかでふくよかなまとまり |
特徴 | ・柑橘系のフルーティーさとクリーミーさ ・ミディアム寄りのライトボディ | ・フレッシュな洋ナシのフルーティさが強い ・爽やかで飲みやすいミディアム寄りのライトボディ | ・濃厚で華やかな花、はちみつの風味が強い ・フルボディ寄りのミディアムボディ |
モンキーショルダーは年数表記のないノンエイジタイプなのでどれくらいの熟成年数原酒が使われているかはわかりませんが、グレンフィディック 12年やザ・バルヴェニー 12年と比べると味わいに深みがないように感じました。ただ、これら3本中でもっともクセがなく万人受けしそうなのがモンキーショルダー オリジナルといえるでしょう。
価格を考えると微妙な部分も。モンキーショルダー オリジナルは2023年9月現在の参考価格(Amazon)で3,649円、グレンフィディック 12年は4,375円で約700円の価格差。好みにもよりますが、普段シングルモルトを飲まれている方にとって、モンキーショルダーは飲みごたえがないと感じる方もいると思いますので、この価格差をどうとらえるか。
Amazonなどのセールで3,000円位になっていればコスパ良しで購入検討してもいいですね。
感想・まとめ:初心者や女性のための飲みやすいモルトウイスキー
3匹のサルのエンブレムがかわいい「モンキーショルダー オリジナル」を紹介しました。クセが少なく優しい柑橘感とクリーミーさが特徴のブレンデッドモルトウイスキーで、ストレートでも飲みやすく、ハイボールにすることでさらにおいしさが際立ちます。
同価格帯にシングルモルトウイスキーの10年・12年ものがあるので、普段シングルモルトウイスキーを飲まれている方にとってはコスパ的に微妙かもしれません。しかしこれからシングルモルトウイスキーに挑戦したい初心者、クセのあるウイスキーが苦手な方にとっては良い選択肢でしょう。
グレンフィディックやバルヴェニーが原酒としてブレンドされているブレンデッドウイスキーに「グランツ トリプルウッド」シリーズがあります。それらと比べるとモルトの味わいが濃く味わえるので、グランツ トリプルウッドに飲み慣れている方にとっては飲みごたえがあるはず。
冒頭にも記しましたが、Amazonセールでよくセール対象品になっていることが多いウイスキーです。購入検討の方はぜひお得に買い物してください。
- クセが少なくて飲みやすいモルトウイスキーをお探しの方
- シングルモルトに不慣れな初心者
- 普段はブレンデッドウイスキーのグランツを好んで飲まれていて、もう一段階味わい深いウイスキーが飲んでみたい方
- 個性が強めのウイスキーを好んで飲まれている方
おまけ:モンキーショルダーの肩のエンブレムをはがそう!
モンキーショルダーのエンブレムってちょっとカッコよくないですか?このエンブレム、結構簡単にはがせるんです。エンブレムが気になっていた方は、飲み終えた空瓶を捨ててしまう前に試してみて下さい。
- モンキーショルダーの空瓶
- ドライヤー
- マイナスドライバー(精密ドライバーのような細いものが◎)
ドライヤーの温風をエンブレムに直接当てて熱しましょう。この時エンブレムとガラス瓶は両方熱くなっているので火傷しないように気を付けて下さい。
温風を当てながら精密ドライバーなどの細いマイナスドライバーをエンブレム下に差し込みます。
エンブレムが充分に温まっていれば結構簡単にエンブレムを浮かせることができます。
写真のとおり、エンブレムには中央部分にだけ接着剤が使われているので、サルの頭部や尻尾部にマイナスドライバーがひっかけやすいです。
エンブレムはガラス瓶に沿うようにカーブしているのでフラットな場所に貼ることは難しいです。
帽子などであればグルーガンなどで接着できますよ。