スコッチの王道ブレンデッドウイスキーとして有名な「バランタイン」。バランタインは、スコットランドのハイランド、ローランド、スペイサイド、アイラの4地方のモルト原酒とグレーン原酒がブレンドされ、その中でもバランタインの味わいの中核を担うキーモルトのひとつが「グレンバーギー」です。
バランタイン 12年は複雑でありながらマイルドで飲みやすい味わいのバランス型ブレンデッドウイスキー。その味わいに大きく貢献しているグレンバーギーから2023年11月に数量限定発売された12年ボトルをレビューします。
- 赤リンゴとバニラの風味が強く、ビスケットのような穀物感がある。
- きれいな酒質。
- スモーキーさはほとんどない。
記事の後半では、「バランタイン 12年」と当サイトの基準ウイスキー「ザ・グレンリベット 12年」との比較もしています。ぜひ最後まで読んでいってください。
グレンバーギー 12年の基本情報・ストーリー
基本情報
銘柄 | グレンバーギー 12年 |
原産国 | スコットランド(スペイサイド) |
蒸留所 | グレンバーギー蒸留所 |
分類 | シングルモルト |
仕込み水 | バーギー丘陵の湧き水 |
アルコール度数 | 40% |
主な熟成樽 | |
所有者 | ペルノ・リカール社 |
取扱い | サントリーホールディングス |
参考価格 | 約5,400~6,000円 |
ストーリー
グレンバーギーはスコットランドのスペイサイド地方でつくられるシングルモルトウイスキーです。グレンバーギー蒸留所はアルヴィスという小さな村にあり、1810年にキルンフラット蒸留所として創業したのちに、1878年にオーナーが代わったことで現在の蒸留所名に改名されました。
グレンバーギーが一躍有名になったのは、1936年にカナディアンウイスキーで有名なカナディアンクラブを有するハイラムウォーカー社によって買収されたことからはじまります。その翌年1937年にザ・スコッチと称される「バランタイン 17年」が発売され、このバランタイン 17年のために必要不可欠とされるキーモルトとしてグレンバーギーが選ばれました。
グレンバーギーのモルト原酒はそのほとんど全てがバランタインのブレンド用として使われるため、シングルモルトとしてはあまり流通していませんでした。しかし2005年にペルノ・リカール社が買収してからは、生産設備も増強され年間生産能力400万リットル以上となり、シングルモルトウイスキーのオフィシャルボトルとして不定期ながら限定発売されるようになったのです。
グレンバーギーはバランタインシングルモルトシリーズとして、12年、15年、18年が限定発売されています。
グレンバーギー 12年のテイスティングレビュー・評価
グレンバーギー 12年の特性レーダーチャート
グレンバーギー 12年の特徴
コメント(ストレートでの評価 オススメ度:)
グラスに鼻を近づけると、赤リンゴの華やかさ、バニラ、ビスケットのような甘い穀物の香りを強く感じます。アルコールの刺激は感じられません。
口に含んでみると、やはり赤リンゴ、バニラ、ビスケットが強く、華やかなはちみつや甘く清涼感のあるハーブの風味も感じ取れクリーミーな味わいです。舌で感じる純粋な甘味はそれほど強くないのですが、複雑な甘い風味が強い印象。
余韻は長めで、僕の場合は一口で30秒以上楽しめました。まず最初に赤リンゴとバニラが強く現れ、15秒ほどで香ばしさをともなうビスケットの穀物感、その後ははちみつやハーブなどもほのかに感じながらゆっくりと消えていきます。
アルコール刺激も少なく雑味も少ない、全体的にきれいな酒質なので、ウイスキー初心者でもストレートで飲みやすいでしょう。
ボディはライトとミディアムの中間くらいで、スイスイ飲めてしまう危険さも。
グレンバーギー 12年の飲み方別 オススメ度
飲み方 | オススメ度 |
---|---|
ストレート | 5 |
加水 | 5 |
オン・ザ・ロックス | 4 |
ハイボール | 5 |
ホットウイスキー | 5 |
加水 オススメ度:
数滴の加水で、はちみつの濃い甘さが感じやすくなり、ビスケット風味は弱まりました。ストレートとは少し違った味わいですが、バランスは崩れず楽しめます。
オン・ザ・ロックス オススメ度:
柑橘系のさわやかさが現れ、ほろ苦さを感じやすくなりました。赤リンゴやバニラは弱まり、ライトな飲み心地に。もともとの酒質がライトボディなので、少し飲みごたえがなくなったように感じました。
ハイボール オススメ度:
赤リンゴ、バニラ、ビスケットをもっとも強く感じられる飲み方がハイボールでした。赤リンゴ、バニラ、ビスケットの風味はストレートよりも爽やか&華やかになり、炭酸のシュワシュワとともに口の中ではじけます。
個人的にイチバンのオススメの飲み方です。
ホットウイスキー オススメ度:
ウイスキー:お湯=1:2でホットウイスキーをつくりました。
甘い風味をもっとも強く感じられる飲み方で、バニラと穀物の甘さがまろやかに優しく口内に広がり、鼻から抜けていく香りも心地よいです。
グレンバーギー12年とバランタイン12年、ザ・グレンリベット12年との比較
グレンバーギーがキーモルトとして使われているバランタイン 12年、当ブログの基準シングルモルト:ザ・グレンリベット 12年と比較しました。
グレンバーギー12年とバランタイン12年、ザ・グレンリベット12年との特性比較
グレンバーギー12年とバランタイン12年、ザ・グレンリベット12年との特徴比較
これら3銘柄に絞った比較表を用意しました。
グレンバーギー 12年 | バランタイン 12年 | ザ・グレンリベット 12年 | |
---|---|---|---|
特性 | きれいな酒質でいて、複雑な甘い風味 | 穏やかながら複雑でバランス良い | 香り・味わいともに豊かでまろやかにまとまっている |
特徴 | ・華やかな赤リンゴとバニラ、ビスケットの穀物感が強い ・ライトとミディアムの中間ボディだが、余韻は長め | ・一瞬だけリンゴと華やかさ、バニラ、クリーミー ・ライト寄りのミディアムトボディ | ・穀物やバニラやはちみつ等の甘さが強い ・クリーミーでコクがあるミディアムボディ |
グレンバーギー 12年とバランタイン 12年の比較では、グレンバーギーはバランタインのキーモルトというだけあって共通する味わいを感じることができました。それは華やかリンゴとバニラ感。飲み比べてみると「あー、これか」とわかる要素です。ボディはグレンバーギーの方がややライトですが、味わいに深みがあるのはさすがシングルモルト。バランタイン 12年は深みはないものの、様々なモルト原酒をバランス良くブレンドして平均化しているような印象です。
グレンバーギー 12年とザ・グレンリベット 12年の比較では、グレンバーギーはリンゴのフルーティーと穀物感が強く、ザ・グレンリベットははちみつのコクのある甘さとクリーミーさが強くまったりとした味わい。どちらも甘い風味が強い特徴ですが、その要素には違いがあり、両者ともに完成度が高いシングルモルトウイスキーです。
感想・まとめ:世界2位を支える、リンゴ&ビスケット風味のシングルモルト
バランタインのキーモルトであるグレンバーギーの12年ボトルを紹介しました。バランタイン 12年の味わいの中核となるシングルモルトを味わい、リンゴのフルーティーさや穀物の甘い風味に共通点を感じることができました。それならバランタイン 12年でいいじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、グレンバーギー 12年はリンゴのフルーティーさやビスケットの穀物感に深みを感じ、これは同年もののブレンデッドウイスキーにはないものです。
ほとんどがバランタインの原酒として使われ、オフィシャルからは不定期に数量限定でしか販売されないグレンバーギー。ご興味のある方にはぜひ飲んでいただきたいウイスキーです。
- フルーティー(リンゴ)なスコッチシングルモルトウイスキーをお探しの方
- 雑味の少ないきれいな酒質がお好きな方
- バランタイン 12年がお好きな方