アメリカンウイスキーを代表するブランド「ジャックダニエル」。アメリカンウイスキーでは販売数でダントツの第一位を誇っています。
コンビニでも扱っているほどどこでも売っているアメリカンウイスキーといえば、白いラベルのジムビームか黒いラベルのジャックダニエルを思い浮かべる方も多いはず。ジャックダニエルは四角いビン、黒いラベルに白文字のシンプルながら存在感のあるデザインがカッコいいですね。
なかなか強いクセがあるウイスキーですが、販売数量からわかるように数多くのファンがいるという事実。クセになったらやめられなくなる味わいということでしょうか。
- メープルシロップと接着剤の風味強め。
- アルコール刺激は少ない。
- オン・ザ・ロックスやホットウイスキーが飲みやすくオススメ。
記事の後半ではバーボンウイスキー「ジムビーム ホワイト」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
ジャックダニエル ブラックの基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | ジャックダニエル ブラック |
原産国 | アメリカ(テネシー州) |
分類 | テネシーウイスキー |
仕込み水 | ケーヴ・スプリングの洞窟の水 |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ブラウン・フォーマン社 |
取扱い | アサヒビール |
参考価格 | 2,300~2,600円 |
ストーリー
「ジャックダニエル」のブランド名は、創業者:ジャスパー・N・ダニエルに由来します。通称ジャック少年はわずか7歳で蒸留所で働き始め、13歳になった1859年には蒸留所の運営を任されました。1866年(ジャック:20歳)にはリンチバーグにジャックダニエル蒸溜所を設立しました。
リンチバーグ周辺地域の蒸留所では当時からサトウカエデ(シュガーメープル)の木炭を使用して蒸留したてのウイスキーをろ過する製法がとられていて、ジャックもこの製法によるウイスキーづくりを取り入れ「チャコールメローイング製法」を確立しました。
ジャックダニエルはテネシーウイスキーです。では、テネシーウイスキーとは何かというと上図の通り。結論から言うとテネシーウイスキーはバーボンウイスキーをさらに条件付けしたもの、つまりテネシーウイスキーはバーボンウイスキーに含まれています。
バーボンウイスキーは原料の51%以上がトウモロコシで、内側を焦がしたオークの新樽でアルコール濃度62.5%以下で樽詰めして熟成させたもの。バーボン自体に製造場所のしばりはありません。テネシーウイスキーはさらに①テネシー州でつくられる。②蒸留直後のニューポッドをサトウカエデの炭で時間をかけてろ過し貯蔵するチャコールメローイング製法を行う必要があります。
バーボンウイスキーのうち、ケンタッキー州でつくられ熟成されたものはケンタッキーバーボンを名乗ることができます。テネシー州の場合はテネシーバーボンではなく、テネシーウイスキーなんですね。
ジャックダニエルのレシピはジャックが考案した頃から、80%のトウモロコシ、12%の大麦麦芽、8%のライ麦という配分が現在もそのまま引き継がれています。トウモロコシの比率はかなり高くバーボンの要件を満たしています。高品質のトウモロコシを使用することでもろみに魅力的な甘さが加わり、ライ麦がスパイスのしっかりとした香りで甘さを締めくくり、モルトがクリーミーな滑らかさを実現。
参照元:ジャックダニエル公式サイト 炭作り
テネシーウイスキーの必須条件であるチャコールメローイング製法。この製法で使われるサトウカエデの炭作りはジャックダニエルにとって重要な工程です。週に3日、1日3回行われる炭作りは、サトウカエデの角材を高さ約1.5mに積み重ねて燃やします。燃やされた角材はかき回しながら冷まされペレット状の炭にされ、高さ約3mのろ過槽に詰められます。
かえでともみじの違いをご存知ですか?かえでは英語でメープル。ざっくり説明すると、日本ではカエデ属植物のうち紅葉するものをもみじというようです。
参照元:ジャックダニエル公式サイト プロセス
蒸留後で熟成前のウイスキー原酒(アルコール度数70%)は、3mの炭ろ過槽に上部から一滴一滴注ぎこまれ3~5日かけてゆっくりろ過されます。リンチバーグではこのチャコールメローイング製法を「エクストラ・ブレッシング(祝福の積み重ね)」とも呼ぶそう。ウイスキーの熟成とまではいかなくとも、なかなか時間がかかる工程です。
他にもジャックダニエルの酒質に大きく影響を及ぼしているのがケーヴ・スプリングの洞窟からの湧水です。この洞窟の水は常に13℃に保たれており、洞窟内の石灰岩の層から滲み出る水はミネラルが豊富に含まれ、そのミネラルがジャックダニエルの個性を生み出してると言われています。
ジャックダニエル ブラックのテイスティングレビュー・評価
ジャックダニエル ブラックの特性レーダーチャート
ジャックダニエル ブラックの特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
グラスに鼻を近づけるとバーボンとは少し異質な酸味をともなうエステリーさとメープルシロップの甘い香りが印象的です。エステリーさは華やかな甘さでもありますが強いと接着剤臭のように感じ取れます。ジャックダニエルはまさに接着剤。複雑さはそれほどありませんが、香りからしてかなり個性的です。
口に含んでみると香りで感じた通りの接着剤とメープルシロップ感。華やかさも感じますがそれを上回る接着剤臭です。特徴グラフでははちみつを4と評しましたが、はちみつというよりもメープルシロップのサラッとした甘い風味です。アルコール刺激はそれほど強くはなく、なめらかな舌触りとスコッチウイスキーのスモーキーさとは異なった甘く焦げた炭感はテネシーウイスキー特有といえるでしょう。
初めて飲んだ時には「これはちょっとキツイな」って感じてたんですが、飲み慣れてくるとクセになっちゃってました。
ジャックダニエル ブラックの飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 3 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 4 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
数滴の加水でボディが軽くなり、甘さが一段と軽くなりました。味わいが一気に薄まり、飲みごたえとしては物足りなさも。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
接着剤感がだいぶ目立ちます。甘味が下がって苦味が上がり、ジャックダニエル ブラックの特徴がさらに際立って感じられます。氷が溶けて少し薄まってくるとメープルシロップの甘い華やかさが強まり、フルーティーさも出て飲みやすくなります。
ハイボール オススメ度:
甘く華やかで飲みやすいハイボールです。接着剤感やメープルシロップ感は薄く、個性がマスキングされました。
ストレートでの個性が苦手な方でも、ハイボールであれば問題なく飲める方も多いでしょう。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2でテイスティングしてみました。
お湯で割ってすぐは接着剤臭が強いですが、少し時間をおくと接着剤臭はかなり弱まり、とてもまろやかな飲み口になります。メープルシロップの風味はきちんと残り、ジャックダニエルの個性を柔らかく楽しめます。
ジャックダニエル ブラックとジムビーム ホワイトとの比較
バーボンウイスキーで最も有名&販売数が多い「ジムビーム」の定番品「ジムビーム ホワイト」と比較しました。色はジャックダニエル ブラックのほうがやや濃い琥珀色をしています。
ジャックダニエル ブラックとジムビーム ホワイトとの特性比較
ジャックダニエル ブラックとジムビーム ホワイトとの特徴比較
これら2銘柄に絞った比較表を用意しました。
ジャックダニエル ブラック | ジムビーム ホワイト | |
---|---|---|
特性 | 複雑さはないが個性は強い | 特出した個性はないが飲みやすい |
特徴 | ○華やかでメープルシロップを強く感じる ○接着剤のにおい強い ○ミディアム寄りのライトボディ | ○バニラの風味は強くはないがしっかり感じられる ○接着剤のにおいは弱い ○ライトボディ |
ジムビーム ホワイトはバーボンとしてはクセが弱く、アルコール感やアルコール辛さは強いもののアメリカンウイスキー初心者でも飲みやすい仕上がりである一方、ジャックダニエル ブラックは強めの接着剤臭がありクセが強く、バーボンをはじめとしたアメリカンウイスキーを飲み慣れていない方にとってはハードルが高いかもしれません。バーボンに飲み慣れている方であれば抵抗少なくジャックダニエルに挑戦できるでしょう。
感想・まとめ:一度は試してみる価値あり、ストレートが苦手だったら他の飲み方で
アメリカンウイスキーとして世界一の売上を誇るジャックダニエルのスタンダードボトル、「ジャックダニエル ブラック」を紹介しました。クセが強めのウイスキーなので好みは分かれる味わいですが、クセというのは時に人を魅了するもの。価格帯も2,000円台で手に取りやすいことと個性のある味わいはファンになる方が多いのも納得です。
とはいえ、特有の接着剤臭が苦手な方にとっては、においだけでも受け入れられない場合もあるでしょう。
- 普段バーボンウイスキーを飲み慣れていて、接着剤臭に耐性がある方
- メープルシロップの風味をウイスキーで楽しみたい方
- 2,000円台で個性が強めのウイスキーをお探しの方
- バーボンが苦手な方はテネシーウイスキーも苦手でしょう
- 接着剤臭が苦手な方