ウイスキーに詳しくない方でも「フォアローゼズって聞いたことある」「赤いバラが描かれたウイスキー見たことある」という人もいらっしゃるでしょう。今回紹介するのはアメリカンウイスキーの中でも有名なバーボンウイスキー「フォアローゼズ」ブランドの「フォアローゼズ スモールバッチ」です。基本情報から、製法、レビューまで分かりやすく解説していきます。
フォアローゼズ スモールバッチはスーパーやドラッグストアではほとんど見かけませんが、酒屋さんやネット通販であれば簡単に購入できますよ。
- 濃厚なバニラ、カスタードプリンの甘い風味
- 甘く清涼感のあるスパイスやハーブの風味
- バーボン特有の接着剤臭が弱めでストレートでも飲みやすいまろやかさ
記事の後半では同じフォアローゼズシリーズのフォアローゼズ(スタンダード)とフォアローゼズ ブラックとの比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
フォアローゼズ スモールバッチの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | フォアローゼズ スモールバッチ |
原産国 | アメリカ |
分類 | バーボンウイスキー |
蒸留所 | フォアローゼズ蒸留所(ケンタッキー州) |
アルコール度数 | 45% |
所有者(製造元) | キリンディスティラリー |
取扱い | キリンホールディングス |
参考価格 | 3,800~5,000円 |
ストーリー
フォアローゼズは、1888年に創業した由緒あるバーボンブランド。アメリカでの20世紀初頭の禁酒法時代には「薬用」として製造を許されていたほど、その品質は高く評価されていました。フォアローゼズという名前の由来はもちろん4本のバラで、創業者ポール・ジョーンズと妻の4本のバラにまつわるロマンティックなエピソードがもととなっています。このエピソードが気になる方は過去の記事で紹介していますのでリンクからどうぞ。
フォアローゼズは他のバーボンメーカーとはまったく異なる製法で有名。2種類のマッシュビル(原料穀物の配合比率)と5種類の酵母を掛け合わせることで、味わい・香りの個性が異なる10種類もの原酒をつくり分け、これらの熟成とミングリングとよばれるブレンドによってフォアローゼズの各ラインナップがつくられます。
バーボンのファーメンター(発酵槽)はステンレス製が多いのですが、フォアローゼズでは木製のファーメンターを使うというこだわりも。
フォアローゼズ スモールバッチには、10種類の原酒のうち4種類が使われています。マッシュビルはとうもろこしが多い「マッシュビルB」とライ麦が多い「マッシュビルE」の2タイプで、スパイシータイプの酵母「K」とリッチ&フルーティータイプの酵母「O」を掛け合わせた4種類の原酒です。
原酒の特徴でいうと、クローブ・シナモンのスパイスとレッドベリー系の果実、バニラの風味が挙げられます。
フォアローゼズ スモールバッチのテイスティングレビュー・評価
フォアローゼズ スモールバッチの特性レーダーチャート
フォアローゼズ スモールバッチの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り
どっしりしていて力強い甘く華やかな香りです。クローブやナツメグの清涼感をともなう甘いスパイス風味も強く感じ取れます。
味わいと余韻
口に含んだ瞬間に濃厚なバニラとキャラメル、カスタードプリンの甘い風味がどっと押し寄せてきます。少し遅れてクローブやナツメグの甘いスパイス、ミントのようなハーブの風味も。焦がしたような苦味がありますが、甘味が強いためそこまで苦味は気になりません。特徴グラフではスモーキーを2にしていますが、これはスコッチのスモーキーとは異なる、焦がした木の風味からくるものでしょう。アルコール刺激やバーボン特有のエステリーさ(接着剤臭)はあまり感じられないため、ストレートでも飲みやすく、まろやかな余韻が楽しめます。
アルコール度数が45%もありますが、アルコール刺激は少なく、とても力強い甘さです。
余韻は長く、僕の感覚で約50秒ほど。まずバニラやキャラメル、カスタードプリンのコクのある風味と強い甘味があり、数秒後に甘味が少し弱まったあたりで、清涼感のあるクローブやナツメグのようなスパイス、ミントのようなハーブが感じ取れるように。スパイスとハーブは徐々に薄れていき、バニラ、キャラメル、プリンの風味は最後の方まで残りました。
フォアローゼズ スモールバッチの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 5 |
加水 | 4 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 2 |
加水 オススメ度:
甘味が増し、スパイス・ハーブ感がかなり強まりました。スパイス・ハーブ感の強さで少し違和感があるほどに。個人的に少しバランスが崩れてしまったように感じてしまったのでマイナス1点しましたが、スパイス・ハーブの風味が好きな方にとってはオススメかもしれません。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
甘味が少し抑えられ、苦味が強まりました。よく冷えたウイスキーに強いバニラとクローブやミントの清涼なスパイス・ハーブ感がマッチしています。ストレートよりもフルーティーで華やかな風味です。
苦味はカラメル系で甘焦げ感があって大人ビターなオン・ザ・ロックスです。
ハイボール オススメ度:
コクのある甘味がきちんとありながら、キリッとした苦味によって爽快感と飲みごたえの両方を兼ね備えたハイボールです。バニラやキャラメル、プリンやクローブの甘いハーブの風味が楽しめます。
スモーキーやフルーティータイプとは違う個性豊かなハイボールです。
ホットウイスキー オススメ度:
ストレートではそれほど気にならなかったアルコール刺激が、ホットウイスキーにすることでのどをビリビリと刺激するようになりました。口に含んだ瞬間は甘いのですが、すぐに強い苦味が味わいを占めるようになります。
余韻は短く、苦味もすぐに消えていき、薄っぺらい味わいに感じました。
フォアローゼズ スモールバッチとフォアローゼズ(スタンダード)、フォアローゼズ ブラックとの比較
同じフォアローゼズシリーズのフォアローゼズ(スタンダード)とフォアローゼズ ブラックとの比較をしました。この写真ではラベルのバラの色が液体に移りこんでしまったので別写真で色比較を。
グラスの並び順はボトルと同じで、左からフォアローゼズ(スタンダード)、中央がフォアローゼズ スモールバッチ、右がフォアローゼズ ブラックです。スモールバッチが他に比べて濃い琥珀色をしています。
フォアローゼズ スモールバッチとフォアローゼズ(スタンダード)、フォアローゼズ ブラックとの特性比較
フォアローゼズ スモールバッチとフォアローゼズ(スタンダード)、フォアローゼズ ブラックとの特徴比較
これら3銘柄の比較表を用意しました。
フォアローゼズ スモールバッチ | フォアローゼズ(スタンダード) | フォアローゼズ ブラック | |
---|---|---|---|
特性 | 力強く濃厚でまろやか | 深みはないけれど飲みやすい | まろやかで深みがある |
特徴 | ・バニラ、カスタードプリン ・甘く清涼感のあるスパイス・ハーブ感 ・フルボディ | ・華やかでフルーティー ・弱めのエステリー ・ライトボディ | ・カラメル、バニラ、木樽 ・強めのエステリーさで接着剤臭 ・ミディアムボディ |
熟成年数 | 6年以上 | 5年以上 | 6年以上 |
熟成年数に大きな差はありませんが、それぞれ特性・特徴には差がありました。スタンダードはライトで華やかなタイプ、ブラックはバニラと接着剤臭が強めですが、スモールバッチは接着剤臭がほとんどなく、濃厚なバニラ・カスタードプリン・スパイス・ハーブの風味が楽しめるバーボンです。
また、スモールバッチはアルコール刺激も少なめなので、これらの中ではもっともストレート飲みに適していると感じました。フルボディなので飲みごたえも十分です。
感想・まとめ:少しお高めだけどバーボン初心者に飲んでほしい
バラのバーボンで有名なフォアローゼズから、フォアローゼズ スモールバッチを紹介しました。接着剤臭が弱めなのでバーボン初心者の方にもオススメできるボトルです。価格が少し高めですが、濃厚で甘くまろやかな味わいはクセになってしまう人も多いのではないでしょうか。
- 接着剤臭が少なめで飲みごたえがあるバーボンをお探しの方
- バニラやカスタードプリンのような濃厚な甘さ、まろやかなバーボンがお好きな方
- フォアローゼズがお好きな方