デュワーズは世界的な販売量を誇り、アメリカでは人気No.1のスコッチウイスキーです。2022年5月に「デュワーズ イリーガルスムース8年」が数量限定で発売されました。2023年2月現在でもまだ在庫があり適正価格で購入可能です。
デュワーズの限定生産「樽シリーズ」のラインアップ第2弾にあたるのが今回紹介する「イリーガルスムース8年」です。
“イリーガル”はメスカルという蒸留酒の有名メーカーの名前なんです。イリーガル社のメスカル樽で後熟させたデュワーズがイリーガルスムース8年です。
- 焦がしたようなスモーキーさがある。
- ライトボディであっさり軽やか。
- ハイボールとホットウイスキーがオススメ。
デュワーズ イリーガルスムース8年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | デュワーズ イリーガルスムース8年 |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | アバフェルディ、オルトモア、ロイヤルブルックラ、クレイゲラキ |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ジョン・デュワー&サンズ社 |
取扱い | バカルディジャパン |
参考価格 | 2,200~2,800円 |
ストーリー
デュワーズを世界的なウイスキーブランドに成長させたのは創業者ジョン・デュワーの後を継いだ次男のトーマス・デュワー(トミー)です。トミーは1892年にデュワーズの販路を広げるために世界各地へ周遊の旅に出ました。トミーの世界観の表現として「樽シリーズ」が数量限定で販売されています。
樽シリーズのコンセプトは「スコッチウイスキーと世界の樽を融合させることで、思いがけない新しい発見を。」、キーメッセージは「吹き抜ける、世界の香り」となっています。イリーガルスムース8年は樽シリーズの第二弾として2022年5月に日本で発売されました。
樽シリーズは、熟成年数8年以上のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンド後に再び樽の中で熟成(ダブルエイジ製法)させ、さらに世界のユニークな樽(=カスク)に詰め替えて熟成を融合させるカスクフィニッシュをしています。
カスクフィニッシュとは
- 通常の樽熟成の後、種類の違う樽に詰め替えて風味を追加する手法。
- ウッドフィニッシュともいい、後熟の意味。
カスクフィニッシュの効果
- カスクフィニッシュ前の本来のニュアンス・骨格を残したまま別の樽の個性が加わり融合して複雑な風味を生み出す。
イリーガルスムース8年は“メスカル樽”でカスクフィニッシュしています。“イリーガル”という単語は「ILLEGAL=非合法の、違法の」といった意味を想像しますが、アルファベットのつづりがちょっと違うんです。イリーガルスムースは“ILEGAL SMOOTH”。「L」が1文字少ないんですね。
実はイリーガルスムースの“ILEGAL”はメスカルという蒸留酒のブランドなんです。デュワーズをイリーガル社のメスカル樽で後熟させたのがイリーガルスムースということです。ILEGAL MEZCALの公式サイトにもその情報は載っていましたので気になる方は確認してみて下さい。
メスカルとは、アガベを主原料とする蒸留酒の総称
日本ではあまりなじみのない「メスカル」。メスカルとはアガベ(リュウゼツラン)を主原料とするメキシコの蒸留酒の総称です。メキシコの蒸留酒といえば「テキーラ」ですよね。テキーラはテキーラ地方のメスカルで「アガベ・アスール」というアガベのみが使われていますが、メスカルでは約50種類のアガベが使用できます。
メスカルの製法では、アガベ中心の球茎部を収穫し焙煎します。この焙煎工程で付与されるスモーキーな風味がメスカルの特徴になっています。
メスカルはアガベの品種やつくられる地域によって味わいが異なります。
公式サイトの「創業者との質疑応答」コーナーを見てみると、当初は自分のバーにメスカルを密輸して入手したり、密売人になったりと非合法なことをしていたようです。ブランド名の由来はILLEGAL(非合法の)で間違いないですね。
イリーガルのメスカルには樽熟成した「レポサド」と「アネホ」があります。どちらかの樽を用いてデュワーズ イリーガルスムースはカスクフィニッシュさせていることになります。
デュワーズ イリーガルスムース8年のテイスティングレビュー・評価
デュワーズ イリーガルスムース8年の特性レーダーチャート
デュワーズ イリーガルスムース8年の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価)オススメ度:
香り立ちは弱めです。ドライで少し草木の香りと焦げた香り、弱めですがカラメルの甘い香りを感じます。
口に含むと軽めの柑橘のような香辛料のようなフレッシュ感のある風味を感じ、中~後半にかけてスパイシーさが強くなっていきます。アルコール感による刺激というよりはスパイシーさで口内がカッカと熱くなってきます。全体的に個性は弱く、香りや味わいも弱めです。
デュワーズ カリビアンスムース8年の飲み方別 オススメ度(5段階)
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 3 |
オン・ザ・ロックス | 4 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 5 |
加水
オススメ度:
数滴の加水でもイリーガルスムースの特徴であるスパイシーさがかなり和らぎます。口内のピリピリした刺激は弱まるので飲みやすくはなりますが、特徴が減ってしまいます。
オン・ザ・ロックス
オススメ度:
甘味は弱まらず、焦げたスモーキーさと苦味が強まりますがバランスがよく飲みやすいです。余韻にもスモーキーさと苦味が残りますが心地良さがあります。
ハイボール
オススメ度:
焦げスモーキーと甘味、スパイシーさと炭酸刺激がベストマッチ。ライトでスッキリした甘さ控えめのハイボールです。幅広い種類の食事との相性も良いでしょう。
ホットウイスキー
オススメ度:
優しい甘さと苦味、焦げスモーキーが心地良いホットウイスキーです。スパイシーさは弱まりますが、焦げスモーキーが強まるので温かさとの相性が良いです。
デュワーズ ホワイトラベル、12年との比較
同ブランドのデュワーズホワイトラベル、デュワーズ12年と比較してみました。
デュワーズ カリビアンスムース8年とデュワーズ ホワイトラベル、デュワーズ 12年との特性比較
デュワーズ カリビアンスムース8年とデュワーズ ホワイトラベル、デュワーズ 12年との特徴比較
この3銘柄に絞った違いを表に書き出してみました。
イリーガルスムース8年 | ホワイトラベル | 12年 | |
---|---|---|---|
特性 | ホワイトラベルよりも香り・味わいが少しだけ豊かでまろやか | 個性・特徴が少なくカクテルベース向き | 深く濃い香り・味わいで熟成感がある |
特徴 | ・焦がしたようなスモーキーさと草木の香り ・ライトボディ | ・華やかさとはちみつの甘味がある ・ライトボディ | ・木樽の風味と熟したフルーツやレーズンの甘味を感じる ・ライト寄りのミディアムボディ |
イリーガルスムースはデュワーズのスコッチウイスキーとしての骨格(華やかさとはちみつ感)はあるのですが抑えめに感じました。ボディ感はホワイトラベル<イリーガルスムース8年<12年の順ですが、ホワイトラベルよりわずかだけイリーガルスムース8年の方がボディ感がある程度です。
イリーガルスムース8年と12年の価格は同じくらいなので、純粋にウイスキーとしての満足感を考えると12年の方がオススメできます。カスクフィニッシュによるウイスキーの変化を楽しんでみたい方は他の「樽シリーズ」とともにそろえてみるといいでしょう。
感想・まとめ:ハイボール or ホットウイスキーでもっとも風味が楽しめる
デュワーズの樽シリーズ第二弾「デュワーズ イリーガルスムース8年」を紹介しました。メスカル樽によるカスクフィニッシュでスコッチのスモーキーとは異質の“焦がしたスモーキーさ”が味わえるブレンデッドウイスキーです。デュワーズホワイトラベルの特徴を少し抑えた上にメスカルの風味付けをしたような印象でした。メスカル風味をもっとも味わえるのはハイボールもしくはホットウイスキーでしょう。
イリーガルメスカルはメキシコのオアハカでつくられています。オアハカはメキシコの魅力が凝縮された街で観光地としても有名。デュワーズ樽シリーズのキーメッセージは「吹き抜ける、世界の香り」なので、YouTubeなどでオアハカの街並みや風景を見ながらデュワーズ イリーガルスムース8年を飲んでみるのも面白いですよ。
- カスクフィニッシュのウイスキーを飲んでみたい方
- 普段の宅飲みでデュワーズを愛飲している方
- メスカルとウイスキーのマリアージュが気になる方