バランタインといえばウイスキー初心者の方でも名前だけなら聞いたことがあるブランドでしょう。バランタインシリーズはリーズナブルなものから高級なものまで幅広く、そして数多くの銘柄があります。今回はバランタインの中でも高級ラインナップの「バランタイン 21年」をご紹介。
長期熟成のバランタイン 21年、気軽に買える金額ではありませんが、数々の受賞歴もあり実力派ブレンデッドウイスキーであることは間違いないでしょう。
- リンゴ、バニラ、はちみつ、プラムなど様々な風味が渾然一体
- 開栓してから時間が経った方が、さらに豊かな味わい深さ
- これぞブレンデッドの長期熟成と思える味わい、プレゼント用に選ぶと喜ばれるかも
記事の後半ではバランタインシリーズの「バランタイン 17年」、「バランタイン 10年」、当ブログの基準ウイスキーである「ザ・グレンリベット 12年」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
バランタイン 21年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | バランタイン 21年 |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | グレンバーギー、ミルトンダフ、グレントファーズ、スキャパなど |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ペルノリカール社 |
取扱い | サントリーホールディングス(正規品) |
参考価格 | 約20,000円(正規品)、14,000~16,000円(並行輸入品) |
ストーリー
バランタインはスコッチウイスキーの世界第二位の販売量を誇るブランドです。
バランタイン21年は、最低でも21年以上熟成させたウイスキー原酒を、40種以上ブレンドしてつくりだされた超長期熟成タイプのウイスキーで、キーモルトのスキャパ、グレンバーギー、ミルトンダフ、グレントファーズをはじめとした、スコットランドの4つの地方(スペイサイド、ハイランド、アイラ、ローランド)の厳選されたモルト原酒、グレーン原酒を40種類以上使用しています。
バランタイン 21年の受賞歴
引用元:バランタイン公式サイト-受賞歴
バランタインはメーカーとして、“ディスティラー・オブ・ザ・イヤー”を1998年、1999年、2007年に受賞。これは品質の高さと革新性において世界中のウイスキーメーカーの中から最も高い評価を得た1社だけに贈られる栄誉ある賞です。そんなディスティラー・オブ・ザ・イヤーをこれまで3度も受賞しているバランタイン社はトップレベルの実力だということがよくわかります。
引用元:バランタイン公式サイト-受賞歴
バランタイン 21年はこれまで様々な受賞歴があります。2016年にはThe Scotch Whisky Mastersで金賞、IWSCで最優秀金賞を、2020年にはISCで金賞を受賞。The Scotch Whisky Mastersは高品質なスコッチウイスキーを評価するコンペティション、IWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)はイギリスのロンドンで開催される世界三大酒類コンペティションのひとつ、ISCはイギリスの飲料出版社ドリンクス・インターナショナルが毎年開催するコンペティションです。どれも権威あるもので、これらに受賞しているバランタイン 21年は世界が認める実力だといえるでしょう。
バランタイン 21年のテイスティングレビュー・評価
バランタイン 21年の特性レーダーチャート
バランタイン 21年の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り
熟したリンゴや洋ナシ、バニラ、はちみつ、木樽香が目立って感じられます。奥には八角のような甘いスパイス感や柑橘の風味も。
開栓して日数が経つとさらに甘く華やかな風味が強まりました。
味わいと余韻
口に含むとウイスキーがとてもまろやかに優しく舌を滑って流れていきます。香りと同様にリンゴ、洋ナシ、バニラ、はちみつ、木樽が強く感じられ、メープルシロップや柑橘の風味、プラムのコクのある甘酸っぱい風味もあります。これらの味わいはそのまま余韻にいつまでも残り、すべてがまとまってまさに渾然一体となっている印象。ガツンとくる強い風味はありませんが超バランス型で味わい深いウイスキーです。
アルコール刺激はほとんどないので、どなたでもストレートでバランタイン 21年の味わいを十分に楽しめるでしょう。
余韻の長さは長く、ぼくの感覚では50秒ほど。リンゴ、洋ナシ、バニラ、はちみつ、木樽、メープルシロップ、柑橘、プラムの風味は一体となって最初から最後の方まで楽しむことができました。
バランタイン 21年の飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 5 |
加水 | 5 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 4 |
ホットウイスキー | 4 |
加水 オススメ度:
数滴の加水ではちみつとメープルシロップの風味が強まり、まろやかな甘さが引き立ちました。リンゴと熟した甘いオレンジの風味が柔らかくなります。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
とてもフルーティーでクリーミーなオン・ザ・ロックスになります。氷で冷えるために本来であれば香りは抑えめになるのですが、グラスに鼻を近づけるだけでリンゴや柑橘のフルーティーな香りが楽しめます。
わずかに柑橘系+カラメル系の苦味が感じられ、バニラというよりはカスタードクリームに近いクリーミーで甘い風味がフルーティーな味わいと共にいつまでも楽しめます。
ハイボール オススメ度:
超ぜいたくハイボールです。炭酸のシュワシュワ効果でバランタイン 21年のフルーティー&華やかさが引き立ちます。
ひたすら飲みやすく、あっという間に飲み干してしまうほどなのですが、ストレートよりも個性がだいぶ抑えめになってしまいます。バランタイン 21年の魅力を味わいつくせないと感じたためにマイナス1点しました。
圧倒的な飲みやすさはありますので、バランタイン 21年を購入した際にはぜひ一度はお試しください。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2で濃いめに作って飲んでみました。ひたすら優しい飲み口のホットウイスキーになりました。他の飲み方で楽しめたフルーティーさが影を潜めてしまいました。
ハイボールと同様、バランタイン 21年の魅力を味わいつくせないと感じたのでマイナス1点です。
ただかなり飲みやすいので、バランタイン 21年を購入した際にはぜひ一度はお試しください。
バランタイン21年とバランタイン17年、バランタイン10年、ザ・グレンリベット12年との比較
価格帯は異なりますが、同じバランタインシリーズの年数表記もの「バランタイン 10年」、「バランタイン 17年」と飲み比べました。
さらに後日、当ブログの基準ウイスキーであるスコッチのシングルモルトウイスキー「ザ・グレンリベット 12年」との飲み比べもしました。
バランタイン21年とバランタイン17年、バランタイン10年、ザ・グレンリベット12年との特性比較
バランタイン21年とバランタイン17年、バランタイン10年、ザ・グレンリベット12年との特徴比較
これら4銘柄の比較表を用意しました。
バランタイン 21年 | バランタイン 17年 | バランタイン 10年 | ザ・グレンリベット 12年 | |
---|---|---|---|---|
特性 | 香り・味わい豊かでまろやか、味わいが渾然一体にまとまっている | 味わい豊か、穏やかで複雑 | 穏やかながら複雑でバランス良い | 香り・味わいともに豊かでまろやかにまとまっている |
特徴 | ・リンゴ、バニラ、はちみつ、プラム、メープルシロップなどの風味 ・甘い要素の様々な風味が非常になめらか ・ミディアムボディ | ・リンゴ、バニラ、木樽の風味強い ・日本酒の吟醸酒で感じるような吟醸香(バナナ+洋ナシ) ・ミディアムボディ | ・一瞬だけリンゴと華やかさ、バニラ ・クリーミーで甘い風味 ・ライト寄りのミディアムボディ | ・穀物やバニラやはちみつ等の甘さが強い ・クリーミーでコクがある ・ミディアムボディ |
バランタインシリーズ同士の比較では、共通した骨格として「リンゴとバニラをはじめとする甘い風味とまろやかな飲みやすさ」があります。バランタイン 10年と17年の比較では、17年の方が味わい深く豊かで穏やか、10年ではまだ得られていない熟成感や複雑さがありました。17年と21年との比較では21年の方がより滑らかで味わいに一体感がありました。具体的には17年はリンゴ、バニラ、木樽をきちんと感じ取れたのに対し、21年はリンゴ、バニラ、はちみつ、プラム、メープルシロップなどの風味がまさに渾然一体となっていて、もはや一つのまとまった味わいになっているイメージです。
同じバランタインシリーズでも構成原酒やその割合が全く同じということはないと思いますので単純に熟成年数だけの違いというわけではないでしょうが、10年と17年との7年差には香り・味わいの濃さや豊かさに大きな差があり、17年と21年との4年差には味わいの豊かさやまろやかさに大きな差を感じました。
プレゼント用ウイスキーをお探しで、お相手の好みがわからない場合にバランタインの17年と21年は選択肢に入れて良い銘柄ですね。もらって嫌がる人はいないでしょう。
バランタイン 21年とザ・グレンリベット 12年との比較では熟成年数差が9年もあり、さすがにバランタイン 21年の方がまろやかで複雑な味わいでした。しかしバランタイン 21年の約3分の1の価格でザ・グレンリベット 12年が買えることを考えると、ザ・グレンリベット 12年のコスパの良さを改めて思い知らされます。モルトの穀物感やはちみつの風味を楽しみたいならザ・グレンリベット 12年の方がオススメです。
バランタイン 17年のレビュー記事の際、開栓後に空気に触れさせてウイスキーがひらいてからの香り・味わいの変化が大きいと書きましたが、バランタイン 21年も同様に開栓後しばらくしてからの方が香り・味わいをより楽しむことができるようになります。
バランタイン 21年を購入もしくはプレゼントされるなど入手した際には、開栓して少し飲んだら数日後にまた飲んでみてください。
感想・まとめ:これぞ長期熟成ブレンデッドウイスキー
有名スコッチブランドのバランタインから、バランタイン 21年を紹介しました。バランタイン17年よりもさらに熟成感・一体感が醸し出された長期熟成ブレンデッドウイスキーでした。個性やクセはほどんどなく、ウイスキー初心者の方でも抵抗なく飲めるようなまろやかでなめらかな深い味わいです。高価格ウイスキーですので気軽に購入はできませんが、飲めばウイスキーを長期熟成するとどうなってしまうのかを実感できるでしょう。
- クセもスモーキーさもなく、マイルドで飲みやすいウイスキーをお探しの方
- 甘い風味が強く、華やかなウイスキーをお探しの方
- プレゼント用として、お相手の好みがわからない時に無難だけどもらって嬉しいウイスキーをお探しの方