そのボトルに強烈な存在感をまとう長期熟成のプレミアムバーボン『I.W.ハーパー 12年』を紹介します。すでに2022年6月をもって生産終了してしまったバーボンウイスキーですが、他社に先駆けて長期熟成バーボンとして世に出たパイオニアが『I.W.ハーパー 12年』なのです。
いまとなってはなかなか手に入らない貴重なバーボンですが、もし店舗で見つけた際(量り売りしている店舗もあります)、バーで見かけた際にはぜひ注文してほしいです。
- バニラの甘さとフルーティーさがしっかり感じられる。
- クリーミーなまろやかさと熟成感、長い余韻が心地良い。
- 終売品だけどぜひ一度は味わってほしいプレミアムバーボン。
I.W.ハーパー 12年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | I.W.ハーパー 12年 |
原産国 | アメリカ |
分類 | バーボンウイスキー |
アルコール度数 | 43% |
所有者 | ディアジオ社 |
取扱い | ディアジオ・ジャパン |
参考価格 | 5,500~6,600円(終売により価格高騰中:Amazonで約11,000円) |
ストーリー
I.W.ハーパーにはスタンダードボトル「ゴールドメダル」があります。創業者アイザック・ウォルフ・バーンハイムは1870~1880年代当時品質の悪いバーボンが多かったなか、品質にこだわり完成したバーボン「I.W.ハーパー」を様々な博覧会に出品し合計5つの金賞を受賞しました。これが「ゴールドメダル」という名前の由来です。
I.W.ハーパー12年はI.W.ハーパー ゴールドメダル(6年熟成がメインのブレンド)の長期熟成バージョン。バーボンの場合、長期間の熟成はあまり意味がないといわれています。その理由はアメリカ・ケンタッキー州の気候条件が関与しています。真夏には30℃以上、真冬にはマイナスまでになる環境では、熟成中の原酒への樽成分溶け出しが進みやすいのです。また、熟成が進み過ぎると渋味や雑味が出てしまうことも。I.W.ハーパー 12年は高度な管理技術によってその問題をクリアしています。
I.W.ハーパー 12年はバーボン界で初の12年長期熟成を成し遂げました。ボトルの形状はゴールドメダルとはまったく異なり四角い豪華なデキャンタボトルです。
ボトルは成人男性でも持ちにくいほどの大きさ。幅9.5cm×奥行8cmの四角サイズは酔っぱらいながら片手でつごうとすると落とす可能性もありますので要注意!
I.W.ハーパー 12年の登場をきっかけに、各社で長期熟成のプレミアムバーボンが造られるようになりました。I.W.ハーパーはプレミアムバーボンのパイオニアというわけです。
I.W.ハーパー 12年のテイスティングレビュー・評価
I.W.ハーパー 12年の特性レーダーチャート
I.W.ハーパー 12年の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香りからはやや乳酸発酵のような酸味を連想させる香りに木の香り、バニラ、カラメルを感じます。
口に含むと、「あれ、思ったより香り・味わいが控えめだな」と思ったのもつかの間、一気に押し寄せるおいしさの波。バニラと熟したメロン、熟したトロピカルフルーツが感じられ意外にもフルーティーです。香りで感じていた酸味とウッディーな要素は薄れネガティブさはありません。アルコール刺激はほとんど感じられず、クリーミーでまろやか。
余韻は長く、バニラや甘味が抜けたあとに少しナッツのような風味とオイリーさが残ります。
ボトルのゴツゴツした外観とは異なり、味わいはきれいにバランスが取れていて優しく上品さも感じられます。
I.W.ハーパー 12年の飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 5 |
加水 | 5 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 3 |
加水 オススメ度:
数滴の加水でフルーティーさが強まり、チョコレートを少し感じるようになります。複雑さは薄れますがきれいな味わいになる印象。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
全体的な甘味は弱まりますが、キリっとした甘味と苦味が引き立ちフルーティーさが楽しめます。感じられる要素はストレートよりも少ない印象ですが、余韻の中で口内が温かくなってくるとストレートで感じていた熟したフルーツなどのコクのある甘味がフワッと感じられ、味わいの変化が楽しめます。
ハイボール オススメ度:
とても濃厚でおいしいハイボールです。とにかく様々な要素のバランスに優れていて、バニラや熟したフルーツ、トロピカルフルーツ、スッキリとした柑橘、チョコレートの風味とオイリーなコクが絶妙です。
ホットウイスキー オススメ度:
酸味と苦味が少し強まります。十分おいしいのですが、ストレートで感じていたフルーティーさをはじめ他の要素が感じにくくなってしまうのがもったいないと感じました。
I.W.ハーパー 12年とI.W.ハーパー ゴールドメダルとの比較
I.W.ハーパーのスタンダードボトル「ゴールドメダル」と比較しました。ゴールドメダルは熟成6年原酒をメインにブレンドされているものです。12年はその2倍の熟成期間となりますが、色に関してはほとんど同じ色合いで、12年の方が若干濃いです。
I.W.ハーパー 12年とI.W.ハーパー ゴールドメダルの特性比較
I.W.ハーパー 12年とI.W.ハーパー ゴールドメダルの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
I.W.ハーパー 12年 | I.W.ハーパー ゴールドメダル | |
---|---|---|
特性 | まろやかさと深みのある熟成感 | まろやかでバーボンらしい風味がある |
特徴 | ○バニラとフルーティー強めでバランス良い ○優しめの接着剤のにおい ○優しく上品なミディアムボディ | ○甘味・苦味・渋味の絶妙バランス ○弱めの接着剤のにおい ○ライト寄りのミディアムボディ |
色ではほとんど違いがありませんでしたが香りや味わいについてはさすが2倍の熟成期間、濃さや深みに差があります。ゴールドメダルの方が若々しいフルーティーさがあり爽やかなメロンを感じますが、12年では熟したメロンやトロピカルフルーツを感じます。
I.W.ハーパー 12年はI.W.ハーパー ゴールドメダルの完全な上位互換といった味わいです。バランスが崩れることなくとてもきれいな味わいでありながら熟成によるまろやかさと深みを楽しめます♪
感想・まとめ:適正価格ではぜひ飲んでほしいけれど、プレミア価格では…
優しく上品な熟成感がある長期熟成バーボン「I.W.ハーパー 12年」を紹介しました。スタンダードボトルのゴールドメダルと比べてみると熟成バーボンのすばらしさを実感できるでしょう。
残念ながら2022年6月に終売になってしまい、ネット上ではプレミア価格になって販売されていますが、もし適正価格で見つけた場合は購入をオススメします。1万円以上ですと味わいに対してかなり割高に感じます。
バーボン好きであれば一度はぜひ飲んでほしい一本です。
バーなどで見つけた際にも注文してみて下さい。
- I.W.ハーパー ゴールドメダルを普段好んで飲まれている方。
- 長期熟成のおいしいバーボンをお探しの方。