スコッチウイスキーの王道でありスコッチブレンデッドとして世界第二位の販売量を誇るバランタイン。2024年5月で惜しまれつつ出荷停止となったバランタインの主力銘柄「バランタイン 12年」の後継銘柄として、2024年5月14日に「バランタイン 10年」が発売されました。
バランタイン 12年と見た目がソックリなバランタイン 10年。香りや味わいについてはどうなのでしょうか?
- 熟したリンゴ、バニラ、カスタードクリームの風味が楽しめる
- 終売になってしまったバランタイン 12年の後継銘柄
- 12年と比べると濃さや熟成感は弱いが、初心者向けの飲みやすい味わい
記事の後半では同ブランドの「バランタイン 12年」、「バランタイン 7年」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
バランタイン 12年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | バランタイン 10年 |
原産国 | スコットランド |
分類 | ブレンデッド |
主要モルト | グレンバーギー、ミルトンダフ、グレントファーズ、スキャパなど |
アルコール度数 | 40% |
所有者 | ペルノリカール社 |
取扱い | サントリーホールディングス |
参考価格 | 2,800~3,000円 |
ストーリー
1827年、バランタイン社の起源となる食料品店がジョージ・バランタイン(19歳)によって創業されました。ジョージの店では食料品を主に扱っていましたが、ワインやウイスキーも徐々に扱うように。1853年にアンドリュー・アッシャーが熟成年数の異なるモルトウイスキー同士を混和させたヴァッテッドモルトウイスキーを製造し成功をおさめたことで、アッシャーの友人だったジョージ・バランタインもウイスキーのブレンダーとして歩むことを決め、1869年にグラスゴーに進出しました。
「バランタイン」というブランドが誕生したのは1910年のこと。この年、創業者ジョージの後を継いだジョージ二世によって「バランタイン・ファイネスト」が発売され、この銘柄は現在でもリーズナブルな価格帯でコンビニやスーパーで並んでいます。
1895年にヴィクトリア女王よりイギリス王室御用達の称号を得たことによって、バランタイン社は世界的な発展を遂げ、1938年にはスコットランド紋章院から紋章の使用を許可されました。紋章に描かれているのはウイスキーづくりの4大要素【大麦・川・ポットスチル・樽】とスコットランドの国旗、国花であるアザミ、さらにラテン語で『全人類の友』というメッセージで、バランタインの象徴としてバランタインシリーズすべてのボトルに描かれています。
バランタイン10年は、グレンバーギー、ミルトンダフ、グレントファーズなどをキーモルトとして、それ以外にも厳選された数十種類の最低10年以上熟成させた原酒がブレンドされています。
バランタイン 10年のテイスティングレビュー・評価
バランタイン 10年の特性レーダーチャート
バランタイン 10年の特徴グラフ
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
香り
グラスにウイスキーを注いだ直後はエステリーさ(華やかだけど、強すぎると接着剤臭)があり時間が経つとあまり感じなくなります。開栓直後は香りに広がりがありませんでしたが、開栓して数日経つと熟したリンゴやバニラ、オレンジの香りが強く感じられるように。
味わい&余韻
開栓直後は口に含んだ瞬間にさわやかでしっかりめのリンゴと弱めのオレンジ、バニラが感じられましたが、味わいに関しても開栓直後はまだ“ウイスキーが開いていない”状態で、数日経ってから改めて飲んでみるとバニラがさらに強まり、カスタードクリームやカラメルのコクのある甘い風味が目立つようになりました。スモーキーさはほとんどありません。
余韻は程よくあって中程度。ぼくの感覚では25秒ほど楽しめました。まず熟したリンゴ、バニラが感じ取れ、数秒後からカスタードクリーム、少し遅れてカラメルの風味が現れました。リンゴ・バニラは前半で消えていき、カスタードクリーム・カラメルは最後の方まで感じ取れます。なので、後半はカスタードクリーム+カラメル=プリンのような味わいも楽しめます。
バランタインの特徴でもある「クセのなさ」、リンゴとバニラの要素がバランス良くブレンドされています。
バランタイン 10年の飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 4 |
加水 | 5 |
オン・ザ・ロックス | 5 |
ハイボール | 4 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
数滴の加水でアルコール刺激が弱まり、まろやかな味わいに。飲みやすくなりさらに熟したリンゴやバニラ、カスタードクリームの風味が強まりました。余韻も薄まることなく、雑味なく心地よいです。
特に開栓したてのバランタイン 10年を飲むときは、数滴加水することで香り・味わいが開いてこのウイスキーの特徴を強く楽しむことができるようになります。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
柑橘とエステリーな風味、苦味が強まりました。柑橘の皮で感じられるような苦味なので違和感がありません。
氷が溶けて加水されていくとエステリーさは薄れていきます。フルーティーさの内容がリンゴ主体からリンゴとオレンジが同程度にまで感じられるようになり、余韻にはバニラも残ります。
ハイボール オススメ度:
非常に飲みやすいハイボールなのですが、リンゴ・バニラが弱まり個性に乏しい味わいに。また、酸味が目立つようになり、ストレートよりもバランスが崩れてしまいました。
濃いめにハイボールをつくってもリンゴやバニラは多少強くなりますが、酸味がさらに目立つようになります。酸味が強めのハイボールがお好みの方には良いかもしれません。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2でつくりました。
リンゴ、バニラ、カスタードクリーム、カラメルの甘い風味をもっとも強く楽しむことができます。オレンジはほとんど感じられず、カラメル系のほろ苦さが出て飲み飽きしない味わいに。
ほっこりした飲み心地でリラックスしたい時にゆっくり飲みたくなるホットウイスキーです。
バランタイン 10年とバランタイン 12年、バランタイン 7年との比較
同じバランタインブランドから、年数の短い「バランタイン 7年」、終売となった「バランタイン 12年」と比較してみました。写真左から「7年」、「10年」、「12年」です。
バランタイン 10年とバランタイン 12年、バランタイン 7年との特性比較
バランタイン 10年とバランタイン 12年、バランタイン 7年との特徴比較
これら3銘柄に絞った比較表を用意しました。
バランタイン 10年 | バランタイン 12年 | バランタイン 7年 | |
---|---|---|---|
特性 | 濃くはない、穏やかなバランスタイプ。 7年と12年の間のイメージ。 | 穏やかながら複雑でバランス良い | 濃くはないが、個性がある |
特徴 | ・リンゴ、弱めのオレンジのフルーティーさ ・バニラやカスタードクリームの甘い風味 ・ミディアム寄りのライトボディ | ・一瞬だけリンゴと華やかさ、バニラ ・クリーミーで甘い風味 ・ライト寄りのミディアムボディ | ・リンゴの爽やかなフルーティーさ ・ふんわりバニラの甘い風味 ・ライトボディ |
改めて3銘柄を飲み比べてみると、リンゴやバニラの風味がもっとも強いのは12年でした。ただ、12年はリンゴよりもバニラやクリーミーさが際立っているためリンゴはその影に隠れやすいだけで、全体的な濃さ・熟成感・バランスを考えると12年はやはり素晴らしい仕上がりだったことがわかります。
10年はイメージ的に香り・味わいともに7年と12年の中間くらい(7年と12年と足して2で割ったよりも少し7年寄り)だと感じました。7年ほどライトではないけれど12年ほどの濃さや熟成感はありません。ただ間違いなく言えることは3銘柄ともにウイスキー初心者にとってはとても飲みやすく、ウイスキーを好きになってもらいやすいエントリーボトルだということです。
バランタインの香り・味わいが好きならば、ハイボール用には7年、ストレートや加水用には10年が適しています。(らまの感想)
感想・まとめ:ウイスキー初心者にオススメな飲みやすさ
終売してしまった「バランタイン 12年」の後継銘柄となる「バランタイン 10年」を紹介しました。正直なところ、12年ほどの飲みごたえはありませんでした(12年も個性穏やかタイプなのですごく飲みごたえがあるというわけではない)が、これからウイスキーに挑戦してみたいという方にとってはかなり飲みやすい味わいのウイスキーです。税込みで約3000円と安くはないので、初心者が気軽に買えるかというと難しい価格帯かもしれませんが、セールなどでリーズナブルに買える時には購入ボトルの選択肢に入れてもいいのではないでしょうか。
12年が終売前に約3000円だったことを考えると、10年が同価格なのは高く感じてしまいますね。各社値上げが続く状況なので、12年が終売していなかったらもっと値上げされていたでしょうが。
- ウイスキーにこれから挑戦したい初心者(クセがなく飲みやすい)
- 甘い風味のバランス型ウイスキーをお探しの方
- オン・ザ・ロックスやホットウイスキーでまったり飲めるウイスキーをお探しの方
- 個性が強いウイスキーをお探しの方